TREAT『THE WILD CARD』

通算10作目。

再結成後では5枚目のアルバムになります。

再結成後初のアルバム『COUP DE GRACE』(2010年)以降の充実ぶりは特にすばらしいものがありますが、今回も傑作です。

哀愁ある極上メロディが魅力のTREAT。

前作『THE ENDGAME』(2022年)はその持ち味が遺憾なく発揮された大傑作でした。

今作はその作風を踏まえつつも、明るさにも重点を置いていて、前向きになれるメロディがあるのが魅力。

前作は映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が思い浮ぶタイトルでしたが、今回は収録曲の中に「Back To The Future」があります。

さらに映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が公開されたのが1985年。

「Back To The Future」だけでなく「1985」も収録されているのがまた面白いです(歌詞はどちらも映画とは無関係です)。

【メンバー】
ロバート・アーンルンド<Vo>
アンダース・ヴィクストロム<G>
ナリー・ポールソン<B>
ジェイミー・ボーガー<Ds>
パトリック・アッペルグレン<Key>

「Out With A Bang」

ミステリアスな00:00~にワクワクさせられ、シャープな本編がスタートします。

ロバートのヴォーカルは高音域寄り。
サビでさらに音域が上がり、ゴージャスなバックVoが重なります。

ちょっと哀愁が感じられるのがTREATっぽくていいですね。

『THE ENDGAME』のオープニング「Freudian Slip」と同様、1回目のサビ → リード・ギターの流れがキマッています。

2回目のサビの直後もすばらしい。

音域を下げての悲哀ギターが心地良く浸透し、03:02からエキサイティングになります。

涙腺を刺激してからヒートアップさせる構成にやられます。

「Rodeo」

躍動感があってダイナミックなスタートを切ります。

00:25~のきれいなキーボードがいいアクセント。

以降はエネルギッシュに進行していき、サビではゴージャスなバックVoと共にアツいメロディが展開していきます。

だんだん音域が上がっていくギター・ソロもかっこよく、特に02:46~での高音域での刻みがいい刺激です。

「1985」

郷愁を感じさせるサビで始まります。

メロディもコーラスも最高。

サビ前のコーラス(00:36~)もいい挿入パートで、演奏パートではキーボード → ギターの順で魅了します。

終盤(03:43~)での曲名のメロディもかっこいい。

全体的に「Home Of The Brave」(『THE ENDGAME』収録)の雰囲気が漂います。

「Endeavour」

ノスタルジックなオープニングとロバートの歌い出しにやられます。

そしてサビで上質のバックVoが加わり極上メロディが進行。

最高です。

01:20~がまたいい浄化作用。

泣きのギターと重なるところがまたたまりません。

水面のキラキラした光を連想させる03:17~もいい挿入パートです。

「Hand On Heart」

「Roar」(2010年『COUP DE GRACE』収録)のテンポを上げたようなスタートを切ります。

ロバートの歌がシリアスでかっこよく、低音域寄りで進行していくのですが、サビではエネルギッシュさが加味。

すばらしいメロディです。

01:17~のヒラヒラしたキーボードもなかなか快感。

2回目のサビ後の02:16~も美しいです。

「Heaven’s Waiting」

始まりのキーボードが感動的で00:21~のロバートの低音Voがヤバい。
歌声が入ってきた瞬間ドキッとします。

進行していくにつれ、感動の度合いが強まっていく歌メロが絶品。

そして2番は中音域Voでのスタート。

即効性のある低音Voを前半のみに限定させるところがまたニクイです。

高音域ギター・ソロ(02:46~)も刺さりますし、KISSIN’ DYNAMITE「QUEEN OF THE NIGHT」(2024年『BACK WITH A BANG!』収録)のオープニングのような03:03~もナイスです。

「Back To The Future」

郷愁感を漂わせつつもダイナミックさも維持したメロディアス・ナンバー。

00:33~のコーラスが魅力的。
サビでもこの上質コーラスで曲名を歌います。

02:27からはドライな音質によるエネルギッシュなギター・ソロ。

映画と同じ曲名ということもあり、ここはマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)が「Johnny B. Goode」を弾くシーンが頭に浮かびます。

「Mad Honey」

『TUNGUSKA』(2018年)の「Rose Of Jericho」「Man Overboard」を少しミステリアスにした感じの曲です。

00:35~は「Man Overboard」00:32~に通じますね。

スローな曲調の中でダイナミックなバックVoも絡めながらかっこよく展開。

02:37~の哀愁ギターも曲調と絶妙にマッチしています。

「Rose Of Jericho」も「Man Overboard」も『TUNGUSKA』のハイライト・ソングだったので、この2曲を思わせるナンバーがあるのはうれしいです。

「Adam & Evil」

カンカンした00:00~が快感。

ノリ良く進行し、サビでは爽快なメロディが進行します。
「Evil」を伸ばすところがいいですね。

ギター・ソロもエキサイティング。

ソロそのものに加え、

  • コーラス(02:26~)
  • ピアノ
  • ロバートの低音Vo
  • コーラス
  • ハードな演奏

の流れがまた最高です。

「Your Majesty」

「Magic」(『THE ENDGAME』収録)のように始まるバラードです。

「Magic」のように切なく進行していきますが、サビでは優しさとポジティヴさも感じられるメロディが展開。

温かい気持ちにさせてくれます。

02:15~も聴きどころ。
泣きのギターと適度にきらびやかなキーボードがマジックを起こしています。

歌声が伸びる(03:36~) → ロバートの低音Voによる曲名もすばらしい流れです。

「Night Brigade」

途切れ途切れの00:00~が独特。

ロバートの高音域寄りのVoを軸にテンポ良く進んでいきます。

サビでは高品質のバックVoが加わり「さすがTREAT」となるのですが、すばらしいのは音域を下げたローバーの歌声が前面に出る01:06~。

割と予想外のタイミングでくるのでいい感じにドキッとします。

攻め方がうまいですね。

「In The Blink Of An Eye」

ロバートの歌声と共に始まる骨太ナンバー。

エッジの効いたギターがかっこよく、ロバートの歌1本 → サビで分厚いバックVoと共にダイナミックなメロディが展開します。

歌声を伸ばしながら高品質なメロディが長く続くので充実感に包まれます。

エネルギッシュなギターを意外にも短く挟む02:21~もいいアクセントです。

「One Minute To Breathe」

『THE ENDGAME』のラスト「To The End Of Love」のような切ない雰囲気でスタートしますが、「Rabbit Hole」のようなハードさも兼ね備えます。

軽く突き上げる感じのサビが魅力的。

02:33~なんかは「Rabbit Hole」01:12~のようです。

ピアノが前面(03:03~) → ベースがガキガキ(03:09~) → ギター・ソロの流れもなかなかです。

WINGER『SEVEN』(2023年)

TREATは2026年4月に最後の来日公演を行う予定ですが、このニュースを聞いた時、WINGERがリンクしました。

WINGERは、

  • 2023年に『SEVEN』発表(リリース元はTREATと同じ『Frontiers Music Srl』
  • 2023年日本公演
  • 2025年に最後の日本公演

という流れを踏んでいます。

『SEVEN』からは「Proud Desperado」と「Stick The Knife In And Twist」がプレイされており、2023年も2025年も『SEVEN』後半に配置されていた「Stick The Knife In And Twist」がショウのオープニング。

TREATの直近のショウもWINGER同様、アルバム後半の「Skies Of Mongolia」(『COUP DE GRACE』収録)で始まっていました。

2026年日本公演の1曲目はどうなるでしょうね。

やはりアルバム後半の曲でしょうか。

『THE WILD CARD』後半の曲ですと、「Adam & Evil」がオープニングに合いそうです。

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