『BACK WITH A BANG!』(2024年)から約2年ぶりとなるアルバム。
通算9作目でハネス・ブラウン<Vo>が歌う最後の作品です。
ハネスはバンドを辞めるわけではなく、今後はソングライティングやプロデュースなとでバンドを支えていきます。
セルフタイトル作となる今作は、
- 新曲
- 『STEEL OF SWABIA』(2008年)収録曲の再録…「Heart Attack」「Out In The Rain」「Lie For Me」「Steel Of Swabia」「Against The World」「Only The Good Die Young」
- 「Love Me Hate Me」(2010年『ADDICTED TO METAL』収録)の再録
で構成され、『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録に下記ゲストが参加しています。
- SALTATIO MORTIS
- AMARANTHE
- アンナ・ブルナー<Vo:LEAGUE OF DISTORTION, EXIT EDEN>…ハネスのパートナー
- PRIMAL FEAR
- サム・トットマン<G:DRAGONFORCE>
- EKLIPSE…ドイツの女性弦楽四重奏バンド
『STEEL OF SWABIA』のオリジナルはSpotifyでは配信されていませんので、うれしい再録です。
アルバムそのものは、新曲でスタート → 新曲によるエンディング。
再録は全てオリジナルを上回っており、新曲も全曲ハイクオリティという充実の内容です。
特に最後の「Good In Goodbye」はジーンときます…。
- 「Glory Days」
- 「I Salute You」
- 「Heart Attack – 2026」
- 「Night Is Calling」
- 「Out In The Rain -2026」
- 「Love Me Hate Me – 2026」
- 「Lie For Me – 2026」
- 「I’ll Be」
- 「Steel Of Swabia – 2026」
- 「Against The World – 2026」
- 「Nothing Breaks Like A Heart」
- 「Only The Good Die Young – 2026」
- 「Good In Goodbye」
- 「Not The End Of The Load」「The Best Is Yet To Come」で毎日を過ごす
「Glory Days」
新曲。
DEF LEPPARD 「Promises」(1999年『EUPHORIA』収録)っぽいスタートです。
あるいは25日に新譜『THRONE OF THORNS』を出すSTRYPERの「Calling On You」(1986年『TO HELL WITH THE DEVIL』収録)の始まりにも似ています。
サビでは郷愁感を漂わせながらもポジティヴな歌メロ。
突き上げていきながら「Take me back to the glory days」を伸びやかに歌うところが最高です。
全体的に『BACK WITH A BANG!』収録の名曲「The Best Is Yet To Come」を適度にヒートアップさせた感じです。
「I Salute You」
新曲。
SALTATIO MORTISとの共演です。
SALTATIO MORTISは「Good Life」(2022年『NOT THE END OF THE ROAD』収録)にも参加していました。
この「I Salute You」は最初からSALTATIO MORTISの個性が出ていて、バグパイプを前面に出して始まります。
本編ではグルーヴィな演奏と勇壮でキャッチーな00:16~が最高。
サビではハネスが伸びやかに突き上げ、絶妙のタイミングで00:16~のかっこいいバックVoが重なります。
ギター・ソロ(02:56~)は歌メロより音域を下げての始まりがいい刺さり具合。
ハネスが02:52~で高音を伸ばした後だからこそ生きるアプローチですね。
その後エネルギッシュにフレーズが進行します。
「Heart Attack – 2026」
『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録です。
出だしからオリジナルと異なり、この2026年版はトーキング・モジュレーターによるスタート。
GOTTHARDみたいでワクワクします。
00:40~のバックVoも華やかになっていてかっよく、早口の特徴的なサビにはダイナミックさが増しています。
ちょっとハネスの声が遠くなる01:47~もオリジナルにはなかったアレンジです。
「Night Is Calling」
新曲。
引き続きトーキング・モジュレーターが使われています。
00:23~の「Hey!」が力強くていいですね。
00:48~でいったんフワッとさせてエネルギッシュに曲名を歌うサビへの流れも見事。
その後の01:05~も絶品で、ノスタルジックで安堵感がありながらもポジティヴなメロディに魅了されます。
「Out In The Rain -2026」
『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録。
AMARANTHEとの共演です。
00:29からエリーゼ・リード<Vo>が歌い出し、00:48からハネスとハモります。
サビもハネスとエリーゼが一緒に歌い、演奏にはドラマティックさが加味。
特に音域を上げて伸ばす01:15~が圧巻です。
エリーゼの高音が前面に出る02:55~もアツいです
「Love Me Hate Me – 2026」
『ADDICTED TO METAL』収録曲の再録。
『ADDICTED TO METAL』から唯一の選曲で、2024年の日本公演でもプレイされていました。
オリジナルに忠実でありながら、00:25~など要所要所にゴージャスなバックVoを加えたアレンジ。
演奏にも厚みが増しています。
オリジナルでは最後のサビで音域を上げるハネスに惹きつけられましたが、この再録でもその唱法を引き継いでいます。
「Lie For Me – 2026」
『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録。
ハネスのパートナーのアンナ・ブルナー<Vo:LEAGUE OF DISTORTION, EXIT EDEN>が参加しています。
オリジナルではエレクトリックに進行していきましたが、この再録はアコースティックをベースとしたアットホームなアレンジ。
00:38からアンナが歌い始め、曲が進んでいくにつれて、熱量を加えていくパフォーマンスが光ります。
そして熱くなるにつれて、リジー・ヘイル<Vo/G:HALESTORM>っぽくなります。
圧巻の歌声が伸びて優しいバックVoが加わる03:21~も素敵。
テンポは異なりますが、全体的に「Six Feet Under」(2012年『MONEY, SEX & POWWER』収録)のような雰囲気がありますね。
「I’ll Be」
新曲。
00:02~が「Queen Of The Night」(『BACK WITH A BANG!』収録)00:00~に通じます。
本編は「Monsters」(『BACK WITH A BANG!』収録)のよう。
サビでは曲名を繰り返しながら少しずつ音域を上げていくアプローチがキマっています。
ハネスが音域を上げて伸ばす(02:40~) → ギター・ソロもすばらしい流れ。
「I Salute You」とは逆で、ハネスの歌声よりさらに高い音域でのフレーズというのがいいですね。
「I Salute You」同様、ギター・ソロは始まった瞬間刺さります。
「Steel Of Swabia – 2026」
『STEEL OF SWABIA』タイトル曲の再録。
PRIMAL FEAR、サム・トットマン<G:DRAGONFORCE>との共演です。
『STEEL OF SWABIA』の中でもメタリックなナンバーで、オリジナルにはなかった00:11~のハイトーンに燃えます。
そしてサビ前の短時間連打00:59~がいい刺激。
これはオリジナルでも効果的でした。
ギター・ソロも充実していて、
- 光速になる02:50~
- 少し速度を落としてメロディックな03:01~
と高いテンションを維持しながらもアクセント付けた攻めが見事です。
「Against The World – 2026」
『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録。
ドイツの女性弦楽四重奏バンド、EKLIPSEとの共演で、彼女たちはNIGHTWISHやKAMELOTとのツアー実績もあります。
演奏がより壮大になっていて、オリジナルをはるかに上回るクオリティ。
その中で切ないメロディが展開していきます。
「you and me」を繰り返す01:15~は特に刺さりますね。
ハネスが曲名を伸ばす(02:44~) → ギター・ソロもオリジナルのすばらしさを継承しています。
「Nothing Breaks Like A Heart」
新曲。
高品質な哀愁メロディアス・ソングです。
ノスタルジックなギター(00:08~)がもうたまりません。
ハネスの歌にほのかな泣きのギターが重なる00:38~もいいですね。
サビでは物悲しくきれいな歌メロが伸びていきながらも、曲名の「Nothing」を力強く歌うパフォーマンスが光ります。
ギター・ソロは音域が上がりそうで上がらない泣きのフレーズ展開が秀逸。
そしてサビを歌い直し始める03:17~にドキッとします。
「Only The Good Die Young – 2026」
『STEEL OF SWABIA』収録曲の再録。
「Love Me Hate Me – 2026」のようにゴージャスなアレンジです。
オリジナルでは、ノリが良い中での切ないサビが印象的でした。
この再録では重厚な演奏でその魅力を包み込みます。
03:13~は新規パート。
ハネスの高音域に続く分厚い歌がエキサイティングです。
「Good In Goodbye」
新曲。
ハネスが歌う最後の曲はバラードになります。
最初から涙が出そうになり、サビでは一層感動的なメロディが進行します。
そして02:34からはギターが涙腺を刺激。
歌メロも最高でハイトーンが伸びる03:01~は圧巻です。
切ないながらも未来に向けての前向きな気持ちも感じられる曲調。
私は2024年の東京公演に行きました。
- 曲が終わっても歓声と拍手をやめようとしないオーディエンス
- その熱狂的な反応に感激するハネス
- 観客にマイクを差し出すかっこいいハネスの姿
- 「Not The End Of The Load」演奏前、MCで勇気づけてくれたハネス
この曲を聴くと、あの時の様々な場面が自然と頭の中に蘇ります…。
「Not The End Of The Load」「The Best Is Yet To Come」で毎日を過ごす
2024年の来日公演で「Not The End Of The Load」をプレイする前にハネスは、コロナ禍の時に本気でバンドを終わりにしようと思ったことに触れつつ、
- Stay optimistic and go for it. Because it’s Not The End Of The Road.
悲観せずに目標に向かって突き進もう。まだ道半ばなのだから。
とエールを送ってくれました。
「The Best Is Yet To Come」(最良の時はこれからやってくる)も生きるモチベーションを与えてくれますし、ライヴの最後に演奏された「Raise Your Glasses」の歌詞にも「The Best Is Yet To Come」(00:53~)が含まれます。
生きている限りは「Not The End Of The Road」そして「The Best Is Yet To Come」。
そう思いながら「Stay optimistic」を心がければ、毎日をワクワクしながら過ごせそうです。
あの来日公演はエキサイティングな時間だけでなく人生訓の場でもありました。