RAGE『A NEW WORLD RISING』

ジャーマン・パワー・メタルの大御所、通算27作目。

40周年記念作『AFTERLIFELINES』(2024年)は21曲(「Life Among The Ruins」までがバンド演奏、「Cold Desire」以降がオーケストラとの共演)の大ボリュームだったにもかかわらず、わずか1年半後にアルバムをリリースしました。

記念作品をさらっと通過して、短期間で高品質なアルバムを出しちゃうところがすごい。

『AFTERLIFELINES』と同様、以下3人による制作です。

  • ピーター“ピーヴィー”ワグナー<Vo/B>
  • ジーン・ボーマン<G>
  • ヴァシリオス“ラッキー”マニアトプロス<Ds>

特にジーンのギターがすばらしいです。

「A New World Rising」「Innovation」

音声を効果的に取り入れた物悲しい序曲「A New World Rising」から「Innovation」につながります。

「Innovation」はスピード感があって、程良くブルータル。

ピーター“ピーヴィー”ワグナー<Vo/B>の荒々しく個性的なVoも見事にハマっています。

ジーンのギター・ソロ(01:49~)もエキサイティングで、その後のヘヴィでリズミカルなパート(02:07~)がまたいいアクセントです。

「Against The Machine」「Freedom」

「Against The Machine」ではピーヴィのVoは「Innovation」より高音域。

ジーンのギターはざわざわし始める00:34~が個性的で、00:55からメロディックにちらつかせてサビの入る構成もかっこいいです。

トロピカルになる02:27~も聴きどころです。

次の「Freedom」では音域を下げての野性的な唱法を軸に進行してき、キャッチーで勇壮なコーラスが重ります。

「We’ll Find A Way」

キリキリ(00:00~) → ノイジー → ドンドン → アグレッシヴな本編への流れがかっこいい。

歌メロの進行を聴いていると「End Of Illusions」(『AFTERLIFELINES』収録)のサビにつながりそうな雰囲気です。

ドドドン(02:33~) → 低音ヴォイス → ヘヴィな演奏 → ギター・ソロの流れにも気合いが入ります。

「Cross The Line」

RAGEにしてはフワフワしたオープニング。

メロディアスな本編かと思いきやピーヴィのVoはブルータルなスタイルで進んでいきます。

刺激的な連打を絡めながらの演奏もクールで、歌とは対照的な音域でのギター・ソロがまたいい刺さり具合。

02:59~はピーヴィの低音に合わせて一緒に拳を振り上げましょう。

「Next Generation」

ALTER BRIDGE「Native Sun」(2019年『WALK THE SKY』収録)のような雰囲気でスタート。

意識して聴くと00:39~まではALTER BRIDGEのようにも聞こえます。

本編はピーヴィの高音域寄りの荒々しいVoを軸に進行し、01:08~で絡まるメロディックなギターがなかなかの心地良さ。

02:25~でドンドンしてヘヴィになり、その後エネルギッシュなギター・ソロに入る構成もかっこいいです。

「Fire In Your Eyes」

激しい曲がつついたのでここでクールダウン。

切ないメロディアス・チューンです。

ジーンのギターが特にすばらしいです。

サビの後に泣かせにかかりますし、ソロも絶品。

ソロそのものはちょっと短めですが、02:04~でハードさを加味させて、02:16から哀愁フレーズを放つ流れがすばらしいです。

「Leave Behind」

ドコドコ・シャカシャカしながら始まり、メロディックでハードな本編に入ります。

この曲でもジーンのギターが心地良い。

サビではピーヴィの高音Voがやや不安定に感じられますが、展開そのものはかっこいいです。

雰囲気が変わってテンションが上がっていく02:50からのギター・ソロにも引き込まれます。

「Paradigm Change」

ミステリアスな中で泣きのフレーズが放たれ、ヘヴィな本編へと入ります。

曲が進むにつれて、メロディアスになっていくピーヴィのVoが魅力的。

野獣のような01:56~もいいアクセントです。

02:28~では「Straight To Hell」(2001年『WELCOME TO THE OTHER SIDE』収録)がちらつきます。

「Fear Out Of Time」

劇的でヘヴィ。

00:25~のピーヴィの歌声の処理が面白いです。

00:48からエキサイティングな連打を絡めながらスリリングに進行します。

ドラマーのヴァシリオスがバックVoもやっているので、おそらく01:18~が彼。
マシュー・キイチ・ヒーフィー<Vo/G:TRIVIUM>のように切迫感のある声です。

「Beyond The Shield Of Misery」

本編ラストはRAGE節炸裂の王道パワー・メタルです。

サビは「End Of Illusions」を中音域にシフトさせたような感じ。

00:05~のギターがかっこよく、異なるテンポの02:24~で再登場させるアプローチも効果的、

突き刺さるような02:54~も刺激的です。


「Straight To Hell ’25」

「Paradigm Change」で「Straight To Hell」に触れましたが、バンドは「Straight To Hell」の再録「Straight To Hell ’25」をリリースしています。

Spotifyでは配信されていませんが、こちらもなかなかのかっこよさ。

オリジナルは02:41から突進しますが、このリメイクではスピードを緩めています。

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