独特の存在感を放つ女性シンガー、マリア・ブリンクを擁するアメリカのIN THIS MOMENTの9作目。
『GODMODE』(2023年)以来、約3年ぶりのアルバムです。
2014年5作目『BLACK WIDOW』から4作品続けて3年以内に1枚のペースでアルバムを出してくれています。
混沌としたヘヴィな演奏とフワッとさせながらも攻撃性を維持したマリアのヴォーカルに引き込まれます。
収録曲の中では特に「Crawl」が強烈。
2025年7月16日にリリースされたキム・ドラキュラとの共演曲「Heretic」も収録されています。
「Wrapped Around Your Finger」はTHE POLICE、「Another Brick In the Wall」はPINK FLOYD、「Something I Can Never Have」はNINE INCH NAILSのカヴァーで「Another Brick In The Wall」にはキャット・ヴォン・Dが参加。
いずれもオリジナルに敬意を払いつつ独自の魅力を加えたアレンジがすばらしく、特に「Wrapped Around Your Finger」が新鮮です。
「I Want To Believe」はDAYSEEKERとの共演です。
「Shame」
00:39~がSALIVA「Hit ‘Em Where It Hurts」(2026年『BREAKING THROUGH』収録)00:00~のよう。
マリアのスクリームが途切れながらもリズミカルに展開していく01:08~が独特です。
サビはその01:08~を軸に展開。
「Big Bad Wolf」(2014年『BLACK WIDOW』収録)01:46~のような中毒性があります。
妖艶さを加える01:48~がまたすばらしい。
「I Want To Believe」
DAYSEEKERとの共演。
フワッとした曲調にエモーショナルな歌メロが絶妙に組み込まれます。
01:18~のロリー・ロドリゲス<Vo:DAYSEEKER>も美しくていい響き。
02:47から徐々にマリアの声がカオスになっていくのもIN THIS MOMENTならではです。
DAYSEEKERでいえば「Pale Moonlight」(2025年『CREATURE IN THE BLACK NIGHT』収録)に通じるものがあります。
「Crawl」
邪気を徐々に開放していくようにマリアが歌っていきます。
いったん引いて「crawling」をつぶやく(00:56~) → ダイナミックでドコドコしたサビの構成が最高にかっこいい。
曲名を伸ばしながら突き上げる02:30~にもテンションが上がります。
最後のサビでちょこっとメロディをひねるところにもセンスを感じます。
「Into The Dark」「Sleeping With The Enemy」
「Into The Dark」は間を空けながらつぶやくように歌うスタイルが独特。
音域が上がり声が艶やかになる01:31~、劇的な02:33~がなかなかで、03:11~のスクリームには切なさも感じられます。
「Sleeping With The Enemy」はドン!(00:02~) → ドドン!(00:09~)がいい刺激。
マリアがテンションを上げる(00:50~) → バスドラ連打 → メロディアスなサビが心地良く、サビの終わりに声を静めてつぶやく01:19~がとてもいい緩め方です。
「Wrapped Around Your Finger」「Heretic」
「Wrapped Around Your Finger」はTHE POLICE(1983年『SYNCHRONICITY』)のカヴァー。
オリジナルはポップで爽快なメロディが心地良かったですが、IN THIS MOMENT版はミステリアスな中でオリジナルに忠実なメロディが展開していきます。
ドコドコして近未来的になる03:52~も斬新です。
「Heretic」は2025年7月16日に発表されたキム・ドラキュラとの共演曲。
始まりがRUSH「Subdivisions」(1982年『SIGNALS』収録)のようで、00:34~がキムの「Modecular Conversion」03:16~のようにアブノーマルで燃えます。
ちなみに「Modecular Conversion」は「Heretic」からほぼ1年後の2026年7月22日にリリース。
03:16~まではキムのクリーンVoによる哀愁メロディで魅了します。
「Father」~「Something I Can Never Have」
スロー2曲 → カヴァー2曲の構成になります。
「Father」はマリアが一瞬浮かせる01:20~に耳が反応し、連打を加える02:58~がいいアクセント。
「Without Me There’s No You」は言葉数多めのささやき(01:31~)とその後のサビが魅惑的です。
「Another Brick In The Wall」はPINK FLOYD(1979年『THW WALL』収録)のカヴァーでキャット・ヴォン・Dとの共演。
あのメロディがアンドロイド風にフワッとしながら展開します。
01:03~のスクリームも燃えるポイントです。
「Something I Can Never Have」はNINE INCH NAILS(1989年『PRETTY HATE MACHINE』収録)のカヴァー。
オリジナルの魅力でもあった切ないピアノがここでもちゃんと受け継がれています。
NINE INCH NAILではトレント・レズナーの歌声は通常処理でしたが、このIN THIS MOMENT版ではエフェクト声になっています。
マリアがゲスト参加した曲
EVA UNDER FIRE「Villainous」
マリアはこれまで様々なアーティストと共演していますが、直近ではEVA UNDER FIRE「Villainous」(2026年『VILLAINOUS』収録)に参加。
サビの00:57~が「Sleeping With The Enemy」の01:19~に通じます。
FIVE FINGER DEATH PUNCH「I Refuse」
さらに遡るとFIVE FINGER DEATH PUNCH。
2018年『AND JUSTICE FOR NONE』に収録されていたバラードの2025年版で、このちょうど2か月後にキム・ドラキュラとの「Heretic」がリリースされています。
マリアは2番から歌い始め、サビではアイヴァン・ムーディー<Vo>と感動的かつアツいメロディを繰り広げます。
曲の始まりがALTER BRIDGE「Godspeed」(2019年『WALK THE SKY』収録)を思わせるのも魅力です。
ちなみにFIVE FINGER DEATH PUNCHでは「Anywhere But Here」(2013年『THE WRONG SIDE OF HEAVEN AND THE RIGHTEOUS SIDE OF HELL, VOLUME 1』収録)にもマリアが参加しています。