2023年の『LOUD PARK』でのパフォーマンスがすばらしかったデンマークのH.E.R.O.。
『ALTERNATE REALITIES』(2022年)以来、約3年ぶりにリリースされるアルバムです。
通算4作目。
『ALTERNATE REALITIES』も傑作でしたが、『GHOST OF YOU』は『ALTERNATE REALITIES』を上回ります。
2024年以降にリリースされた以下のシングル曲もすべて収録。
- 「Misalign」(2024年4月10日)
- 「Chemicals」(2024年8月28日)
- 「HALO」(2024年12月4日)
- 「Ghost Of You」(2025年1月29日)
アルバムの曲順がシングル・リリースの時系列とは逆になっているのも興味深いです。
- The Beginning
- Razorsharp
- Ghost Of You
- Goddess
- HALO
- Chemicals
- The Middle
- Misalign
- Euphoria
- All Falls Down
- End Of Us
【メンバー】
クリストファー・スティアネ<Vo/G>
ヨハン・ウォーラート<B>
アナス“アンディ”キルケゴール<Ds>
レビュー
メロディアスなサウンドがさらにヴァージョンアップ。
声に処理を加えるなどのアレンジも秀逸で『ALTERNATE REALITIES』収録曲を思わせる部分があるのも魅力の1つです。
クリストファーの表現力もすばらしく、高音域も特徴的。
彼が高音を出すと白い光が放たれる。
そんなメージがあります。
「The Beginning」「The Middle」のインスト2曲も、次の曲へのつなげ方がかっこよくキマッています。
- The Beginning…カントリー風のフレーズが近未来的音像に包まれる。ハードさと劇的さが増して「Razorsharp」へ
- Razorsharp…00:09~の美しさにやられる。本編では重厚でドラマティックなメロディアス・ハード・ロックが展開され、クリストファーの切ない歌メロが絶品
- Ghost Of You…曲名をかっこよく歌い本編へ。キーボードがカンカンと響く中、リズミカルに進んでいく。ヘヴィさが増してクリストファーの高音が乗る02:29~もH.E.R.O.らしい
- Goddess…やや混沌としていてジリジリしながら進んでいく。00:40~は「Monster」(『ALTERNATE REALITIES』収録/メリッサ・ボニー<Vo:AD INFINITUM>のパート)の00:37~のよう。サビは「Lead The Blind」(『ALTERNATE REALITIES』収録)に躍動感が増した感じ
- HALO…「Oxygen」(『ALTERNATE REALITIES』収録)のように高音で浮遊感のあるサビが特徴的。フワフワ&ヘヴィな演奏パートにクリストファーの声を響かせる02:26~もうまい
- Chemicals…テンポを変える02:19~がエキサイティング。02:54~は「Lead The Blind」のエフェクト声(02:29~/超お気に入りのアレンジ)を思わせる
- The Middle…物悲しくミステリアス。曲名が同じだからDIZZY MIZZ LIZZY「The Middle」(2020年『ALTER ECHO』収録)も聴きたくなる
- Misalign…ダークでスリリングなSEからカンカンしてスタート。ミステリアスかつハードな曲調の中に極上メロディが流れる。02:55~の組み込み方が絶妙で、声そのものも刺激的
- Euphoria…PYRAMAZE「Stop The Bleeding」(2023年『BLOODLINES』収録)の03:00~に通じる極上ナンバー。曲が始まった瞬間KO。サビではクリストファーの高音域による優しい歌声に包まれる
- All Falls Down…00:34~のハードな演奏とクリストファーの高音がエキサイティング。エネルギッシュに伸びる歌声が見事で「Euphoria」とは対照的な唱法が生きる
- End Of Us…控えめに刺激的な声(00:59~)がいい緩急で、その後サビにドキッとする。余裕を持たせながら歌声を伸ばす02:18~もさすがクリストファー
TABOO『TABOO』(2022年)
こちらはクリストファーとPRETTY MAIDSのケン・ハマー<G>によるプロジェクト。
H.E.R.O.は2022年3月18日に『ALTERNATE REALITIES』を発表していますが、同年の9月9日にTABOOは1stフル『TABOO』をリリースしています。
PRETTY MAIDSの『KINGMAKER』(2016年)や『UNDRESS YOUR MADNESS』(2019年)の重厚サウンドにクリストファーのVoが乗るスタイルでこちらも傑作です。
「Learning To Breathe」のように伸びのある歌唱を軸としながらも時折ゆがませるのはクリストファーならではですし、「Bleeding」「Powerless」での高音域も圧巻。
サビでフワッとする「It’s About Time」はH.E.R.O.っぽいですね。
「See You Again」は映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)の主題歌のカヴァー。
オリジナルにあったラップのパートはクリストファーのメロディアスなVoで再構築されていて、時間は短めですがケンのギター・ソロ(02:51~)もあります。
オリジナルもTABOOヴァージョンも最高なので両方を何往復もしたくなります。