ALTER BRIDGEの8作目『ALTER BRIDGE』が発表されました。
デビュー以来、メンバー・チェンジなし。
今回も以下のラインナップです。
- マイルス・ケネディ<Vo/G>
- マーク・トレモンティ<G/Vo>
- ブライアン・マーシャル<B>
- スコット・フィリップス<Ds>
プロデュースは『BLACKBIRD』(2007年)以降、バンドの作品を手掛けているマイケル“エルヴィス”バスケット。
芯の太い音像からも結束力の高さが伝わってきます。
前作『PAWNS & KINGS』に伴うツアー終了後、2024年にCREED(マイルス以外の3人+スコット・タップ<Vo>)が再結成ツアーを行い、マイルスはソロ活動。
「しばらくALTER BRIDGEの新作はないのかな」と思っていたので、これは超うれしいリリースです。
記事では『ALTER BRIDGE』リリースに至るまでの経緯についても触れています。
『ALTER BRIDGE』のレビューのみをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。
『PAWNS & KINGS』から『ALTER BRIDGE』告知までの流れ
まとめると下記になります。
- 2022年10月14日:前作『PAWNS & KINGS』リリース
- 2022年11月1日:『PAWNS & KINGS』ツアー開始
- 2023年7月19日:CREED再結成発表
- 2023年11月13日:『PAWNS & KINGS』のツアー終了
- 2024年7月17日:CREED再結成ツアー開始
- 2024年10月11日:MYLES KENNEDY『THE ART OF LETTING GO』リリース
- 2025年1月10日:TREMONTI『THE END WILL SHOW US HOW』リリース
- 2025年7月15日:ALTER BRIDGE、新作『ALTER BRIDGE』を2026年1月9日にリリースすることを発表
2024年にマイルス以外の3人はCREED再結成ツアーを開始し、マイルスはソロ3作目『THE ART OF LETTING GO』をリリースしました。
『THE ART OF LETTING GO』は聴きごたえのあるヘヴィ・ロックでしかもALTER BRIDGEに通じる作風。
エキサイティングであったのと同時に「ALTER BRIDGEの作品はしばらく聴けないのかも。もしかしたら活動休止?」なんてことも脳裏をよぎりました。
2025年1月10日にはTREMONTIが『THE END WILL SHOW US HOW』をリリース。
2025年の最初に楽しんだ新譜がこの作品で、特にザクザクした「One More Time」とミステリアスなオーラを出しながらテンポ良く進む「All The Wicked Things」が最高でした。
一方、ALTER BRIDGEの動きのニュースはなし。
マイルスもSLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORSの今後については触れるものの、ALTER BRIDGEについては具体的な言及がなく、「2025年に新作がなかったら、これまでの約3年に1枚のリリース・ペースもここで終わってしまうな」と半分諦めかけていたのですが、7月15日に新譜『ALTER BRIDGE』をサプライズ的に告知。
このニュースを見た時は本当にガッツポーズをしました。
リリース・ペースも、
- 『ONE DAY REMAINS』(2004年8月10日)
- 『BLACKBIRD』(2007年10月5日)…約3年2カ月ぶり
- 『AB III』(2010年10月8日)…約3年ぶり
- 『FORTRESS』(2013年9月25日)…約3年ぶり
- 『THE LAST HERO』(2016年10月7日)…約3年ぶり
- 『WALK THE SKY』(2019年10月18日)…約3年ぶり
- 『PAWNS & KINGS』(2022年10月14日)…約3年ぶり
- 『ALTER BRIDGE』(2025年1月9日)…約3年3カ月ぶり
と、これまでで最長ではありますが、3年半以内でのアルバム発表。
CREED再結成の時も、バンド内でちゃんとスケジュールを話し合っていたのかもしれません。
いずれにしても、
- CREED再結成ツアー
- マイルスの『THE ART OF LETTING GO』 → ツアー
- TREMONTI『THE END WILL SHOW US HOW』 → ツアー
で忙しい中、ALTER BRIDGEとしても曲を書いてレコーディングをしていたのだから、本当にすごいです。
しかもアルバム・タイトルが『ALTER BRIDGE』ですからね。
これは燃えます。
『ALTER BERIDGE』のレビュー
『PAWNS & KINGS』から約3年3カ月ぶり、TREMONTI『THE END WILL SHOW US HOW』から1年ぶりのリリースとなるセルフ・タイトル作。
最高です。
各メンバーが他のプロジェクトで忙しい中、こんな高品質な曲を作っていたのかと脱帽します。
マークが歌う曲もあります。
ラスト「Slave To Master」は9分の大作。
バンド史上最長の曲でアルバムを締めくくります。
「Silent Divide」
脳天に突き刺さるようなギターでスタート。
マイルスの歌い出しがすごくかっこいいです。
歌声をゆっくりと伸ばすサビが印象的。
そして2回目のサビの後にマイルスの高音が伸びて、テンポが変わる02:44~がスリリング。
ここはちょっと「This Is War」(『PAWNS & KINGS』収録)の02:29~っぽいです。
前作『PAWNS & KINGS』は劇的要素を含む「This Is War」での幕開けでしたが、この「Silent Divide」は「This Is War」をソリッドにしたような曲調です。
「Rue The Day」
『PAWNS & KINGS』の2曲目「Dead Among The Living」はドカンとした始まりにKOされましたが、この「Rue The Day」もダイナミックな幕開け。
歌い出しのマイルスの低音にドキッとします。
少しゆがみながら進行し、サビでは少し清涼感が増した中音域による最高級の歌メロ。
すばらしいです。
歌に特徴的なギターが絡む(02:21~) → メランコリック → 悲哀ギターも見事ですし、04:14~で音域が上がるパフォーマンスもマイルスならではです。
「Power Down」
スコットのカウントと共にアグレッシヴにスタート。
「Bleed It Cry」(『FORTRESS』収録)のようです。
00:11~の警告音的ギターもALTER BRIDGEならではですね。
メロディアスなサビの後に一瞬邪悪な声(01:14~)を入れるアプローチもうまい。
、
やや視界不良(02:18~) → 高音域ギター・ソロも聴きごたえがあります。
『FORTRESS』では「Addicted To Pain」 → 「Bleed It Cry」の流れが最高でしたが、「Addicted To Pain」 → 「Power Down」でも同様の興奮が味わえます。
「Trust In Me」
ズシンズシンとスローでヘヴィに進行。
ちょっとジワる雰囲気があり、『PAWNS & KINGS』の「Holiday」をスローにした感じでもあります。
01:23~の不安定なギターもツボりますね。
「My Champion」(『THE LAST HERO』収録)のイントロのような02:24~がいい転換点。
音域が上げていくマイルスの唱法が見事で、03:00~の歌メロがまた魅力的です。
「Disregarded」
00:00~のつまづき気味のギターが個性的です。
歌い出しからマイルスの低音が心地良く響き、00:24~は音量低めでの高音。
両極端の音域を異なるボリュームで魅せるアプローチが見事です。
01:00~の中音域での警告音ギターもハマります。
どんより(02:01~) → スコットのカウント → ミステリアスなハーモニーも濃密な構成。
02:46~のギター・ソロが濁水上の泡を連想させます。
「Tested And Able」
マークのヴォーカルがメインの曲。
ヘヴィなリフ → モンスターの鳴き声のような00:04~が独特です。
00:19からマークが歌いますが、マークにしてはやや音域が高め。
意外な歌い出しです。
サビでは「Season Of Promise」(『PAWNS & KINGS』収録)に通じる包容力のある魅力的なメロディが展開。
出だしのヘヴィな演奏からは想像しにくい展開がまたニクいです。
02:24からは絶妙のタイミングでマイルスの高音。
その後のギター・ソロも最高で、特に03:06~はグッときます。
「What Lies Within」
警告音ギター(00:08~)を伴いながらリズミカルに進みます。
マイルスは中音域 → サビ前に低音域に下げる → サビで高音域。
音域のアクセントのつけ方が上手でサビでは曲名が心地良く響きます。
ゆがみ声(02:55~) → 連打 → 高音域ギター・ソロにも引き込まれます。
「Hang By A Thread」
『BLACKBIRD』収録の名バラード「Watch Over You」のように進行していき、01:53からはマイルスが高音Voを絡めていきます。
歌声を伸ばす02:06~が最高。
そして2回目の歌声伸ばし(02:18~) → 泣きのギターの流れをみせます。
なんと感動的なのでしょう。
静かになって再びエレクトリックになる03:00~にもドキッとします。
「Scales Are Falling」
メランコリックな感じで進んでいきますが、サビでは安堵感が広がります。
とてもいいメロディ。
そして02:30からは「Cry Of Achilles」(『FORTRESS』収録)のようなオーラが漂いはじめます。
03:36~、03:51のフレーズは「Cry Of Achilles」本編前の00:28~、04:01~の歌メロなんかは「Cry Of Achilles」エンディング間近の06:06~に通じます。
05:14~のエモーショナルなリード・ギターもいいですね。
「Playing Aces」
「Crows On A Fire」(『THE LAST HERO』収録)に通じる爆発力のあるオープニング。
その後は「Silver Tongue」(『PAWNS & KINGS』収録)のように進み、サビでは少し緊張感が和らぎます。
サビが終わってマイルスの歌声が前面に出る(01:24) → 再度加速がいい流れですし、3回目のサビで音域を上げる03:40~もいいひねり。
03:40~はちょっとした技ですが、マイルスの高音での魅了が生かされた効果的な攻めです。
「What Are You Waiting For」
歌も演奏も先が読みにくく、サビでは高音域の警告音ギターを伴いながらの展開。
「サビでは分かりやすくメロディアスになるのかな」と思いきや、そうはならいところがまた面白いです。
曲名を歌う箇所が一番分かりやすく際立ちます。
光線のようなギター(01:54~)も独特。
加速する02:50~もいい切り替えポイントで、03:01~のメロディもなかなか魔力があります。
「Slave To Master」
バンド史上最長、9分の大作。
ALTER BRIDGEの長尺曲はこれまで「Blackbird」(『BLACKBIRD』収録)と「Fable Of The Silent Son」(『PAWNS & KINGS』収録)がありました。
「Blackbird」も「Fable Of The Silent Son」もスローに進行していきましたが、この「Slave To Master」ではシャープに進行するパートもあります。
ミステリアスな演奏とマイルスの低音Voでスタート。
歌はハーモニーを絡めていて、早い段階からのこの攻めは意外です。
01:21からエレクトリックになるのですが、間が絶妙の長さ。
すばらしいです。
エレクトリックになってからはシャープな曲調とマイルスのリズミカルな歌がハマり、サビでは、
- 歌声を伸ばす → 伸ばす間隔を短くしながら曲名を含める
のスタイルがキマッています。
04:31からメランコリックになり、徐々にハードになる展開。
キャッチーな05:38~が美しく心地良く、この歌メロがエンディング間近にも登場します。
ALTER BRIDGEのアルバムのラスト・ナンバーはこれまでもいい曲ばかりで、過剰に盛り上げずにナチュラルに締めくくるスタイルが見事でしたが、そのスタイルがバンド史上最長ナンバーでも踏襲されています。
MARK TREMONTI「My Way」
アルバム『ALTER BRIDGE』の後はぜひこちらも。
余韻に浸るのにぴったりです。
ALTER BRIDGEのライヴでは終演後のBGMとして流れるようです。
祈・来日!
プロフィールにも書きましたが、今一番ライヴを観たいバンドがALTER BRIDGEです。
ALTER BRIDGEの来日公演は2014年のみで、以降実現していません(公演に参加した人たちは間違いなく最高の選択をしました)。
SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS『4』(2022年)をリリースする際のインタビューでマイルスは「ALTER BRIDGE来日公演(当時の最新作は『WALK THE SKY』)の話もあったが、コロナの影響で白紙になってしまった」とも語っていました。
『PAWNS & KINGS』に伴うツアーでも日本公演はなかったので、今度こそ実現してほしいです。
単独公演が実現すればとてもうれしいですが、例えばウルフギャング・ヴァン・ヘイレンのMAMMOTHと一緒でもかなり盛り上がりそう。
- ウルフギャングはかつてTREMONTIにも在籍
- ALTER BRIDGE『BLACKBIRD』以降、マイルスのソロ、TREMONTI全作品を手掛けているマイケル“エルヴィス”バスケットがMAMMOTH全作品もプロデュース
- 海外ではMAMMOTHはALTER BRIDGEのオープニング・アクト
- マイルスはソロでMAMMOTHのオープニング・アクト
と、共通トピックも多いですしね。
会場はKanadevia Hall(旧TOKYO DOME CITY HALL)なんてどうでしょう。
多くのファンが集まると思います。