アメリカのメタルコア・バンド、4thフル。
『TRUE POWER』(2022年)以来、3年ぶりのアルバムです。
2024年にはHALESTORMとの共演曲「can u see me in the dark?」もリリースしていますが、クリーンVoのブライアン・バークハイザーが2025年に脱退。
エリック・ヴァンレルベルゲ<Vo>とディラン・ボーマン<G>がクリーンVoを担当していて、新体制後、初のアルバムとなります。
1曲目「Synthetic Soul」が4分半で、それ以外は2~3分台。
クリーンVoで魅了する曲とスクリームでエキサイトさせるナンバーがトータル32分の中でバランスよく配置されています。
「Synthetic Soul」「NWO」
「Synthetic Soul」は物悲しく始まり、ジリジリとした本編に入ります。
低音域クリーン → 高音域のサビが美しく、03:58~のエネルギッシュなギター+クリーンVoもすばらしいです。
「NWO」はスクリーム主体でリズミカルに進行。
00:43からバスドラ連打を絡めながら混沌としていきます。
「Pray」「Annihilate Me」
どちらもクリーンVoによる切ないサビが最高です。
「Pray」は歌 → 哀愁ギターを軸とした演奏がいい構成。
激しい「NWO」の直後にソフトな声による歌で始まるので、癒し効果があります。
スクリームにも哀愁が感じられ、ピタッと止まってアコースティック+低音クリーンVo(02:43~)もいい引き具合です。
「Annihilate Me」はサビの時に一瞬入るスクリームが独特。
ここでもやはり哀愁が感じられます。
いったんソフトになる02:29~もいいアクセントです。
「Violent Nature」
アルバム・タイトル曲はスクリーム主体。
わずかに間を空けながら攻撃するスタイルが独特で00:13~のギターがエキサイティングです。
00:25~のドリルのようなギターもいい突っつき具合。
ゲップが伸びたような01:10~もツボです。
「Rain」
演奏 → ドラム連打(00:10~)がTESTAMENT「Hail Mary」(1994年『LOW』収録)01:27~のようでうれしい。
「Hail Mary」00:00~も同パターンですが、「Rain」のドラム連打を考慮すると「Hail Mary」01:27~が一番近いです。
テンポは「Hail Mary」よりも遅めで、サビではさらにスローダウン。
充実のクリーンVoが展開します。
「Into Hell」「Crimson & Clover」「God」
「Into Hell」はノスタルジックで最高。
音域を上げるサビのメロディが程良く体を熱くさせてくれます。
「Crimson & Clover」は「Into Hell」の雰囲気を継承したアコースティック・ソング。
00:55~でドラマティック度が増す攻めが効いています。
「God」は「NWO」「Vilolent Nature」のようにスクリーム主体の攻めが刺激的。
郷愁的なナンバーが2曲続いた後にガツンとさせられます。
「Stay Away」
スローでヘヴィな曲調と幻覚的なVoが魅力のラスト・ナンバー。
I PREVAILはライヴで、
- DEFTONES「My Own Summer (Shove It)」(1997年『AROUND THE FUR』収録)
- ALICE IN CHAINS「Them Bones」(1992年『DIRT』収録)
- SYSTEM OF A DOWN「Chop Suey!」(2001年『TOXICITY』収録)
を順番にメドレーでプレイしていますが、この曲では特に「My Own Summer (Shove It)」と「Them Bones」の影響が感じられます。
I PREVAILが上記3曲をメドレーでやっていることを知った時「『VIOLENT NATURE』に3曲のいずれかに通じるナンバーがあれば面白いなあ」「あるとしたら”Chop Suey!”系統かな」と想像を巡らしていたのですが、見事に予想が外れました。
「Stay Away」の後は「Chop Suey!」も聴きたくなります。
あるいはI PREVAILの曲であれば「Choke」(『TRUE POWER』収録)もテンションが上がりますね。
ライヴではメドレー3曲の後にMCなしでこの曲が演奏されています。