超人フロ・モーニエ<Ds>を中心とするカナダのテクニカル・デス・メタル・バンドの通算9作目。
マット・マギャキー<Vo>加入後では4枚目のアルバムとなります。
『AS GOMORRAH BURNS』(2023年)から約2年ぶりで、マット加入後では一番短いリリース・スパン。
マットは邪悪なエネルギーを吐き捨てるVoと暴虐的なシャウトの2つのスタイルを巧みに使い分け、突進力がありながらも予測不可のサウンドと共に畳みかけます。
「Embrace The Nihility」には『WHISPER SUPREMACY』(1998年)と『…AND THEN YOU’LL BEG』(2000年)でリードVoを務めていたマイク・ディサルヴォがゲスト参加しています。
【メンバー】
フロ・モーニエ<Ds>
マット・マギャキー<Vo>
クリスチャン・ドナルドソン<G>
オリ・ピナード<B>
『AN INSATIABLE VIOLENCE』のレビュー
『AS GOMORRAH BURNS』も強烈でしたが、今回もすさまじい。
CRYPTOPSYはブルータルな演奏にエキサイティングかつメロディックなギターを組み込むのがうまいですが、以下でそれが聴けます。
- 「The Nimis Adoration」…02:12~
- 「Until There’s Nothing Left」…02:54~
- 「The Art Of Emptiness」…01:55~
- 「Our Great Deception」…02:23~
- 「Embrace The Nihility」…02:46~
さらに「The Art Of Emptiness」では02:12~で高音ギターとマットのシャウトが絶妙にマッチ。
ここはもう最高です。
また「The Art Of Emptiness」はアルバム後半の1曲目になりますが、『AS GOMORRAH BURNS』の後半1曲目「Flayed The Swine」同様、出だしで魅了します。
「Flayed The Swine」はキリキリかつメロディックなギターが印象的でしたが、「The Art Of Emptiness」は心地良いリズム・パターンと低音ヴォイスが刺激的です。
マイク・ディサルヴォがゲスト参加した「Embrace The Nihility」は上述のギターに加え、終わり方が興味深い。
曲のエンディングのヴォーカル・パターンが「…And Then It Passes」(2000年『…AND THEN YOU’LL BEG』収録)と同じになっています。
※「…And Then It Passes」は曲名をコールして終わりましたが、「Embrace The Nihility」は曲名とは異なる歌詞での締めくくりです。
ラストの「Malicious Needs」は『AS GOMORRAH BURNS』の「Praise The Filth」と同じく、アルバム収録曲の中で最長。
攻撃をいったん止めてからヘヴィに引っ張る03:34~がかっこよく、「Praise The Filth」のように余韻を残す終わり方がハマっています。
「…And Then It Passes」と映画『マトリックス』
「Embrace The Nihility」と締め方が同じの「…And Then It Passes」。
この曲の00:12~の元ネタが映画『マトリックス』(1999年)になっています。
地下鉄の駅でネオ(トーマス・アンダーソン)とエージェント・スミスが対決するシーン。
迫ってくる地下鉄の音についてエージェント・スミスが言うセリフです(01:57:55~)。
- You hear that Mr. Anderson? That is the sound of inevitability.
日本語字幕は「聞こえるか? 運命の音が近づいてくる」
「Embrace The Nihility」 → 「…And Then It Passes」 → 『マトリックス』の順に楽しむのもありですね。