カリスマ・シンガー、アンディ・ビアサックを中心とするアメリカのバンドによる7thフル。
フル・アルバムは『THE PHANTOM TOMORROW』(2021年)以来、約4年半ぶり。
これまでで一番長いアルバムのブランクを経てのリリースです。
『THE PHANTOM TOMORROW』はアンディの美声が生かされた魅力的なメロディが満載で、特に「Blackbird」「Torch」がすばらしく、スクリームに哀愁を漂わせる「Crimson Skies」も最高でした。
『THE PHANTOM TOMORROW』以降はEPとシングルの発表が続いていて、「そろそろアルバムを聴きたいな」と思っていたので、うれしいリリース。
『VINDICATE』収録で既発のシングルをリリース順にすると下記になります。
- 「Bleeders」(2024年4月26日)
- 「Hallelujah」(2025年7月17日)
- 「Certainty」(2026年1月8日)
- 「Vindicate」(2026年3月19日)
- 「Revenger」(2026年4月23日)…MACHINE HEADのロブ・フリンが参加
アグレッシヴな曲が多く、スクリームも効果的に駆使していて、初出の曲も高品質なものばかりです。
「Cut」にはLilith Czar(アンディの妻)が参加。
Lilithはバラード「Lost It All」(2013年『WRECHED AND DIVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』収録)でも共演していましたが、今回は極上メロディアス・チューンです。
『THE PHANTOM TOMORROW』のように1曲目だけでなくアルバムの途中にも小曲がいくつかあり、『THE PHANTOM TOMORROW』以上に効果的な役割を果たしています。
「Invocation To The Muse」 「Vindicate」
神聖なスタート → 語りで構成される序曲「Invocation To The Muse」から「Vindicate」へ。
「Vindicate」はアンディのスクリームと共に突進する00:17~に燃えます。
00:40~のかけ声がガッツポーズ級の力強さで、サビでは低音域の高品質なメロディ。
テンションを上げてから、緊張感を緩める展開が見事です。
ジリジリ(01:46~) → スローでヘヴィ(02:02~) → 加速(02:18~)と段階的に盛り上げる構成もうまいですし、00:40~の演奏を再配置する02:42~もかっこいいです。
「Certainty」
不穏でありながらも壮大なスタート → 曲名 → ズシンズシンと進行する00:11~に引き込まれます。
00:11~はちょっとMETALLICA「Sad But True」(1991年『METALLICA』収録)のようです。
そして、アンディの乾いたスクリーム(00:55~) → クリーンVoのサビが最高。
両極端のパフォーマンスの切り替えがすばらしく、サビではメロディのすばらしさにうっとりします。
「Bleeders」
2024年4月26日に公開。
先行公開曲の中で一番古いナンバーです。
ゆっくりとしながらも重厚な演奏の中で勇壮な歌声を響かせるスタイルがキマッています。
02:25~のスクリームと連打がエキサイティングで、始まりが適度に不安定なギター・ソロ(02:47~)もツボ。
そして03:06~の高速連打にさらにテンションが上がります。
04:04~でスクリームを伸ばし、再度高速連打で刺激して引っ張る04:23~も見事な締め方です。
「Hallelujah」
「Bleeders」の次にリリースされたシングル。
00:06~がマシンガンのような迫力です。
攻撃的に進んでいきますが、サビではスローになって、アンディの伸びやかな歌が展開。
2回目のサビでは適度なボリュームで加わるバックVo(01:56~)が魅力的です。
躍動感が増す02:12~もいいですね。
さらにすばらしいのが02:55~の神聖な歌声で、これがダイナミックな楽曲と見事にマッチ。
本編終了後の03:50~に再度登場させる構成がまた絶品です。
「Cut」
アンディの妻のLilith Czarが参加。
アンディとLilithは2016年に結婚していますが、結婚前には壮大なバラード「Lost It All」(2013年『WRECHED AND DIVINE: THE STORY OF THE WILD ONES』収録)で共演しています。
ストリングスを駆使した物悲しいスタートがたまらなく「今回もバラードで魅了か」と思っていたら、00:30からハード・ロック調に。
ここから極上メロディの洪水が押し寄せます。
00:58からLilithが登場。
「Lost It All」では曲の後半から追いかけてきた彼女ですが、今回は早めに歌い始めてくれます。
01:53~のデュエットもすばらしく、02:47からは2人の異なる歌メロを交錯させながら魅了。
かすかに聞こえてくる02:59~のストリングスもいいテイストです。
そして03:13からはLilithの伸びる歌声に重なる形で哀愁ギター・ソロ。
最高です。
「Purgatory (Overture IV)」「Revenger」
悲壮感がありながらも壮大な「Purgatory (Overture IV)」 → MACHINE HEADのロブ・フリンが参加した「Revenger」への流れを踏みます。
「Revenger」は、
- BLACK VEIL BRIDESでいえば「Crimson Skies」(『THE PHANTOM TOMORROW』収録)
- MACHINE HEADでいえば「CHØKE ØN THE ASHES ØF YØUR HATE」(2022年『ØF KINGDØM AND CRØWN』収録)
のようなガツンとしたスタート… ですが、00:08からは哀愁ギターで魅了。
ロブが参加しなさそうな雰囲気になるところが面白いです。
スクリームで進行し、サビはクリーンVoを軸にゴージャスに展開。
ロブは01:14から歌い始め、1回目のサビ前にはなかった01:36~がいいアクセントとなっています。
間隔を置いての連打(02:28~)も刺激的ですし、徐々に歌声で気分を高めていく02:32~は「CHØKE ØN THE ASHES ØF YØUR HATE」01:43~を思わせます。
「Sorrow」
「Hallelujah」のような神聖な雰囲気で始まります。
本編はダイナミック。
サビではアンディのクリーンVoが滑らかに進んでいき、近未来風で浮遊感を感じさせる01:13~が効果的です。
03:01~のスクリーム+連打もいい盛り上げ方。
適度に引っ張っるエンディングにも引き寄せられます。
「Grace (Interlude)」「Ave Maria」
物悲しいながらも透明感がある「Grace (Interlude)」から疾走曲「Ave Maria」に突入。
00:13~のスクリーム+連打が迫力満点です。
00:24からはマシンガンのようになりますが、サビでは劇的な音像の中でクリーンVo。
そして勇壮な00:40~がかっこよく響きます。
どんどん激しくなっていく中、サビでの予想外の緩めと極上メロディにドキッさせられます。
より雄々しい歌声の02:31~もいい攻めです。
「Woe & Pain」「Eschaton」
アンディの低音Voが響く中、ジリジリする00:37~が特徴的。
歌メロの展開は「Bleeder」に似ています。
01:29~のラップがいいテイストで、02:09~の連打もエキサイティング。
そして、DISTURBED「I Will Not Break」(2025年)のような「オ!」「オ!」(02:27~) → 哀愁ギター・ソロ(02:36~)がたまりません。
さらにすごいのが03:04~。
予想外のタイミングでの連射に思わず声が出てしまいました。
「Woe & Pain」が終わると同時に切ない本編ラスト「Eschaton」が始まります。