元NIGHTWISHのマルコ・ヒエタラ<B/Vo>による2ndソロ。
1stソロ『PYLE OF THE BLACK HEART』はフィンランド語ヴァージョン(2019年)と英語ヴァージョン(2020年)がリリースされ、いずれもNIGHTWISH在籍中でした。
NIGHTWISH脱退後のソロでは『ROSES FROM THE DEEP』が初となりますが、『PYLE OF THE BLACK HEART』をはるかに上回る充実作となっています。
2曲目「Left On Mars」には元NIGHTWISHのターヤ・トゥルネン<Vo>が参加しており、2人がアルバムで共演するのは2004年の『ONCE』以来、約21年ぶり。
4曲目「Two Soldiers」にはカヴァー・プロジェクト、NORTHERN KINGSで共演しているJ.P. レッパルオト<Vo:CHARON>が参加しています。
レビュー
マルコのライヴのセットリストを見るとBLACK SABBATH「War Pigs」(1970年『PARANOID』収録)がプレイされています。
実際、『ROSES FROM THE DEEP』には「Proud Whore」のようにBLACK SABBATH直系のヘヴィなアプローチがありますので、「War Pigs」 → 『ROSES FROM THE DEEP』の順に再生すると、いい感じにテンションを上げて楽しむことができます。
「Frankenstein’s Wife」
ダイナミックなサビでスタート。
マルコの声にぴったりの極上メロディで本編のサビでかっこよさを再認識できます。
ギター・ソロのバックでのキーボード(03:04~)も刺激的。
爽快なサウンドを挟む04:32~がまた絶品のアレンジです。
「Left On Mars」
ターヤが参加。
エッジの効いたナンバーで、NIGHTWISHとは違うスタイルに新鮮さを感じます。
ターヤが歌うのは01:03~。
サビではゴージャスなコーラスも加わり、ワクワク感が増します。
ソフトになる01:43~がいい緩急でマルコとターヤが交互に歌うのがうれしい。
エモーショナルなフレーズ(02:46~) → キラキラ(02:57~) → ハードなギター+バックVo(03:09~)も絶品の展開です。
「Proud Whore」
ギターがBLACK SABBATHのようにヘヴィ。
サビでは魅力的なメロディが伸びていき、01:28からは歌声の厚みが増します。
02:58~もかっこよく、03:10からは速弾きでよりエキサイティングになります。
03:20~で歌声を前面に出すアレンジがまた見事です。
「Two Soldiers」
J.P. レッパルオト<Vo:CHARON>が参加。
00:00からNIGHTWISH「The Crow, The Owl And The Dove」(2011年『IMAGINAERUM』収録/マルコ作曲)がちらつきます。
02:46~の語りもすばらしい組み込ませ方でストリングスを強調させる03:09~もとても感動的
J.P.も曲中渋い低音Voを響かせます。
「The Dragon Must Die」
民族的なテイストを取り入れた8分の大作。
特に充実しているのはマルコのベースがグリグリし始める02:48~。
03:11~のヘヴィなリフ+スネア、キーボード(03:26~) → ブルータルな声(03:43~)にもドキドキさせられ、その後は混沌とした展開をみせます。
段階的にメロディックさを強める05:23 → 05:39~もすばらしく、特に05:39~は染みます。
そしてその後は壮大なエンディングにつながっていきます。
圧巻です。
「Impatient Zero」
躍動感あるサビがかっこいい。
02:08からはヘヴィさが前面に出始め、02:23からは程良くカオスなギターも加わってきます。
「Proud Whore」同様、演奏パートにバックVoを加える手法(03:01~)が冴えます。
04:41~のキーボードもいい刺激です。
ALICE COOPER『HEY STOOPID』(1991年)
『ROSES FROM THE DEEP』の1曲目が「Frankenstein’s Wife」で、ターヤ参加の2曲目が「Left On Mars」。
この2曲のタイトルを見た時、「Frankenstein」と「Mars」が曲名に含まれる『HEY STOOPID』が思い浮かびました。
「Might As Well Be On Mars」と「Feed My Frankenstein」も一緒に楽しみましょう。
「Might As Well Be On Mars」は「Burning Our Bed」「Dangerous Tonight」からつながる大作バラード。
「Feed My Frankenstein」はゴージャスなサビが最高です。
最初にサビで虜にする構成は「Frankenstein’s Wife」と同じですね。
また、ALICE COOPERは以下の2曲にも「Frankenstein」が含まれます。
- Teenage Frankenstein(1986年『CONSTRICTOR』収録)
- White Line Frankenstein(2023年『ROAD』収録)
どちらも上質ですが、曲名に「Frankenstein」がつくナンバーで一番かっこいいのは「Feed My Frankenstein」になります。
ACCEPT『HUMANNOID』(2024年)
「Frankenstein」つながりで、こちらの3曲目も。
マルコのソロとは曲調がだいぶ違いますが、ソリッドなHMナンバーです。
アルバムからの先行曲で、『HUMANNOID』発表後のツアーでも演奏されています。
DELAIN『DARK WATERS』(2023年)
マルコは数多くの作品にゲスト参加していますが、その中で特におすすめなのがDELAINの「Invictus」。
ダイアナ・リア<Vo>加入後初の作品です。
マルコは02:56から歌い始めますが、歌が入ってきた瞬間に「おお!きたー!」となります。
すごい存在感。
さらにダイアナの声に重なる形で03:59からも再登場。
徐々にヴォーカルの密度が増していき、エンディング付近まで絶品の展開をみせます。