スウェーデンのラップ・メタル・バンドによる8作目。
2007年7作目『LIFE WILL KILL YOU』から19年ぶりのアルバムです。
『LIFE WILL KILL YOU』以降は、
- 2013年にいったん解散
- 2014以降フェスに出演
- 2017年にシングル「Save Our Souls」をリリース…本作には未収録
といった流れを踏んでいて、2019年以降は本作収録の以下のシングルを発表しています。
- 2019年:「Tear You Down」
- 2022年:「Environmental Patients」
- 2025年:「Scum」「Ball & Chain」「Big Brother」
- 2026年:「Going Down (Like Titanic)」
12曲中6曲が先行公開曲ですが、先行公開曲が抜群の出来で、残りの曲も充実していますので満足の1枚です。
CLAWFINGERには以下の魅力がありますが、今作もその強みが見事に生かされています。
- ザック・テル<Vo>の低音域~中音域の個性的なラップ
- サビでは魅力的な歌声によるキャッチーなメロディ
- 重厚で弾力性のある演奏
リズミカルなザックの歌で気分を盛り上げて、サビでドキッとさせる構成が絶品です。
メロディの質の高さに加え、曲によって異なる歌声で惹きつける攻めも魅力の1つです。
「Scum」
『LIFE WILL KILL YOU』のオープニング「The Price We Pay」のような曲調。
00:10~に警戒心が高まります。
ザックのヴォーカルは吐き捨て気味。
サビでは曲名をコールした後に00:10~のギターが流れるのですが、これがいい配置。
01:06~の衝撃音にもエキサイトさせられますし、音声で引き込ませる01:41~もさすがです。
「Ball & Chain」
弾力性のある曲調にザックのリズミカルなヴォーカルが絶妙にマッチします。
そしてサビでドラマティックになりゴージャスなメロディが重なるという最高の展開。
2回目のサビの前に少し歌詞を強調する唱法もキマッています。
だんだんささやき気味になるエンディングもユニーク。
ザックの声がいいからこそ生きるアプローチです。
「Tear You Down」
「Ball & Chain」より厚みが増して進行します。
00:19~のキーボードがいいテイスト。
サビでは、
- キーボードをバックに曲名を吐き捨て → 曲名を歌う
のスタイルが最高にかっこいいです。
曲名を歌うところは声そのものに魔力があるので尚更燃えます。
「Big Brother」
LACUNA COIL「Blood, Tears, Dust」(2016年『DELIRIUM』収録)を控えめにしたような始まり。
ミステリアスな中、ザックはソフトに歌い始め、00:52からヘヴィなギターが重なります。
サビではギターがよりズシンズシンと響き、「Big brother’s watching you」の繰り返しがなかなかの中毒性。
「Big」つながりで名曲「Biggest & The Best」(1997年『CLAWFINGER』収録)も聴きましょう。
「Linked Together」
ゴリゴリしながら始まりますが、ザックの声が入るといったんゴリゴリが引きます。
00:50からユニークな歌声と共に再びハードに。
サビではパワフルなかけ声が加わり、ザックも力強く吐き捨てます。
少しアンドロイドっぽい02:40~もいい刺激です。
「A Perfect Day」
小鳥の鳴き声で始まり、ポカポカした中でソフトかつリズミカルに展開。
しばらく同じペースで進んでいきますが、02:20あたりからだんだんザックのテンションが上がっていきます。
そして03:08~でピタッと静かになって再び小鳥。
夢から覚めたような感覚になります。
緊張感が最高潮に達して終わるのではなく、引いて締める構成がうまいです。
「Going Down (Like Titanic)」
「Tear You Down」のようにサビに魔力があります。
最初は摩訶不思議なオーラに包まれながらザックのラップが進行。
この後にゴージャスなサビが待ち受けているとは思えない曲調です。
そしてヘヴィになってサビへ。
やはりここでも「Tear You Down」のように歌声そのものが魅力的ですね。
最高です。
01:11~の奇妙な声もいいスパイスです。
「You Call Yourself A Teacher」
骨太でバイオレントなナンバー。
やけくそ気味に早口で曲名を歌うサビがかっこよく、ミステリアスなキーボードもいいテイスト。
サビの終わりの「Be nice」に気持ちが引き締まります。
音域を下げて野太く「Be nice」を伸ばすエンディングにも燃えます。
「A Fucking Disgrace」
ブルージーでゆがんだ始まりがなかなかツボ。
00:41から曲名をコールしてヘヴィなギターが重なりますが、渋さも維持しながら少しズレた感じで進行します。
つかみどころのない曲調がたまりません。
ドラム連打(01:18~) → サビもいい構成。
サビではザックとバックVoで曲名を繰り返しますが、バックVoの歌声がここでもやはり魅力的です。
「Kill The Dream」
神秘的なオーラに包まれながらソフトに始まります。
- 「A Perfect Day」のような展開?
- でも「A Perfect Day」は終盤予想外だった
- この「Kill The Dream」はどうか
などとその後の展開をいろいろと想像しているうちに01:13から爆発力のあるサビに突入。
ザックの曲名のコールにドキッとさせられ、ガッツのあるバックVoが重なります。
02:14~のキーボードもいい突き上げで、その後も、
- テンションを上げながら吐き捨てるザック、
- 躍動感のあるバックVo
とかっこいい展開が続きます。
「Environmental Patients」
ミステリアスでヘヴィな始まりにKO。
ザックの歌が入ってからはフワッと進行しますが、00:50~のギターが徐々に気分を盛り上げます。
そしてザックの歌声のみになってサビに突入。
重厚な「We are」が程良くいい刺激を与えてくれて、ザックのラップとも見事なマジックを起こしています。
「Before We All Die」
00:38~のギターがズシンズシンとしていていい響きです。
アグレッシヴに進み、ザックもかなり力を込めた唱法。
サビでは分厚い歌声で曲名を歌うスタイルがハマっています。
ソフトな歌声で曲名(02:33~) → 激しい口調もいい挿入パート。
ドラマティックになり、力強く締めくくるエンディングも見事です。