THUNDERが14作目『DOPAMINE』を2022年4月29日にリリースしました。
2021年13作目『ALL THE RIGHT NOISES』からわずか1年後にアルバムを発表。
バンドの創作意欲が感じられる傑作です。
『DOPAMINE』の魅力を紹介していきます。
『DOPAMINE』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の14曲がおすすめです。
■THUNDER/DOPAMINE (2022年)
- The Western Sky
- One Day We’ll Be Free Again
- Even If It Takes A Lifetime
- Black
- Unraveling
- The Dead City
- Last Orders
- All The Way
- Dancing In The Sunshine
- Big Pink Supermoon
- Across The Nation
- Just A Grifter
- I Don’t Believe The World
- Disconnected
- Is Anybody Out There?
- No Smoke Without Fire
メンバー
- ダニー・ボウズ<Vo>
- ルーク・モーリー<G>
- ベン・マシューズ<G>
- クリス・チャイルズ<B>
- ハリー・ジェイムズ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. The Western Sky
程良くガツンとくる出だしがいいですね。
ヘヴィなギターを軸に進行していくグルーヴィな曲。
ダニー・ボウズ<Vo>のやや低音よりの歌唱もハードな演奏と見事にマッチしています。
02:10からはギター・ソロ。
ソウルフルでメロディアスなフレーズが染みてきます。
02:42でいったん出だしのガツン+ハリー・ジェイムズ<Ds>の流麗なドラミングを交えて、またメロディックなギターに移行する流れも素晴らしい。
出だしのガツンは曲の締めくくりにも登場。
引き締まります。
2. One Day We’ll Be Free Again
DEF LEPPARDの「Armageddon It」(1987年4th『HYSTERIA』収録)を思わせるギター・サウンドでスタート。
そこにダニーのドライなヴォーカルが乗り、レトロな雰囲気を醸し出しながら曲は進んでいきます。
「Armageddon It」なギターは曲中鳴り続けていて、これがまた快感。
時折被さる女性Voもとてもきれいです。
少しドラマティックになる02:44からの展開もいいですね。
02:49からはダニーのひねりのある歌メロ、03:03からはエモーショナルなギター・フレーズが染みてきます。
3. Even If It Takes A Lifetime
土臭い雰囲気の曲。
渋い曲調の中でダニーの円熟味のある歌メロが展開されます。
01:19からのサビの流れは程良く体が温まる感じで秀逸。
バックで鳴るベン・マシューズ<G/Key>のピアノがまた心地良いです。
03:06からの演奏パートもブルージーでクールですし、03:52から前面に出る女性Voも「One Day We’ll Be Free Again」同様、いいアクセントです。
4. Black
最初のクリス・チャイルズ<B>の骨太なベースが印象的。
以降はシリアスな雰囲気で進んでいきます。
ダニーの歌は中音域であまり大きな展開をみせませんが、じわりじわりと響いてきます。
そしてベンのキーボードが素晴らしい。
曲中の至る所からミステリアスで印象的なフレーズが流れてきて、浸透度の高いダニーの歌とも見事に呼応しています。
ピタッと止まる終わり方にもハッとさせられます。
6. The Dead City
ハリーの徐々に迫ってくるドラミングで始まるミディアム・テンポのナンバー。
この曲はギター・ソロがおすすめです。
ウェットなギター・サウンドとダニーのナチュラルなヴォーカルで進んでいき、ギター・ソロは02:33から。
メロディアスなフレーズが放たれ、徐々にエモーショナルになっていく展開が素晴らしいです。
7. Last Orders
静と動の表現が光る曲です。
最初は静かな感じで進んでいきますが、01:50からハードなギターが被さりノリの良い展開に。
エレクトリックになった後は、程良くヒートアップするダニーの歌とシャープなギターが心地良いです。
03:20で再び静かになりますが、ここのパートがまたいい。
ブルージーな雰囲気中でのハリーのドラミングがかっこいいです。
そして、またエレクトリックになってエンディングに向かいます。
8. All The Way
ドンドンするハリーのドラムとエネルギッシュなギターでスタート。
00:17からダニーのヴォーカルが入りますが、ここはQUEENの「We Will Rock You」(1977年6th『TOP OF THE WORLD』収録)っぽいです。
あとはギター・がかっこいいです。
02:09からのフレーズは求心力がありますし、02:32からのギター・ソロも渋くエネルギッシュで体中に響いてきます。
ダニーの歌に戻った後に再びギターのメロディックな旋律を前面に出すアプローチ(03:11~)もうまいです。
そして終わり方。
派手ではないのですが、それなりにハードさを維持して渋い感じで締めくくります。
「ここでいったん休憩。続きは後ほど」的な雰囲気が出ていて、なかなかナイス。
ここまでが前半となります。
9. Dancing In The Sunshine
曲名にあるとおり、太陽の光をイメージさせる曲調。
ウェット感と爽快感がいい感じにブレンドされたギター・サウンドとダニーのポジティヴ感覚を前面に出した歌メロが心地良く響き渡ります。
曲のバックでさりげなく鳴りつつ所々前面に出るベンのキーボードもいいスパイス。
オープニング「The Western Sky」とはやや対照的ともとれるアプローチがまた興味深いです。
10. Big Pink Supermoon
ベンのピアノを基軸として進行していくブルージーなロック・ナンバー。
曲中ではオルガンも被さり、要所要所で渋いギター・フレーズが顔を出します。
ダニーはレトロな雰囲気の中で若干のアクセントを加えながら等身大の歌唱を披露。
見事です。
03:37からはエモーショナルなギター・ソロ。
04:33からはサックスも入り、ジャズっぽさが増していきます。
03:37からの演奏は特に圧巻です。
11. Across The Nation
ハードでエネルギッシュなギターが光る曲。
00:49でのハリーの力強いスネアも、ちょっとしたプレイなのですがインパクトがあります。
01:07からのサビでは、ダニーの歌メロとギターのメロディアスなフレーズが見事に呼応。
そしてバックからベンのキーボードがいい感じに耳を刺激します。
02:20からのギター・ソロも曲が進むにつれてフレーズがどんどん体中に浸透してきます。
13. I Don’t Believe The World
ベンのピアノを主軸にしたスロー・ナンバーです。
ちょっと不穏な感じで、ダニーのヴォーカルもややダーク。
でも、それがまた心地いい。
00:44での歌メロ、02:09からのコーラス・ワークもいい感じに妖しさを出していて、引き込まれます。
エネルギッシュに展開する02:35からのギター・ソロも、ミステリアスな曲調の中でキラリ。
コーラスがより前面に出る後半のアレンジにも拍手です。
14. Disconnected
「I Don’t Believe The World」同様、スローな曲ですが、この「Disconnected」はヘヴィなギターをコアとして進行。
ミステリアスさを増長させるダニーのヴォーカルとコーラスが最高です。
歌に関しては、ダニーが歌ってから終わるまで全てがハイライトといった感じで、中毒性の高いメロディが展開。
ハマります。
02:49からのちょっと浮遊感のある展開も、軽いジャブのような感じでいいフェイント。
そして後半は「I Don’t Believe The World」同様、コーラスが前面に出てきます。
ヘヴィでダーク、そして美しいです。
15. Is Anybody Out There?
ベンのピアノとダニーの歌によるバラード。
絶品です。
美しいピアノに切ない歌メロが展開されていきます。
02:51からの間奏も素晴らしい。
ラストに持ってきてもよさそうな感動的なナンバーですが、ラストの手前に配置するところがニクいですね。
で、次の「No Smoke Without Fire」がどうかというと、これがまたかっこいいのです。
16. No Smoke Without Fire
最後の曲は、ブルージーな感じで始まり、ハードに展開していくナンバー。
バンド演奏に突入後はクリスの弾力性のあるベースとハードなギターがかっこいいです。
ダニーは堂々とした歌唱で魅了してくれますし、01:40で聴けるように女性コーラスも魅力的。
02:24からのメロディックなギター・フレーズも説得力抜群ですね。
そして、03:20からの女性コーラスとダニーの熱唱。
こういうのを聴くと「ああ、最後だなあ」って思います。
ここは本当に気持ちが高まります。
このまま盛り上がって終わるのかと思いきや、再びブルージーな感じに戻ってアルバムは幕を閉じます。
総評
THUNDERの『DOPAMINE』の聴きどころを紹介しました。
ハードな曲、ブルージーな曲、ジャズっぽい曲、バラード…バラエティに富んだ内容です。
前半(「The Western Sky」~「All The Way」)と後半(「Dancing In The Sunshine」~「No Smoke Without Fire」)に分けてみると…
- オープニング「The Western Sky」はややヘヴィであるのに対し、9曲目(後半1曲目)の「Dancing In The Sunshine」はポジティヴな雰囲気
- 8曲目(前半のラスト)の「All The Way」は「後半につづく」的であるが、16曲目の「No Smoke Without Fire」は「ああ終わりだなあ」と思える
…といった感じで、前半・後半の始まりと終わりに違いが見られるのも『DOPAMINE』の面白いところです。
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