スウェーデンのゴシック・メタルの重鎮による通算14作目。
2023年の傑作『SKY VOID OF STARS』から約1年半ぶりとなるアルバムです。
アンダース・ニーストロム<G:『SKY VOID OF STARS』までの全作品でプレイ>とロジャー・オイエルソン<G:2016年『THE FALL OF HEARTS』から『SKY VOID OF STARS』までプレイ>が脱退。
ギタリスト交代後初の作品ですが、『SKY VOID OF STARS』を思わせる部分もあり、悲哀メロディをうまく盛り込ませています。
ヨナス・レンクス<Vo>の悲哀と美しさが同居したパフォーマンスもさすがの一言。
歌と演奏で魅了する良作です。
【メンバー】
ヨナス・レンクス<Vo>
ニコ・エルグストランド<G>
セバスチャン・スヴァルランド<G>
ニクラス・サンディン<B>
ダニエル・モイラネン<Ds>
『NIGHTMARES AS EXTENSIONS OF THE WAKING STATE』のレビュー
前作『SKY VOID OF STARS』には「Bird」「Atrium」のようなノリの良い曲が前半と後半に分けて配置され、さらに前々作『CITY BURIALS』(2020年)にはグルーヴィなキラー・チューン「Behind The Blood」がありましたが、今作にはそういった曲はなし。
スローなナンバーで構成されていて、前半5曲が特に充実しています。
「Thrice」は00:57~がエキサイティングでダニエルのドラムがいい暴れ具合。
幻想的になる演奏パート(02:08~)がまたすばらしいです。
「The Liquid Eye」は00:58~と02:03~のギターが涙腺を刺激します。
特に00:58~はヨナスのVoとのコンビネーションが絶妙。
曲のテンポは異なりますが、歌メロは「Atrium」に通じるものがあります。
「Wind Of No Change」は厳かな00:15~のコーラスが魅力的で、「Lilac」「Temporal」は『SKY VOID OF STARS』の「Colossal Shade」「Opaline」の流れを想起。
「Lilac」は本編は変則的ですが、「Colossal Shade」のような雰囲気で始まりますし、「Temporal」は00:25~が「Opaline」の00:00~を思わせ、ギター・ソロ(02:48~)も刺さります。
あと興味深いのが「Efter Solen」。
ヨナスがゲスト参加したEVERGREY「Cold Dreams」(2024年『THEORIES OF EMPTINESS』収録)のオープニングのような音が03:51から前面に出ます。
「Opaline」(2023年)とINSOMNIUM「White Christ」(2023年)
『SKY VOID OF STARS』のハイライトの1つでもある「Opaline」。
「Opaline」の02:49~がINSOMNIUM「White Christ」(2023年『ANNO 1696』収録)の03:44~に通じます。
「Opaline」も最高ですが、「White Christ」も絶品。
「Opaline」を古典的にしたような雰囲気に魅了されます。
- 2022年12月14日:INSOMNIUM「White Christ」先行公開
- 2023年1月20日:KATATONIA『SKY VOID OF STARS』リリース…「Opaline」初公開
- 2023年2月24日:INSOMNIUM『ANNO 1696』リリース
と公開も同時期。
初めて「Opaline」を聴いた時は「Opaline」のすばらしさにKOされると共に「White Christ」がリンクしてきたことにワクワクし、これから発売される『ANNO 1696』への期待が膨らんでいきました。
ヨナス・レンクス<Vo>ゲスト参加の必聴曲
ヨナスはKATATONIA以外にも様々な曲にゲスト参加していますが、上述のEVERGREY「Cold Dreams」を含め、以下がおすすめです。
『SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN』(2021年)
- Silver Lake
- Sentiment (feat. Jonas Renkse)
- Storm (feat. Håkan Hemlin)
- Ray Of Light (feat. Einar Solberg)
- Alkusointu (feat. Vesa-Matti Loiri)
- In Her Solitude (feat Tomi Joutsen)
- Promising Sun (feat. Björn “Speed” Strid)
- Fading Moon (feat. Anneke Van Giersbergen)
- Apprentice (feat. Jonas Renkse)
エサ・ホロパイネン<G:AMORPHIS>の1stソロ。
ヨナスは2曲目の「Sentiment」とラストの「Apprentice」で歌っていますが、特にすばらしいのが「Sentiment」。
透明感のある曲調の中でヨナスの低音Voによる切ないメロディが染みる、染みる。
声の響きも絶品でさすがの歌唱力です。
アルバムにはトミ・ヨーツセン<Vo:AMORPHIS>、ビョーン・ストリッド<Vo:SOILWORK, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA>、アネク・ヴァン・ガースバーゲン<Vo:元THE GATHERING>など、豪華ゲストが参加。
ハイクオリティな曲が並びますが、「Sentiment」がアルバムの中で一番です。
EVERGREY『THEORIES OF EMPTINESS』(2024年)
KATATONIAと同じくスウェーデン出身。
KATATONIAがデビュー作『DANCE OF DECEMBER SOULS』をリリースした1993年に結成されたドラマティック・メタルのベテランによる14作目です。
「Cold Dreams」は9曲目。
オープニングから「Efter Solen」のような音が鳴り響き、前半はKATATNOIA色強めに進んでいきます。
そして02:17からEVERGREY「Eternal Nocturnal」(『ESCAPE OF THE PHOENIX』収録)のような攻撃性。
KATATONIAとEVERGREYの魅力がうまくブレンドされていますね。
トム・S・イングランド<Vo/G>とヨナスの歌い分けもすばらしく、スウェーデンのベテラン2人による共演に胸が熱くなります。
ミュージック・ビデオを観ると2人のパートがよく分かります。
『THEORIES OF EMPTINESS』はこちらでレビューしています。