アメリカのメタルコア・バンド、通算9作目。
オースティン・カーライル<Vo>が『COLD WORLD』(2016年)を最後にバンドを脱退し、アーロン・ポーリー<Vo/B>が1人でヴォーカルを務めるようになってから5枚目のアルバムになります。
『TETHER』(2023年)から2年ぶり。
『TETHER』ではアーロンのアグレッシヴなスクリームときれいなクリーンVoを効果的に駆使しながらの唱法が見事で、クリーンVoのみの「Indigo」のような曲も魅力でした。
今回もその作風を踏襲していて、「Wake Up」が「Indigo」級の必殺ナンバー。
同日にリリースされたTHE DEVIL WEARS PRADAのアルバム・タイトルと同じ曲「Flowers」もあります。
「Another Miracle」をはじめ、サビ前にアクセントつける手法が光るナンバーが多いのも魅力です。
【メンバー】
アーロン・ポーリー<Vo/B>
アラン・アシュビー<G>
フィル・マナンサラ<G>
ヴァレンティノ・アルティガ<Ds>
「A Waltz」
壮大でアグレッシヴ。
「1, 2, 3」をささやく00:54~が刺激的です。
アーロンはスクリームでのパフォーマンス。
アジア的になりながら「1, 2, 3」を続ける01:43~もいいアレンジです。
「Troubled Water」
00:09~の苦悶グロウルが特徴的。
本編ではエモーショナルなクリーンVoがすばらしく、サビではそのクリーンVoのメロディに磨きがかかり、徐々に気分が高まります。
そしてその後に曲名をスクリームという燃える展開。
スクリーム長時間(02:29~、02:37~)、02:44~の連打もエキサイティングです。
「Safe & Sound」
ポコポコしたサウンド+ジリジリしたギター → ドコドコ・ドラムによるオープニングが心地良い。
刺激的なリズムと共にアーロンのきれいなクリーンVoが入り、ポコポコ・サウンドがいい感じにハマっています。
サビでは美しく包容力のある歌メロ。
2番からスクリームを効果的に加えます。
ズシンズシンする03:29~もいい引っ張り具合ですし、ズレ気味のエンディングもツボです。
「Wake Up」
全編クリーンVo。
「Indigo」(2023年『TETHER』収録)のような極上メロディアス・ナンバーです。
アコースティック・ギターがいいテイストで、サビではそれまでなかったエモーショナルな歌声が重なり、曲名を伸ばす最高級のメロディが展開されます。
02:08~の歌メロにも気分が上向きますし、02:19~の演奏も程良く刺激的。
アコースティック・ギターを再登場させる02:36~もいいアプローチです。
「Flowers」
同日リリースのTHE DEVIL WEARS PRADA『FLOWERS』と同じタイトルです。
00:31~のサウンドに新鮮味があり、エフェクトをかけながら進行する高品質なクリーンVoと絶妙にマッチ。
低音Voによる透明感のあるサビが最高です。
01:40~のスクリームもいい挿入パート。
その後がサビというのがまたたまりません。
THE DEVIL WEARS PRADA『FLOWERS』は歌メロが非常に充実していましたが、こちらもさすがの出来です。
「Another Miracle」
スクリーム → クリーンVoのサビの流れを踏みます。
スクリームの時はアグレッシヴな演奏の中でのバスドラの突っつき具合が刺激的で、サビはエネルギッシュなメロディが快感です。
サビの前にいったん一呼吸置くところもいいアクセント。
02:37~の「ウーー!」(00:12~、01:21~で音量小さめのアプローチあり)、02:57~のゴシゴシしたギターと激しさが増すエンディングにも燃えます。
「Contact」
音量低めの切ない演奏と歌でスタートし、スクリームと共にシャープな本編に突入。
間隔を置いて突っつくギター(00:18~)が特徴的で、サビでは一級品の美メロディが進行します(サビ前に長めに伸ばす00:49~がまた効果的)。
中盤はスクリーム主体のアーロンにテンションが上がります。
そしてまたクリーンのサビ
最高です。
「Parable」
ドラマティックでハードな音像の中でのアーロンのクリーンVoがいい響き具合。
00:31~の低音クリーンVoが「Flowers」に通じます。
サビでは音域を上げてのエモーショナルなクリーンVo、01:18からはスクリームと徐々にテンションを上げてくる構成が秀逸です。
スクリームを伸ばす01:33~、02:42~にも燃えます。
「Somewhere In Between」
ヘヴィでゴリゴリ → 軽く警告する00:12~がかっこいいです。
アーロンは苦悶スクリーム。
いったん引く00:52がいいアクセントで「この後いいメロディが来るな」と確信できます。
そしてその後はうっとりするようなクリーンVoのサビ。
すばらしいです。
01:33からアーロンの「ウーー!」と共に変則的かつエキサイティングに進行し、唐突にサビに移る構成もうまいですし、02:29~の連打+刻みもエキサイティングです。
「Swallow」
ミステリアスな始まりにワクワク。
そして劇的かつ重厚な本編に入ります。
アーロンはクリーンVoで歌い始め、その後にスクリームを交えます。
この曲も「Another Miracle」「Contact」「Somewhere In Between」同様、サビ前の引きがいいですね。
サビではクリーンVoの美メロディ → スクリームを重ねるスタイルがハマっています。
後半のサビでの高音域Vo(02:26~)もいい追加要素です。
「Infinite」
PERIPHERY「Thanks Nobuo」(2023年『PERIPHERY V: DJENT IS NOT A GENRE』収録)のようなうれしい始まり。
ドラムがフェードイン(00:29~) → ドコドコしながらのクリーンVoに胸が高鳴ります。
この曲もサビ前にいったん引き、極上のクリーンVoのサビで魅了します。
01:25からはスクリーム。
どんどんテンションを上げながら最高潮に達し、再度クリーンに戻る構成がまた見事です。
02:53~のキリキリしながらのスクリームもいいパートです。