英国のバンドによる3rdフル。
直近では2025年9月5日にリリースされたBLESSTHEFALL『GALLOWS』にマシュー・フラッド<Vo>がゲスト参加していました。
1st『LOST SOULS』(2021年)と2nd『REFLECTIONS』(2023年)もクオリティが高かったですが、今回も良作です。
モダンなサウンドと高品質なメロディで魅了します。
記事には『LOST SOULS』と『REFLECTIONS』のレビューも掲載。
両作品にBRING ME THE HORIZON『THAT’S THE SPIRIT』(2015年)に通じる曲があります。
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【メンバー】
マシュー・フラッド<Vo>
ベンジャミン・ウィルソン<G>
クレイグ・ロビンソン<G>
ジェームズ・レーゼンビー<Ds>
『LOST SOULS』(2021年)
1stフル。
おすすめは「The Only Ones」「Clarity」「Drowned In Emotion」「Lose Myself」「One More Time」「Nothing To Hide」です。
「The Only Ones」は耽美的で切ない始まりに惹きつけられ、本編では極上の歌メロが展開します。
上述のBGING ME THE HORIZON『THAT’S THE SPIRIT』に通じるのは「Clarity」。
「Avalanche」のようなスタートです。
「Drowned In Emotion」は02:15~、03:04~のギターが刺激的。
「Lose Myself」は「The Only Ones」同様、スタートに即効性があり、ドラマティックでハードな演奏の中で切ない歌が舞います。
「One More Time」も劇的な演奏と哀愁メロディがすばらしい。
手拍子をしながら上質メロディを堪能できる00:14~も魅力です。
「Nothing To Hide」は躍動感のある中でのノスタルジックなメロディが見事。
高音域のギター・ソロもなかなか刺さります。
『REFLECTIONS』(2023年)
ほぼジャスト2年ぶりに発表された2nd。
『LOST SOULS』よりスリムで硬質な音になっています。
おすすめは「Too Late」「By The Sound」「Six Feet Down」「Hate Me」「Better Way Out」。
中盤と後半が聴きどころです。
「Too Late」は出だしのBACKSTREET BOYSみたいな歌メロが最高。
本編はリズミカルでジリジリした曲調で、出だしの歌メロが後半まで登場しないという意外性も秘めています。
「By The Sound」はDEGREEDのよう。
郷愁感のあるメロディがモダンな演奏と共に進行します。
「Six Feet Down」は『LOST SOULS』の「The Only Ones」「Lose Myself」のように始まりに引き込まれます。
高音域の切ないサビも絶品ですね。
「Hate Me」はリズミカルかつ劇的な曲調が心地良く、「Too Late」の歌メロが再登場します。
BGING ME THE HORIZON『THAT’S THE SPIRIT』を思わせるのはラストの「Better Way Out」。
始まりが「Blasphemy」のようで、ドラマティックさが増す02:49~がまた最高です。
『THE ONLY HEAVEN YOU’LL KNOW』(2025年)
スクリームの組み込み方が効果的で、1曲目「Lost In The Violence」から燃えます。
MAKE THEM SUFFERとの共演曲「Our Remedy」もエキサイティングですし、「What Have I Become?」「Make Me A Martyr」のような高品質メロディアス・ナンバー2連発もたまりません。
「Make Me A Martyr」はH.E.R.O.のようです。
「Lost In The Violence」
低音Vo(00:32~) → フワフワ → 切ない高音域のサビへの流れが最高。
サビでは声が裏返るパフォーマンス(00:58~)も光ります。
01:29~のスクリーム → 01:39~の低音Voも最高。
02:31~は01:29よりもブルータル、そしてその後に極上のクリーンVoが来ます。
「Our Remedy」
MAKE THEM SUFFERが参加。
Sean Harmanis<Vo>だけでなく、おそらくAlex Reade<三代目女性Key/Vo>も歌っています。
MAKE THEM SUFFERは2022年にAlexが加入。
2024年にはAlex加入後初の作品『MAKE THEM SUFFER』をリリースしています。
この「Our Remedy」では耽美的な曲調の中でマシューが包容力のある歌声を響かせ、女性Voとスクリームを効果的に組み込みます。
曲中の女性VoがおそらくAlexで、01:40~のスクリームがSean。
スクリームのパートでは02:03から「Drowned In Emotion」(『LOST SOULS』収録)02:15~、03:04~のような音を響かせるギターも響かせます。
聴きごたえのある曲です。
ちなみにAlex加入後初の作品でもある『MAKE THEM SUFFER』のおすすめは「Oscillator」と「Epitaph」。
「カオスなLACUNA COIL」といった感じでかっこいいです。
「The Only Heaven You’ll Know」
耽美的かつ郷愁感のあるメロディアス・ナンバー。
ソフトな哀愁Vo → サビで高音域という流れがすばらしく、サビではエネルギッシュでありながらも切ないメロディが展開します。
ギター・ソロは始まった瞬間刺さります。
「Closure」
フワフワしながら進行していき、サビでハードになります。
マシューのVoは「The Only Heaven You’ll Know」同様、サビで音域を上げるアプローチが秀逸。
突き上げる系のフレーズが控えめの音量で進行するギター・ソロも特徴的ですし、だんだん視界不良になるエンディングも面白いです。
「Sacrifice」
ミステリアスな音像の中でエフェクトのかかった歌声が響き渡ります。
「The Only Heaven You’ll Know」「Closure」のようにサビで高音域になるのかと予想しがちですが、そうはならず同じトーンで進行します。
ハードな音が途切れながらのギター(02:40~)も独特です。
「What Have I Become?」
キーボードがとても心地良いメロディアス・ナンバー。
マシューが歌い始めてからドコドコ → いったん引く → サビへの流れがかっこよく、サビでは軽く突き上げながら、曲名を歌う所で安堵させるメロディ展開が秀逸です。
2回目のサビ前にドラムを軽くドンとする01:35~もいいアレンジです。
「Make Me A Martyr」
H.E.R.O.を思わせる曲調です。
名曲「Lose Myself」(『LOST SOULS』収録)のようにドラマティックな音をカンカン響かせながらの演奏が心地良く、メタリックになる02:10~、ジリジリ(02:50~) → スクリームもかっこいい挿入パート。
最後もスクリームで締めます。
「In Vein」
00:10~ギターが刺激的。
一瞬AC/DC「Back In Black」(1980年『BACK IN BLACK』収録)のようにも聞こえます。
01:27~スクリームがいいアクセントになっていて、02:00~の「heavy, heavy」がまた耳に残ります。
曇り気味の歌(02:33) → ギター(02:43)もいい流れ。
短いですが、なかなか浸透度が高いです。
「Broken Path」
バスドラの連打を適度に絡めながらの耽美的かつハードな00:53~がかっこいいです。
ジリジリしたギター(01:19~)も短時間だけど刺激的。
サビでは少し力を緩めて高品質なメロディが展開します。
ミステリアスさが増す02:42~にも引き込まれますし、02:55~のスクリームもエキサイティングです。
『LOST SOULS』と『REFLECTIONS』にそれぞれBRING ME THE HORIZON『THAT’S THE SPIRIT』を思わせるナンバーがありましたが、『THE ONLY HEAVEN YOU’LL KNOW』から『THAT’S THE SPIRIT』に近い曲を挙げるとするならばこの「Broken Path」になります。