2017年1月31日にオリジナル・メンバーのジョン・ウェットン<Vo/B>が他界してしまい、その後はメンバー・チェンジを行いながらツアーを実施していたASIA。
2019年~2021年はロン“バンブルフット”サール<Vo/G>もフロントマンを務めていました。
本作は、ジョン・ウェットン最後の作品となった『GRAVITAS』(2014年)以来約12年半ぶりのアルバムで、メンバーは以下になります。
- ジェフ・ダウンズ<Key>
- ハリー・ウィットリー<Vo/B>
- ジョン・ミッチェル<G>…IT BITESのフロントマン
- ヴァージル・ドナティ<Ds:PLANET X>
ハリーのヴォーカルはジョン・ウェットンに通じるものがあり、透明感があって情熱的な歌唱が見事です。
唯一のオリジナル・メンバーであるジェフのプレイもさすがで、要所要所でインパクトのあるフレーズで魅了します。
「Tattoo Indigo (Part 2)」「Tattoo Indigo (Part 3)」「Chesapeake Bay」はジョン・ウェットンとジェフの共作。
「Chesapeake Bay」にはオリジナル・ギタリストのスティーヴ・ハウがアコースティック・ギターで参加しています。
初期の名盤2タイトル(1982年『ASIA』と1983年『ALPHA』)を思わせる曲があるのも魅力。
「Tattoo Indigo (Part 1)」は『ASIA』 → BLACK SABBATHというアツい展開です。
「The Traveller (Into The Light)」
少し軽快な「The Heat Goes On」(『ALPHA』収録)といった感じのスタート。
本編に入ると爽快かつエモーショナルなジェフのキーボードが楽曲を照らし、ハリーが伸びのある声で歌い始めます。
サビでは清涼感が増し、01:24からはジェフが控えめながらも徐々に突き上げ、01:38からは本格的なキーボード・ソロで魅了。
ハリーの声質が変わる02:55~ → 歌声が伸びる → ギター・ソロがまた最高の流れで、ソロは郷愁を感じさせながらもエネルギッシュに展開するフレーズが魅力的です。
04:17からはスケールの大きいジェフのキーボード。
これがわりと長く続き、いい感じに安堵感を与えて終わります。
「Change Of Heart」
「The Smile Has Left Your Eyes」(『ALPHA』収録)のような極上ナンバー。
「The Smile Has Left Your Eyes」は『ALPHA』の2曲目で、同曲を思わせるこの「Change Of Heart」もアルバム2曲目というのがまたいいですね。
00:13~のハリーの歌い出しはジョン・ウェットンと錯覚するほどですし、ジェフの切ないピアノも「The Smile Has Left Your Eyes」です。
サビでは高音域メロディが美しいハーモニーと共に展開し、「The Smile Has Left Your Eyes」01:16~に通じる高揚感。
音量控えめでノスタルジックな歌声を響かせる01:34~も効果的です。
02:44からは「The Smile Has Left Your Eyes」02:21~のような雰囲気になります。
「Arcadia」
ドラマティックでハードな00:17~ → ジョン・ミッチェルの哀愁ギター(00:34~)が最高。
まるでアルバムのエンディングのようです。
00:57からは物悲しいキーボードが鳴り響き、その後ハリーが歌い始めるのですが、これがまたすばらしいメロディ。
サビはきれいなハーモニーと共に曲名を伸ばすスタイルがハマります。
2回目のサビの終わりで音域を上げる03:56~にも気持ちが高まり、その後はジェフ・ワールド。
切なく沈ませた後に音域を上げる04:12~、静寂の中で間隔を置いてキラリとさせる04:23~に惹きつけられます。
「Is This The Life?」
切なく始まりますが、本編は爽快。
サビではハリーの高音域が冴えます。
2回目のサビ後の02:41~がまたすばらしい歌メロで、02:55からはジェフのきらびやかなキーボードが前面に出て、歌声にエコー。
そして03:04からジョン・ミッチェルが高音域ギターで突き上げます。
「Tattoo Indigo」
「Part 1」~「Part 3」の三部構成で、
- 「Part 1」…インスト
- 「Part 2」…ソフトで歌あり
- 「Part 3」…ハードで歌あり
となっています。
一番のおすすめは「Part 1」で00:35~が「Time Again」(『ASIA』収録)のよう。
01:13~なんかは直後に「Time Again」の歌が入ってきそうです。
そして01:45~からBLACK SABBATH「Heaven And Hell」(1980年『HEAVEN AND HELL』収録)のようにヘヴィに進行。
過去のASIAの名曲をリンクさせた後に想定外のBLACK SABBATHという構成が最高です。
02:31からはまた「Time Again」になり、03:09からはヴァージルがエキサイティングなドラムを披露。
終盤は再度「Heaven And Hell」になります。
「Part 2」は01:19~の分厚いハーモニーがASIAならでは。
「Part 3」はジョン・ミッチェルのエモーショナルなギター(00:00~、01:12~)が刺さります。
03:14~のハーモニーにはホッとさせられますし、ハリーの高音域もアツい。
勇壮な03:40~も組曲のエンディングにぴったりです。
「Life In The Sun」
00:22~のギターがGUNS N’ ROSES「November Rain」(1991年『USE YOUR ILLUSION I』収録)07:09~のようで最高です。
そして00:57からは極上ハーモニー。
割と唐突な始まりにドキッとさせられ、01:07からは「November Rain」風のフレーズが絡みつくというたまらない展開です。
02:32からは「November Rain」風のソロ。
ハリーが一瞬パワフルになる03:27~もさすがのパフォーマンスですし、ヴァージルのドラムが迫ってグルーヴィになる03:58~にもワクワクさせられます。
「Hymn For The Fallen」
包容力があって透明感のある00:00~にうっとりさせられます。
00:22~のハリーの歌い出しがすばらしく、
- 音域を下げて声を響かせる00:41~
- 音域を上げて声を切り上げる00:51~
と短時間で音域を操りながら魅了します。
ヴァージルが軽くドコドコさせる03:46~もいい効果。
04:01からは雰囲気を変えて骨太かつ渋めに進行し、エンディングに向かいます。
「Night And Day」
軽く突っつく00:05~が心地良く、サビ前に伸ばす00:56~が「Here Comes The Feeling」(『ASIA』収録)のサビ前に通じます。
サビそのものは「Here Comes The Feeling」を減速させたような感じで進行し、01:34~がまた「Here Comes The Feeling」のラストのように刺激的。
さらに最後も「Here Comes The Feeling」のように締めくくります。
初期の名曲を思わせる場面があちこちに散りばめられていて最高です。
「Valencia (The Ghost Ship)」「An Elegy」「Chesapeake Bay」
「Valencia (The Ghost Ship)」は「そんなに怖くないホラー」的な雰囲気を伴いながらリズミカルに進行。
サビではミステリアスさをほのかに含ませたハーモニーが素敵です。
そして切ない小曲「An Elegy」を挟み、オリジナル・ギタリストのスティーヴ・ハウがアコースティック・ギターで参加している「Chesapeake Bay」へ。
スティーヴは弾き始めからインパクトがあり、土臭いフレーズで魅了します。
特に00:57~はジェフのピアノとスティーヴのギターによるマジックが感じられますね。
ハリーの歌声が伸びる02:21~も見事。
オリジナル・メンバー2人が演奏していることを意識すると、ここの声がジョン・ウェットンのように聞こえます。
「On A Winters Night」
清涼感を伴いながらスローに進行する中、重厚でキャッチーな01:03~が魅力的。
音域を下げての02:11~もすばらしく、湿り気のあるフレーズが途切れ途切れで主張する02:37~がまたユニークです。
そしてエンディング間近の04:08~がいい転換点。
雰囲気を変えて神聖な音で引っ張ります。
「Echo Of You」
3曲目の「Arcadia」がアルバムのエンディングを思わせるような劇的な始まりでしたが、実際にラストを飾る「Echo Of You」は哀愁ポップ・ソング。
切ない音像の中でフワッとする01:03~が特徴的で、01:36から哀愁あるハリーの歌が前面に出た後、美しいハーモニーと共にリズミカルなサビが展開します。
03:42からは程良く重厚感が加わり、その後は音域を上げてのサビ。
04:23からは歌に高音域ギターが絶妙に絡まりながらフェードアウトしていきます。