初めてWINGERを観た時のことを思い出しながら書きました。
3rdアルバム『PULL』(1993年)の時の来日です。
ジョン・ロス<G>加入後初の日本公演。
ジョンはバックVoでもフォローし、曲によっては担当楽器を変えたりと臨機応援かつ安定感のあるパフォーマンスでバンドを支えていました。
キップとレブがステージで伸び伸びとプレイできるのもジョンのおかげなのかも。
充実のステージを観ながらそう思いました。
【来日メンバー】
キップ・ウィンガー<Vo/B/G>
レブ・ビーチ<G/Harmonica>
ジョン・ロス<G/B/Key>
ロッド・モーゲンスタイン<Ds>
【公演日/会場】
1993年11月2日(火):神奈川・CLUB CITTA’
開演前
会場に入れたのは開演約30分前。
EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』(1992年)が流れていて、「Stop The World」ではサビを一緒に口ずさみながら体をゆっくり動かしている人もいました。
客入りは8割ぐらい。
MR. BIG『BUMP AHEAD』のTシャツを着ているファンもいましたね。
当時の日本公演は1993年は10月9日~10月31まででしたので、観に行ったのでしょう。
開演前のステージを見てみると、マイクスタンドが中央にも設置。
これを見て「キップ、今回はインカムは付けないのかな?」と思ったのですが、曲によってマイクスタンドとインカムを使い分けていました。
後半は覚えていないのですが、
- 「Blind Revolution Mad」~「Headed For A Heartbreak」…マイクスタンド
- 「Down Incognito」~「Miles Away」…インカム
となっていました。
セットリスト
Blind Revolution Mad
Madalaine
Loosen Up
Headed For A Heartbreak
Down Incognito
Junkyard Dog (Tears On Stone)
Spell I’m Under
Miles Away (Acoustic)
No Man’s Land
You Are The Saint, I Am The Sinner
Can’t Get Enuff
Easy Come Easy Go
ENCORE:
Who’s The One
Time To Surrender
Seventeen
『PULL』から6曲演奏されました。
セットリストに一番多く組み込まれつつも、『WINGER』(1988年)からは4曲、『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990年)からは5曲がプレイされ、それまでのキャリアをうまく総括した選曲となっています。
「Blind Revolution Mad」
「Like A Ritual」終盤のトライバルなリズムを取り入れたノイジーなオープニングSEの後にスタート。
アコースティックのイントロはカットされ、エレクトリックなパートから始まりました。
2007年の『WINGER LIVE』のオープニングと同じだったと思います。
キップは歌い出しから声がよく出ていてアルバムに忠実。
中盤の「I’ve already gone craz~~y」の張り上げのところもちゃんと声が出ていました。
すばらしい。
「Loosen Up」
こちらも『WINGER LIVE』と同じ始まり方でした。
要所要所にバックVoが重なるナンバーですが、レブがしっかりとフォロー。
この時はレブばっかり見ていたため、おそらくジョンも一緒に歌っていたのだと思います。
2番のサビからギター・ソロに入るまでの時間がアルバムより長めに設定されていました。
「Headed For A Heartbreak」
この曲ではジョンがキーボードを担当。
セットの前半にバラードが登場するのは意外でしたが、後に「Spell I’m Under」「Miles Away」「Who’s The One」が演奏されるのを考慮すると、バランスのいい配置となっていました。
「Down Incognito」
「Headed For A Heartbreak」の後、レブが「Baptized By Fire」のイントロを演奏。
正確でとても上手。
その後「Baptized By Fire」本編には行かず、聞こえてきたのは「Down Incognito」のハーモニカ(アルバム音源)でした。
キップはインカムを付けながらのパフォーマンス。
歌い出しの「Days undercover~」はアルバムとは違って聞こえたのですが、これはこれでかっこいい響きでした。
中盤のハーモニカはレブがプレイしていました。
「Junkyard Dog (Tears On Stone)」
アルバム同様、ヘヴィな演奏がかっこよかったです。
「Ain’t no master~」(02:19~)のパートはジョンが歌っていて、高音がちゃんと伸びていました。
ライヴでの演奏は04:03まで。
後半のアコースティック・パートはカットされ、その後ジャムに突入しました。
「Spell I’m Under」「Miles Away (Acoustic)」
この2曲ではキップが座りながらアコースティック・ギターを担当。
- 「Spell I’m Under」…バンド演奏。ジョンはベース
- 「Miles Away」…キップ1人
だったと思います。
「Headed For A Heartbreak」でジョンがキーボードを弾いた時、「Miles Away」でもジョンがキーボードを弾くことを想定していたのですが、このアコースティック・ヴァージョンもすばらしいアレンジでした。
「No Man’s Land」
「Miles Away」終了後、しばらく間をおいて、ロッドがあの爆発力のあるドラムを叩きだしてスタート。
ロッドのドラムに合わせて照明が光るのも効果的でした。
03:14~では、ジョンとレブが笑顔で向き合いながらのパフォーマンス。
かっこよく締めくくっていました。
「You Are The Saint, I Am The Sinner」
オープニングのコーラスのフェードインはなしでロッドのドラム連打でスタート。
アルバムではゴージャスなバックVoがかっこよかったのですが、ライヴでは生々しさが出ていて、これが逆に良かったです。
特に02:03~はテクニカルさが際立っていてスリリングでした。
その後、「Can’t Get Enuff」「Easy Come Easy Go」とシングル・ヒット曲が続けて演奏されました。
「Time To Surrender」
アンコール1曲目に『PULL』のラストを飾った素敵なバラード「Who’s The One」が演奏され、この後に「Seventeen」がくると思っていたら「Time To Surrender」を挟んでくれました。
『WINGER』の中でも特に好きなナンバー。
あのエモーショナルかつダイナミックなイントロが聞こえてきた時はガッツポーズでした。
「Time To Surrender」の次に締めの「Seventeen」が演奏され、キップはエンディングで「ドウモアリガトウゴザイマシタ」と言っていました。
バンドがステージを去り、客電がつくまで「WINGER」コールも起こっていました。
終演後
「The Lucky One」が流れていました。
アルバムでは分厚いコーラスが魅力のWINGERですが、ライヴではレコーディングによるバックVoは使っていなかったように思います。
それでも物足りなさを感じず、むしろ充実感を得られたのはバンドのパフォーマンスがハイレベルだからなのでしょう。
楽曲の良さに加え、演奏の巧さを認識できたライヴでした。