ドイツのスラッシュ・メタルの重鎮による16作目。
リリースを重ねるたびにアグレッシヴなサウンドに磨きがかかっているKREATORですが、今回もさすがの内容です。
『PHANTOM ANTICHRIST』(2012年)以降、序曲(1曲目) → スラッシュ・ナンバー(2曲目)の構成がどれも見事でしたが、今回はこれを1曲にまとめています。
前作『HATE ÜBER ALLES』(2022年)に引き続き今回も女性シンガーとの共演曲あり。
前作はソフィア・ポルタネットによるクリーンVoでしたが、今回はドイツのメロディック・デス・メタル・バンド、HIRAESのBritta Görtz<Vo>。
女性グロウルとの共演になります。
HIRAESはアンジェラ・ゴソウ期のARCH ENEMYを思わせ、ギターも魅力的なのですが、Britta参加の「Tränenpalast」もギター・ソロが充実しています。
【メンバー】
ミレ・ペトロッツァ<Vo/G>
サミ・ウリ・シルニヨ<G>
フレデリク・ルクレール<B>
ヴェンター<Ds>
「Seven Serpents」
序曲 → スラッシュ・ナンバーの構成を1曲にまとめてのオープニングです。
- 「Sergio Corbucci Is Dead」(『HATE ÜBER ALLES』収録)のように切なく劇的
- 「Phantom Antichrist」(『PHANTOM ANTICHRIST』収録)をさらに加速させたようにアグレッシヴに疾走
の流れを踏みます。
ミレのヴォーカルがフェードインして、緊張感のある本編を歌い始めるのですが、これが抜群にかっこいい。
そしてサビでは勇壮でパワフルなかけ声。
最高です。
ギター・ソロ(03:13~)も心地良く浸透し、03:32から冒頭の劇的な音像を加えるアレンジもすばらしいです。
「Satanic Anarchy」
バスドラ連打とザクザクしたギターが快感。
00:29~の「Start the fire!」の繰り返しが耳に残ります。
そしてその後メロディックなギターを軸としたサビが展開。
ミレのかけ声とともに2番に突入する01:03~にも気合いが入ります。
テンポを変えて疾走しながらギター・ソロがスタートする02:19~も見事なアレンジです。
「Krushers Of The World」
ミステリアスでヘヴィなスタートに引き込まれます。
00:20~はMETALICA「Sad But True」(1991年『METALLICA』収録)の00:21~のよう。
いったん引く01:00~がいいアクセントでここでの切ないギターがたまりません。
そして勇ましいサビに移行というアツい流れを踏みます。
オープニングに邪悪な声を重ねる(02:27~) → ギター・ソロもすばらしい構成です。
「Tränenpalast」
HIRAESのBritta Görtzが参加。
Brittaの声は00:43~。
アンジェラ・ゴソウ期のARCH ENEMYを想起させます。
前作『HATE ÜBER ALLES』にはアンジェラ期ARCH ENEMY「Ravenous」(2001年『WAGES OF SIN』収録)のように始まる「Midnight Sun」(女性シンガー、ソフィア・ポルタネットとの共演)がありましたが、アンジェラに通じるスタイルのBrittaが本作に参加しているというのが興味深い。
サビではブルータルでキャッチーな「Suspiria!」がかっこよく響きます。
02:58~のサタニックな儀式もいい挿入ですし、03:23~のギター・ソロも高品質。
HIRAESはメロディックなギターも高品質で特に2nd『DORMANT』(2024年)の「Through The Stoem」「We Owe No One」「Undercurrent」がすばらしかったですが、その充実ぶりがこの曲のギター・ソロにも反映されています。
「Barbarian」
疾走曲。
曲名を2回繰り返すサビが印象的で、適度にメロディックなギターがまたいい絡み具合です。
ちょっと途切れる02:06~が面白いアレンジ。
その後、ミレが高音域でエキサイトさせ、ギター・ソロに入りますが、ここは「Hate Über Alles」02:13~のかっこよさが蘇ります。
「Satanic Anarchy」から劇的要素を取り除いたような曲調で進んでいき、そのまま終わるのかと思っていたら、03:49からドラマティックさが増します。
ちょっとした意外性に拍手です。
「Blood Of Our Blood」
続けてこちらも疾走。
サビでは勢いを維持しながらもテンポを変えてエネルギッシュに進みます。
ここは「Phobia」(1997年『OUTCAST』収録)のようですね。
「Barbarian」に引き続き、ミレのシャウト(02:43) → ギター・ソロで魅了。
ギター・ソロは高音域で始まるので、始まった瞬間刺さり、
- 03:13~ エキサイティングな刻み
- 03:22~ メロディック
の移り変わりがすばらしいです。
04:00からは「Hate Über Alles」00:09~のようなシャウトでエキサイトさせます
「Combatants」
シャープな曲調。
ミレの貫禄あるヴォーカルがハマっていて、サビでは力強いバックVoが加わります。
中盤以降は以下の攻めが効いています。
- ミレが野性的に声を出して伸ばす(02:06~) → ギター・ソロ
- 減速して劇的(02:39~) → ギターは泣き気味だけど声は不気味(02:53~)
「Psychotic Imperator」
劇的音像に包まれながらも悲哀と不気味さを醸し出しながらのスタート
「Pride Comes Before The Fall」(『HATE ÜBER ALLES』収録)02:42~のようなオーラも漂います。
本編は疾走。
サビではちょっと速度を落として曲名を区切る唱法が映えます。
02:33からは冒頭のパート再び。
クワイヤ(02:52~) → 切れ味抜群の演奏とシャウト(03:11~)への流れにも燃えます。
「Deathscream」
「Blood Of Our Blood」に引き続き、00:05から「Hate Über Alles」00:09~のようなシャウトが再び。
サビではバスドラ連打の中でのキャッチーな曲名伸ばし → ブルータルな曲名伸ばしがかっこよくキマッています。
02:14~のミレのテンション高めのVoからその後キレキレのギター・ソロが予想しちゃいますが、ここは意外にも控えめな音での展開。
なかなかいい引き具合です。
「Loyal To The Grave」
クワイヤがミステリアスな空間に響き渡る中、ミレが曲名を繰り返しながら歌い始めます(これがサビ)。
キャッチーで高品質な歌メロです。
要所要所で主張するメロディックなギターも見事で、より前面に出る03:13~のフレーズも刺さります。
クワイヤを再び登場させる03:31~や適度に引っ張ってエンディングにつなげる04:25~もいいアレンジ。
1週間前にリリースされた『ALTER BRIDGE』のラスト「Slave To Master」も盛り上げすぎないエンディングが見事でしたが、この「Loyal To The Grave」もそんな感じの終わり方です。