アメリカのハード・ロック・バンドによる通算7作目。
オースティン・ウィンクラー<Vo>がバンドを離れ、Marshal Dutton<Vo>が歌うようになってからは3枚目のアルバムですが、前作『THE REIGN』(2017年)から約8年ぶり。
これまでで一番長い期間を経てのリリースです。
Marshalはオースティンよりクリアな声質で、オースティン同様、説得力のあるパフォーマンス。
ヘヴィなサウンドの中で良質メロディを響かせます。
アルバムはコーディー・ハンソン<Ds>とMarshalの共同プロデュースです。
『BACK TO LIFE』のレビュー
Marshal加入後の作品では特に『THE REIGN』が良作でしたが、『BACK TO LIFE』も『THE REIGN』のような充実ぶりです。
ヘヴィでメロディアスな王道ロックはもちろん、バラードも高品質なのがうれしい。
オースティン期も含めて、HINDERのアルバムの中で一番多い収録曲数となっています。
「Live Without It」
「Making It Hard」(『THE REIGN』収録)、あるいはオースティン期の「How Long」(『EXTREME BEHAVIOR』収録)のように一瞬シャウトする00:41~が特徴的。
その後に展開する切ないメロディがまたすばらしいです。
「Rearview」
00:03~のギターが「Homecoming Queen」(『EXTREME BEHAVIOR』収録)00:12~や「Use Me」(『TAKE IT TO THE LIMIT』収録)00:22~のよう。
GUNS N’ ROSES「Sweet Child O’ Mine」(1987年『APPETITE FOR DESTRUCTION』収録)のイントロもちらつきます。
言葉数多めのMarshalのVoがハマッっています。
「Everything Is A Cult」
弾力性があってユニークなオープニング。
メロディアスでキャッチーなサビ → アグレッシヴでリズミカルな01:11~がかっこよく、02:17~のスクリームも燃えます。
「Bring Me Back To Life」
ノスタルジックで明るい歌メロと共にノリ良く進行。
サビではキーボード(01:08~)が心地良く響きます。
「Vultures」
00:06~が独特(アートワークのモンスターの子供が鳴いているかのよう)。
そしてそこに被さる切ないピアノにやられます。
エフェクトがかかる01:17~や劇的サウンドが前面に出る02:50~もうまいアレンジです。
「Time To Breathe」
「Bring Me Back To Life」をバラードにシフトしたような曲。
低音域に始まり、00:40から音域を上げて歌うMarshalのVoがすばらしいです。
01:37からはエレキギターが重なり、これがまたいいフレーズ。
02:15~の歌メロも染みます。
「Break The Cycle」
00:03~のMarshalのミステリアスなVoがいい響き。
全体的に「Everything Is A Cult」に通じる歌メロが展開していきます。
音域を上げる01:02~の唱法もリズミカルな曲調の中で映えます。
「Reminiscing You」
切ないながらも躍動感のあるキーボードが楽曲を魅力的に照らします。
哀愁Vo → 泣きのギター(01:07~)の流れがたまらなく、ギター・ソロの後の02:39~もなかなかの伸ばし具合です。
「Hard To Love」
ほろ酔いのようなVoで進んでいきますが、サビでは心温まるメロディが展開。
そしてそのサビを低音域で響かせる02:41~がまた渋いです。
「Trying To Get Home」
和やかなアコースティック・バラード。
01:21~の口笛がいいテイストです。
口笛つながりでGUNS N’ ROSES「Civil War」(1991年『USE YOUR ILLUSION II』収録)も聴きたくなります。
Marshal Duttonはバンド加入前にプロデュースと作曲で関与
Marshalがリード・ヴォーカルをとるのは『WHEN THE SMOKE CLEARS』(2015年)からですが、オースティン期の2作品からプロデュースと作曲で関わっています。
『ALL AMERICAN NIGHTMARE』(2010年)
コーディー、Marshal、ケヴィン・チャーコによる共同プロデュースで、Marshalは「All American Nightmare」「Hey Ho」に作曲で関与しています。
「All American Nightmare」は、ヘヴィな演奏の中で曲名を伸ばしながら歌うサビがエネルギッシュ。
「Hey Ho」はソフトに始まりながらも力強さが増していきます。
軽く拳を振り上げる系ですね。
「All American Nightmare」が特におすすめです。
『WELCOME TO THE FREAKSHOW』(2012年)
コーディーとMarshalによるプロデュースで、本作から今回の『BACK TO LIFE』までの全作品が両者によるプロデュースとなっています。
Marshalは「Should Have Known Better」「Wanna Be Rich」に作曲で関与。
「Should Have Known Better」は最初のピアノでKO。
切ない歌メロも絶品で、哀愁度が増す02:10~がまたたまりません。
「Wanna Be Rich」は躍動感があってリズミカル。
前半の低音Voが印象的です。
特に「Should Have Known Better」は絶品。
ここに挙げた4曲の中でも一番の出来です。