K.K.ダウニングが全面プロデュースする英国ヘヴィ・メタル・バンドの2ndフル。
ヴォーカルは元INDUCTIONのクレイグ・ケアンズです。
TAILGUNNERはライヴではオリジナル曲に加え、以下のカヴァー曲も演奏していますが、デビュー作『GUNS FOR HIRE』(2023年)は、METALLICA『KILL ‘EM ALL』のように若々しく野心に満ちたサウンドに高品質なメロディを組み込ませた力作でした。
- DIO「Don’t Talk To Strangers」(1983年『HOLY DIVER』収録)
- METALLICA「Hit The Lights」(1983年『KILL ‘EM ALL』収録)
- RANDY「Beast In The Night」(1986年)
- JUDAS PRIEST「Painkiller」(1990年『PAINKILLER』収録)
今作はさらに音楽性が広がっていて、演奏も歌も格段にレベルアップ。
同日に『LOVE LILLS!』を発表したINDUCTIONを思わせる場面もあり、曲によってはクレイグのヴォーカルがラルフ・シーパーズ<Vo:PRIMAL FEAR>のように聞こえます。
また、際立つのが音域のアクセントのつけ方のうまさ。
「Follow Me In Death」「Dead Until Dark」「Blood Sacrifice」「Night Raids」がそれにあたり、メロディを下げる転換点の配置が絶妙です。
「Midnight Blitz」
BLUE MURDER「We All Fall Down」(1993年『NOTHIN’ BUT TROUBLE』収録)を思わせるサイレンでスタート。
メロディックかつエネルギッシュな演奏をバックに曲名を伸ばす00:14~がこれからの展開に期待を持たせてくれます。
サビは徐々に気分を高めてくれる高品質なメロディ。
最後に吐き捨て気味に曲名を歌うところが、それまでの伸びやかな歌唱と対照的でかっこいいです。
02:04から高音域のギター・ソロ。
同日リリースのINDUCTION「Steel And Thunder」のようにドライな音で攻めます。
エンディング間近はクレイグのハイトーンが伸びて、演奏もよりアグレッシヴに。
1曲目から燃えます。
「Tears In Rain」
00:00~のギターがいい感じに哀愁を漂わせます。
サビは切なさとエネルギッシュさが同居したすばらしいメロディ。
00:53~はKREATOR「Deathscream」(2026年『KRUSHERS OF THE WORLD』収録)のサビのようです。
KREATORではその後デス・ヴォイスが続く展開がエキサイティングでしたが、これを意識して聴くとこの「Tears In Rain」もデス・ヴォイスが合う曲調です。
01:57からギター・ソロ。
始まりの高音域がなかなかの刺さり具合で、02:19からは哀愁テイストが強まります。
音域を下げながら浸透度を高めていくアプローチがいいですね。
「Follow Me In Death」
疾走曲。
PRIMAL FEAR「Nuclear Fire」(2001年『NUCLEAR FIRE』収録)を少し緩めたような感じです。
00:16~のリード・ギターがメロディックで快感。
サビでは中音域の歌メロが伸びていき、01:02~で音域を下げる展開。
この01:02~が心地良く響きます。
ギター・ソロはサビの歌メロとは対照的に高音域中心。
最後は演奏がフェードアウトし、歌声が前面に出てフワッとして終わります。
「Dead Until Dark」
メロディックにドコドコ進んでいき、00:18から目が覚めるような高音域ギターが入ります。
それまでより音域を下げての00:39~の歌メロが絶品。
GAMMA RAY「Heaven Can Wait」(1990年『HEADING FOR TOMORROW』収録)のようで心が躍ります。
演奏パートも充実。
- エキサイティングなドラム(01:56~)→ 高音域ギター・ソロ
- 高音域ギターのみ前面に出る(02:08~) → 音域を下げて泣きを少し含めながら進行
最高です。
「Barren Lands And Seas Of Red」
00:05~のベースがいい弾力性。
その後ANNIHILATORのようにザクザクしながら疾走します。
01:02~のフワッとメロディックなギターがツボ。
サビの歌メロは割と普通なのですが、02:00~のリード・ギターがハイテンションで緊張感満点です。
2回目のサビの後の演奏パートもなかなかで、特にドラム連打の03:59~がスリリングです。
「War In Heaven」
ミステリアスにスタート。
00:13~のキーボードがちょっと80年代っぽいです。
クレイグは低音域寄りのVoをじっくり聴かせ、サビに向けて音域を上げていくスタイル。
サビでも80年代キーボードがいい感じにブレンドされます。
03:48~のエモーショナルなギター・ソロもなかなかの刺さり具合です。
「Blood Sacrifice」
疾走曲。
クレイグのヴォーカルは野性的で、
- 音域を下げる(00:36~) → 高音域のサビ
がいい盛り上げ方。
サビの後のエネルギッシュなギター(00:58~)にも燃えます。
ギター・ソロは高音域 → 中音域 → 高音域の展開をみせますが、特に音域が下がる01:58~にゾクゾクします。
02:47~のガッツある歌声にも力が入ります。
「Night Raids」
こちらも疾走。
シャープなギターと共に進行し、サビはメロディアスなヴォーカルとギターが絶妙に融合します。
2回目のサビの後の02:11~がまたいい歌メロでバックVoも見事な装飾具合。
この時点でギター・ソロに期待しちゃいますが、そのままソロに移るのではなく、02:41~でいったん引くところにセンスを感じます。
ギター・ソロは高音域 → 中音域で魅了。
やはり転換の仕方がうまいです。
「Eye Of The Storm」
湿り気があるメロディックなギターを軸に進行し、サビでは徐々に高揚感が高まるメロディが展開します。
1回目は減速させてからサビに行くのですが、これがいい流れ。
2回目のサビの歌い終わりに高音域ギターが絡まってソロに移る構成や、再度減速させる02:41~も見事な緩急です。
PRIMAL FEARを思わせるナンバーなので、同名異曲の↓も聴きましょう(特に04:43~が絶品です)。
「Eulogy」
ドラマティックな音像の中で哀愁ギターが響き、00:58からいい感じにドラムが暴れます。
01:11からスピーディな本編に入り、サビではINDUCTIONを思わせるスケールの大きい歌メロ。
01:45からメロディックなギターを絡ませるアプローチも見事です。
02:53からギター・ソロ。
始まりの高音域の刻みがかっこよく、その後も高音域ベースで進んでいきます。
攻撃性重視、切れ味抜群です。