アンドレア・フェロー<Vo>、クリスティーナ・スカビア<Vo>、マルコ・コッティ・ゼラッティ<G/B/Key>を中心とするイタリアの男女ツインVoバンドによる10作目。
『BLACK ANIMA』(2019年)以来、5年4カ月ぶりのオリジナル・アルバムです。
特に『DARK ADRENALINE』(2012年)以降はアグレッシヴさを強めているLACUNA COIL。
『SLEEPLESS EMPIRE』でも攻めの姿勢が貫かれていて、パワフルなナンバーが目白押しです。
「Hosting The Shadow」にランディー・ブライ<Vo:LAMB OF GOD>、「In The Mean Time」にアッシュ・コステロ<Vo:NEW YEARS DAY>がゲスト参加しています。
CDのブックレット
日本盤CDを購入しましたが、ブックレットが全22ページ。
- グループショット×3
- メンバーの個別ショット
- クリスティーナとアンドレアのツーショット×2
とメンバーの写真が充実しています。
仕様は透明プラケースとなっていて、CDの下には黒い小さめの翼のクリスティーナもいます。
クレジットは全曲同じ。
- 作曲…マルコ
- 作詞…クリスティーナとアンドレア
となっています。
レビュー
- The Siege
- Oxygen
- Scarecrow
- Gravity
- I Wish You Were Dead
- Hosting The Shadow
- In Nomine Patris
- Sleepless Empire
- Sleep Paralysis
- In The Mean Time
- Never Dawn
収録曲は配信と同じ。
CDのみのボーナス・トラックはありません。
ダークでミステリアスなイントロ → アンドレアのグロウル → クリスティーナの美声の流れをメインとしています。
アンドレアのグロウルには燃えるし、クリスティーナが歌い始めるとドキッとします。
そんな中、ランディ・ブライ<Vo:LAMB OF GOD>が参加した「Hosting The Shadow」ではクリスティーナのVoがスーッと入ってくるスタイルが逆に新鮮。
美メロディによる攻め方に工夫がみられます。
クリスティーナの歌で始まるメロディアスな「I Wish You Were Dead」も異彩を放っていて見事。
この曲では、ちょっとだけですがアンドレアのソフトな声も聴けます。
あとはラストの「Never Dawn」。
クリスティーナの「Run」にドキッとします。
- The Siege…「Swamped XX」(2022年『COMALIES XX』収録)のような始まり。アンドレア → クリスティーナ(01:11~が特に◎)で進み、サビでアンドレアがグロウルを重ねる。02:54~のクリスティーナの高音がすばらしい
- Oxygen…切迫感のあるクリスティーナでスタート。不穏な音像の中アンドレアのグロウルが響き渡り、サビではクリスティーナの高音域によるメロディにうっとりする。狂気と美の融合が見事。静かになる02:49~で緊張が和らぐ
- Scarecrow…00:07~のアンドレアがかっこいい。ゴリゴリしながらリズミカルに進んでいき、サビではクリスティーナの声が伸びる。音域が一瞬上がる01:18~に彼女の歌のうまさを感じる
- Gravity…「Pull me down」の「P」を強調するアンドレアが特徴的。その後伸びやかなサビに流れていく
- I Wish You Were Dead…クリスティーナの歌でスタート。歪みつつもメロディアスに進行する曲調が独特。本編もVoはクリスティーナがメイン。01:29~では「Scarecrow」のように音域が一瞬上がる。やっぱりうまい。02:10~のささやき気味のアンドレアもなかなか貴重
- Hosting The Shadow…ランディ・ブライ<Vo:LALB OF GOD>が参加。ランディとアンドレアのグロウルで進行し、01:13からクリスティーナの美声。パッと切り替わるのではなく自然と流れてくる構成がすばらしい
- In The Mean Time…アシュ・コステロ<Vo:NEW YEARS DAY>が参加。アッシュはクリスティーナより少し低い声。クリスティーナによるサビの後にアッシュが歌い(01:59~)、その後にアンドレアのグロウルが被さる展開が秀逸
- Never Dawn…上述のクリスティーナの「Run」は00:59~。小さい声なのに響きが強烈で脳裏に焼き付く。すごい…
MEGADETH
クリスティーナは「À Tout Le Monde (Set Me Free)」(2007年『UNITED ABOMINATION』収録)に参加していて、『SLEEPLESS EMPIRE』にゲスト参加したランディが在籍するLAMB OF GODは「Wake Up Dead」をカヴァーしています。
この2曲も一緒に楽しみましょう。
「À Tout Le Monde (Set Me Free)」は『YOUTHANASIA』(1994年)収録の名バラードの再録。
要所要所でクリスティーナの歌声が存在感を発揮します。
エフェクト処理された01:11~や彼女による「These are the last words I’ll ever speak and they’ll set me free」のささやき(03:45~)もいいアレンジです。
LAMB OF GODの「Wake Up Dead」(オリジナルは1986年『PEACE SELLS…BUT WHO’S BUYING』収録)には本家デイヴ・ムステインも参加。
ランディとデイヴの共演がエキサイティングで、よりバイオレントになっています。
02:25~は特にアツい。