OMNIUM GATHERUM『MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY』

フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドによる10枚目のフル・アルバム。

9枚目『ORIGIN』(2021年) → EP『SLASHER』(2023年) → 本作『MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY』という流れです。

アルバムはイェンス・ボーゲン、マルクス・ヴァンハラ<G>、ビョーン“スピード”ストリッド<Vo:SOILWORK, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA>によるプロデュース。

ミカエル・オーカーフェルト<Vo/G:OPETH>を濁らせたようなユッカ・ペルコネン<Vo>のグロウルが特徴的です。

マルクスのギターも魅力的なフレーズが多数。
「The Last Hero」「Walking Ghost Phase」「Ignite The Flame」「Streets Of Rage」のようにサビではユッカのグロウルと見事なコンビネーションをみせます。

前作『ORIGIN』はサビの美しさがDEVIN TOWNSEND『OCEAN MACHINE: BIOMECH』(1997年)を思わせる「Paragon」が最高でした。

今回は、本編の曲調は異なるものの「Streets Of Rage」の始まりが「Paragon」を思わせます。

【メンバー】
ユッカ・ペルコネン<Vo>
マルクス・ヴァンハラ<G>
ミッコ・キヴィスト<B>
アッテ・ペソネン<Ds>
アーポ・コイヴィスト<Key>

「May The Bridges We Burn Light The Way」

ポカポカしながらシャープかつメロディックに進行する序曲。

よりダイナミックになる01:11~がかっこいいです。

「My Pain」

MEGADETH「Head Crusher」(2009年『ENDGAME』収録)のようなエキサイティングなスタート。

00:14~の連打に気持ちが引き締まります。

本編もMEGADETHのようなシャープなギターを軸に進行し、サビではクリーンVo。
清らかでとてもいいメロディです。

02:32~の哀愁ギターも染みますし、程良くドラマティックさを加える02:45~も見事。

そして03:10~。
高音域ギターが刺さり、その後メロディックで刺激的なフレーズが展開していきます(03:39~が特に◎)。

「The Last Hero」

00:09~がIRON MAIDENのよう。

サビではメロディックなギターが最高で、ユッカのグロウルと絶妙に融合しています。

キーボードが前面に出る02:15~はCHILDREN OF BODOMがちらつき、02:24~、02:54~のギターもエキサイティング。

03:04~の哀愁フレーズもたまりません。

「The Darkest City」

「意外にも土臭いフレーズで始まるな」と思ったらすぐに疾走します。

メロディックな00:34~が心地良い。

スローになって高品質なクリーンVoで魅せるサビも最高です。

哀愁ギターが前面に出る演奏パート(03:30~)も聴きどころ。

エンディングではささやかに意表を突きます。

「Walking Ghost Phase」

00:36からCHILDREN OF BODOMのように曲名を力強くコールし、サビでは「The Last Hero」のようにグロウルとギターがケミストリーを起こします。

静かになる02:05~もいいアクセントですし、02:24~はエキサイティングさが増すフレーズ展開が秀逸。

音域を下げての03:17~もいい攻めです。

「Ignite The Flame」

00:18~のキーボードがとてもいいです。
包容力があって懐かしさを感じさせます。

本編は疾走。

少し乾いた声による勇壮な01:16~が独特です。

サビでは「The Last Hero」「Walking Ghost Phase」のようにグロウルとメロディックな演奏がうまく融合。

穏やかになる02:44~も素敵ですし、00:18を再び登場させてエンディングに向かう構成も見事です。

「Streets Of Rage」

名曲「Paragon」(『ORIGIN』収録)のように始まります。

この曲のサビでもグロウルとメロディックなギターが化学反応。
フレーズを伸ばしながら魅了するギターがすばらしいです。

グロウルの裏で泣く02:07~も染みますし、ピタッと止まってエモーショナルなギター・ソロに入る展開にも引き込まれます。

「Road Closed Ahead」

スローで劇的なインスト。

ズシンズシンとヘヴィなリフを刻みながら、メロディックなフレーズが控えめに奏でられ、02:07からはよりドラマティックになります。

アグレッシヴな曲が続いた『MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY』ですが、これまでとは対照的なナンバーでアルバムを締めくくります。

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