アメリカのメロディック・ロック・バンド、GIANT。
これまで以下の作品を発表していますが、『LAST OF THE RUNAWAYS』と『TIME TO BURN』と同等の間隔でのアルバム・リリースとなります。
- 『LAST OF THE RUNAWAYS』(1989年)
- 『TIME TO BURN』(1992年)
- 『III』(2001年)
- 『PROMISED LAND』(2010年)
- 『SHIFTING TIME』(2022年)
『LAST OF THE RUNAWAYS』から『III』まではダン・ハフ、『PROMISED LAND』はテリー・ブロック、『SHIFTING TIME』はPERFECT PLANのケント・ヒッリが歌っています。
『STAND AND DELIVER』のヴォーカルは『SHIFTING TIME』に引き続き、ケント。
オリジナル・メンバーのマイク・ブリグナーデロ<B>とデヴィッド・ハフ<Ds>もいます。
ギターは今作から初参加のジミー・ウェスターランド<G:ONE DESIRE>で、ジミーはプロデュースも担当。
さらに『SHIFTING TIME』のプロデューサーでもあったアレッサンドロ・デル・ヴェッキオがジミーと一緒にミックスを手掛け、キーボードでもゲスト参加しています。
【メンバー】
ケント・ヒッリ<Vo:PERFECT PLAN>
ジミー・ウェスターランド<G:ONE DESIRE>
マイク・ブリグナーデロ<B>
デヴィッド・ハフ<Ds>
『STAND AND DELIVER』のレビュー
『SHIFTING TIME』も良作でしたが、歌も演奏も今回のほうが充実しています。
ケントは情熱的な歌声でノスタルジックなオーラも漂わせていて、メロディアスなサウンドにピッタリ。
ジミーのギターも即効性のあるフレーズが多く、高品質なプレイで魅了します。
「Time To Call It Love」「Holdin’ On For Dear Life」「Paradise Found」にダン・ハフがソングライティングで貢献。
「Time To Call It Love」は故マーク・スピロも作曲に関わっています。
「It’s Not Right」
00:03~のギターが刺さります。
00:51~の歌メロに気分が高まり、バックではキーボード → ギターの順に魅了。
透明感を醸し出しながらエネルギッシュに展開するサビも見事です。
「A Night To Remember」
「It’s Not Right」の力強さを維持しながらも郷愁を感じさせるケントのヴォーカルが絶品です。
歌い出しから最高。
高音域ギター・ソロも胸に響きます。
「Hold The Night」
エネルギッシュでキャッチー。
そしてギター・ソロは突き上げる系。
2回目のギター・ソロ(02:59~) → ケントのハイトーン(03:14~、03:31~)にも胸が熱くなります。
「I Will Believe」
00:00~で泣きそうになります。
スロー・バラードかと思っていたら、00:43から加速。
そして01:00~で再び泣きのパートになりますが、演奏もケントの歌も1回目より染みてきます。
マイクのベースが前面に出てきて、ギター・ソロに入る02:03~もいい構成です。
「Beggars Can’t Be Choosers」
ジミーがノイジーなギターをかき鳴らし、ノリ良く進行。
サビではエネルギッシュな歌メロとキラキラしたキーボードでワクワクさせます。
マイクがベースをグリグリさせてエモーショナルなギターが絡まる01:55~にも燃えるし、かけ声と共に歌メロに戻る02:37~もかっこいいです。
「It Ain’t Over Till It’s Over」
ピアノとケントの歌で始まる最高級のバラード。
00:48からエレクトリックになり、感動の度合いが増します。
そして00:58から極上メロディ。
この時点でギター・ソロに期待しますが、1回目のソロ(02:37~)の主役は意外にもアコースティック・ギターで、2回目(03:58~)がエレクトリックになります。
2回に分ける攻めに脱帽です。
「Stand And Deliver」
ガッツがあって爽快。
サビではキャッチーな歌メロが魅力的なハーモニーを伴って展開します。
03:12~のケントもアツいし、一瞬エフェクト声が入る03:24~もいいアレンジです。
「Time To Call It Love」
ダンとマーク・スピロが作曲に関与。
バラード調に始まり、王道メロディアス・ハードに展開していきます。
サビではポジティヴな歌メロが心地良く、高音域ギター・ソロにも気分が高まります。
04:02~のバックVoによるサビのメロディも素敵です。
「Holdin’ On For Dear Life」
ダンが作曲に関与。
始まりのギターがWINGER「Time To Surrender」(1988年『WINGER』収録)を思わせます。
本編はテンポ良く進み、躍動感のある歌メロ。
『PROMISED LAND』『SHIFTING TIME』ではジョン・ロス<G:WINGER>が弾いていたこともあり、02:04~、03:02~、03:20~などのハイトーンがキップ・ウィンガー<Vo/B:WINGER>っぽく聞こえてきます。
「Paradise Found」
こちらもダンが作曲に関与。
壮大に展開していくバラードで、優しさと郷愁が同居したダンの歌唱がすばらしいです。
01:38~のドン!がいいアクセント。
02:54~のギター・ソロも浸透し、その後のダンのVoにも高揚感が増します。
「Pleasure Dome」
劇的に始まり、00:43からジミーがエモーショナルなギターが響かせます。
低音Vo(01:16~) → ハイトーン(01:22~) → 本編への流れも絶品で01:52から再度ジミーが魅了。
堂々としたケントの歌唱が頼もしく、サビでは一級品の歌メロがパワフルに展開していきます。
04:34~の音域を上げていくギター・ソロにもテンションが上がります。
PERFECT PLAN「Stay」(2019年)
ケントが歌うPERFECT PLANは、2019年にGIANTの「Stay」(1992年『TIME TO BURN』収録)をカヴァーしています。
2019年はケントがGIANTに加入する前ですね。
オリジナルに忠実でありながらも、00:43~、03:12~にあるように、躍動感が加味されたアレンジとなっています。
ONE DESIRE
ジミーが在籍するONE DESIREもかっこいいです。
DEGREEDにも通じるモダンなメロディアス・サウンドで、これまで2枚のアルバムをリリース。
以下がおすすめです。
- 『ONE DESIRE』(2017年)…「Apologize」「Buried Alive」
- 『MIDNIGHT EMPIRE』(2020年)…「After You’re Gone」「Down And Dirty」「Through The Fire」
「Apologize」は1語のみの曲名にアクセントをつけたメロディ展開が絶品で、「Buried Alive」では疾走しながら高揚感のあるメロディで攻めます。
「After You’re Gone」「Down And Dirty」ではノリの良い曲調の中で哀愁メロディが炸裂。
バラード「Through The Fire」はドラマティックに進行していく構成がすばらしいです。