MEGADETHの最終作です。
デビュー作やキャリアの途中でセルフ・タイトル作を発表するケースは多くみられますが、最終アルバムがセルフ・タイトルになるのは珍しいですね。
かっこいい締めくくり方です。
今後、最終作をセルフ・タイトルにするバンドが増えてくるかもしれません。
【メンバー】
デイヴ・ムステイン<Vo/G>
テーム・マントゥサーリ<G>
ジェイムズ・ロメンゾ<B>
ダーク・ヴェルビューレン<Ds>
『MEGADETH』のレビュー
『MEGADETH』より1週間前にKREATORの『KRUSHERS OF THE WORLD』がリリース。
『HATE ÜBER ALLES』(2022年)も力作でしたが、より焦点が定まった強力作でした。
今回のMEGADETHもそんな感じで、『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』(2022年)がより引き締まった作風。
プロボクサーがベスト中のベストのウェイトとコンディションで最後の試合のリングに上がるようなイメージです。
- KREATOR『HATE ÜBER ALLES』(2022年6月10日) → 『KRUSHERS OF THE WORLD』(2026年1月16日)
- MEGADETH『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』(2022年9月2日) → 『MEGADETH』(2026年1月23日)
両バンドが同じようなリリース間隔というのも興味深いです。
本編ラストの「The Last Note」は圧巻。
バンドへの感謝と敬意を込めながら聴くと、こみあげてくるものがあります。
「Tipping Point」
ささやかに刺激的なイントロから段階的に盛り上げていき、00:39から「Life In Hell」(『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』収録)のようにドカンとなります。
本編は疾走。
デイヴのエネルギッシュなヴォーカルもかっこよく、要所要所のリード・ギターもエキサイティング。
特に02:20~(テーム)、02:42~(デイヴ)は緊張感があります。
02:53からデイヴの邪悪さが増してスローになり、以降ミディアム・テンポになりますが、エンディング間近で爆走。
緩急が見事です。
「I Don’t Care」
出だしのジェイムズのガキガキしたベースと曲名を含めたデイヴの歌い始めが絶妙なハマり具合。
サビではバイオレントに「gotta know」を繰り返して盛り上げます。
ギター・ソロ(デイヴ)は少しテンションをズラした感じの意外な音域でスタートし、徐々にエキサイティングになっていく構成。
デイヴによる02:25~が名曲「She-Wolf」(1997年『CRYPTIC WRITINGS』収録)03:00~に通じます。
「Hey, God?!」
曲名と共にミドル・テンポで進行
「Symphony Of Destruction」(『COUNTDOWN TO EXTINCTION』収録)をノリ良くさせた感じです。
00:29~は「Symphony Of Destruction」00:52~のよう。
同系統のフレーズでサビに入ります。
「Symphony Of Destruction」は低音Voが独特でしたが、この「Hey, God?!」は少し音域を上げての攻めがハマっています
適度にダークが暴れる(01:23~) → ギター・ソロ(テーム → デイヴ)もいい流れです。
「Let There Be Shred」
「We’ll Be Back」(『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』収録)のように突き刺さるギターでスタートします。
本編は「We’ll Be Back」をやや減速させたスタイルで進行。
弾力性もあるので「飛び跳ねた”We’ll Be Back”」といった感じです。
サビでは曲名で歌い終えるところが独特で、テンポを変えてのギター・ソロ(02:30~/デイヴ)も刺激的。
ダークのドラムの連打でのエンディングにも引き寄せられます。
「Puppet Parade」
サビ前は「Angry Again」のように吐き捨て気味、サビでメロディアスになります。
サビは「The Sick, The Dying… And The Dead!」(『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』収録)04:36~も想起。
デイヴがソフトに「Die, die, die」と歌っていたパートですね。
02:37からは「Foreclosure Of A Dream」(『COUNTDOWN TO EXTINCTION』収録)のようなオーラに包まれます。
「Another Bad Day」
00:18~の哀愁ギターが心地良く浸透します。
サビでは少し邪気を込めながらの曲名の繰り返しが魅力的で、ギターの絡まり具合がまた絶妙。
中音域でのギター・ソロ(テーム)も始まりから刺さります。
最後のサビは哀愁度が強まる03:02~のギターがいいですね。
「Made To Kill」
出だしのドラムが一瞬「Sweating Bullets」(『COUNTDOWN TO EXTINCTION』収録)を思わせますが、本編はアグレッシヴ。
疾走パートを絡めながら進行します。
00:35~のデイヴのリード・ギターに緊張感があり、歌い出しもかっこいいです。
疾走は01:13~でデイヴのVo → テームのリード・ギターの構成がエキサイティング。
2回目の疾走ではデイヴが高音域ギター(03:14~)で刺激してきます。
「Obey The Call」
悲哀ギターを軸としたイントロ → 「Angry Again」を少しスローにした曲調で進みます。
デイヴの吐き捨て唱法、間隔の空け方が独特で、サビでは低音域をキープしながらのメロディアスな歌メロが魅力的。
少し歪曲的なギター・ソロ(02:13~/テーム)もなかなかツボです。
02:57~が想定外かつ見事な転換点。
ドラムがドコドコ → 疾走 → 1回目とは異なるテンションでのギター・ソロ(テーム → デイヴ → テーム)というアツい展開をみせます。
「I Am War」
VAN HALEN「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」(1978年『VAN HALEN』収録)がちらつく始まりです。
デイヴは中音域ベースで大きな緩急をつけることなく歌い、サビでもこれを維持。
ギターも中音域で控えめに絡まります。
02:48からテームのギターが前面に出てエネルギッシュになっていきますが、すぐサビへ。
曲名から攻撃的な曲調を予想しがちですが、クールに進行するナンバーです。
「The Last Note」
切ない演奏とデイヴの低音による語りに始まり、硬質な本編へと移行します。
02:42~が見事。
デイヴによるアコースティック・ギターが予想外のタイミングで前面に出て、その後エレクトリックなテームのギター・ソロへと突入します。
あとは04:30~。
本編が終わり、アコースティックと語りによる最後の最後のパートです。
ここでは過去の名曲の数々が脳内でハイライトされるはず。
初めてこのパートを聴いた時、「A Tout Le Monde」(1994年『YOUTHANASIA』収録)が思い浮かび、ジーンとくるものがありました。
そして歌詞もすばらしい。
特に印象的だったのが01:56~。
「Raised on chaos, fed by the crowd」
直訳:混沌とした中で育ち、群衆に養われた。
→ 混沌とした中で育ち、ファンに支えられた。
→ 混沌に揉まれながらも、ファンのおかげでここまで来れた。
多くの壁を乗り越えながら全力でバンド活動に取り組んできたことを、ファンへの感謝も含めながら振り返っていて、体が震えます。
「いやいや、デイヴ。感謝するのは私たちのほうだよ。私はあなたに何度も何度も支えられた」
聴き終えた後はそういった気持ちになります。
最高のラスト・ソングです。
※「The Last Note」が終わった後、すぐに次の「Ride The Lightning」が始まりますので、「The Last Note」の後はいったん停止、ひと呼吸置いてから「Ride The Lightning」を聴くことをおすすめします。
「Ride The Lightning」
METALLICAの再録。
ジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒ、クリフ・バードン、そしてデイヴによる作曲です。
メタリックでクリアな音質でオリジナルに忠実に進行していきます。
デイヴはオリジナルより音域を下げての歌唱。
張り上げた感じで歌うのかと予想していたので、意外でしたが、ちゃんと曲調にハマっています。
プレイリスト
『MEGADETH』リリース前に公開していたプレイリストをアレンジしました。
以下を踏まえての内容です。
- 『MEGADETH』には「Ride The Lightning」の再録があるので、デイヴ・ムステインがクレジットされているMETALLICAの曲
- MEGADETHは全スタジオ・アルバムからの選曲
- 『MEGADETH』収録曲に「Hey God?!」があるので、「!」と「?」が付いている曲全て
- 名盤『RUST IN PEACE』からは全曲。「Dawn Patrol」「Rust in Peace… Polaris」 → 以降はアルバムとは逆の曲順
- 『MEGADETH』からも全曲
- 最後はフランク・シナトラの「My Way」
SENTENCED『THE FUNERAL ALBUM』(2005年)
キャリアの締めくくりが見事だった最終作をもう1作。
2005年にリリースされたフィンランドのSENTENCEDの8作目です。
- アルバム・タイトルが『THE FUNERAL ALBUM』
- 最後の曲が「End Of The Road」
制作時から最終作にするつもりだったバンドのこだわりが感じられます。
「End Of The Road」は、
- 切なく美しいメロディ(01:50~) → 物悲しさをを漂わせながらも達成感を感じさせる演奏
がまさに「最後の曲」といった感じで最高です。