スティーヴ・ハリス<B:IRON MAIDEN>の息子、ジョージ・ハリス<G>率いるTHE RAVEN AGEの3rd『BLOOD OMEN』のレビューです。
2023年7月7日にリリースされました。
「クリーン・ヴォイス中心のBULLET FOR MY VALENTINE」といった感じの重厚でダイナミックなメロディック・メタルが展開されています。
IRON MAIDENを思わせるフレーズを盛り込んだナンバーや泣きのドラマティック・バラードもあり。
かなりの充実作です。
George Harris<G>
Matt James<Vo>
Tony Maue<G>
Matt Cox<B>
Jai Patel<Ds>
以下の8曲がおすすめです。
1. Changing Of The Guard
- 00:00~ 不気味
- 00:19~ IN FLAMESの「The Beginning Of All Things」(2023年14作目『FOREGONE』収録)っぽい
- 01:41~ 劇的さが増す
- 02:24~ 静まって00:00~の不穏な音。徐々にフェードアウト
約2分半のイントロです。
悲壮感を漂わせながら始まり、ドラマティック度が増長。
IN FLAMES「The Beginning Of All Things」の劇場拡大版といった感じです。
02:24の音が完全に消えるのとほぼ同時にアグレッシヴな「Parasite」がスタートします。
2. Parasite
FIVE FINGER DEATH PUNCHのアンディ・ジェームズ<G>がゲスト参加しています。
- 00:00~ BULLET FOR MY VALENTINE「4 Words (To Choke Upon)」(2005年1st『THE POISON』収録)の始まりに似てる
- 00:18~ 重厚でヘヴィ。00:26からメロディックなフレーズ
- 00:34~ 疾走。マットが歌い始める。00:40から被さるハーモニーがまた見事
- 00:50~ スローになってサビ。要所要所で伸びるマットの歌が特徴的
- 02:36~ エモーショナルなギター・ソロ…おそらくアンディがプレイ
- 02:50~ グリグリしながら疾走。緊張感が増す
- 02:58~ ライド・シンバルの連打がかっこいい
- 03:35~ ピタッと止まる → ヘヴィな演奏再開。03:44から「要警戒」のような雰囲気に
「4 Words (To Choke Upon)」のような始まりでもう虜になります。
以降は、ピリピリした雰囲気に包まれながら、ダイナミックかつメロディックに展開。
終わりかと思わせて演奏を再開する03:35からのアプローチも見事です。
IN FLAMES「The Beginning Of All Things」→ BULLET FOR MY VALENTINE「4 Words (To Choke Upon)」の順に聴くと、「Changing Of The Guard」→「Parasite」に通じるものがあって面白いです。
3. Serpents Tongue
- 00:00~ すでにエンジンが温まっているが、そこから徐々に気分を高めてくれる
- 00:19~ リズミカルかつメロディアスなVo。00:25からのかけ声に気合が入る
- 00:49~ サビ。伸びやかなVoが魅力的。01:20からはアグレッシヴなかけ声
- 02:29~ サビの歌メロを軸としたギター・ソロ
- 03:00~ 高揚感が増すVo。03:11からはスクリーム
- 03:15~ 静かになってサビを低音で歌う
メロディックなVoが伸びる、伸びるメタル・ナンバー。
随所に登場するかけ声がまたいいアクセントになっています。
03:11からのスクリームもかっこいい。
ちょっと強引なとらえ方をすれば、ここはマット・タック<Vo/G:BULLET FOR MY VALENTINE>っぽく聞こえます。
4. Essence Of Time
- 00:00~ メランコリック → マットの低音Vo
- 00:29~ 音が迫ってくる
- 00:45~ ハードでメロディックな演奏へ
- 00:59~ マット、エネルギッシュに歌声を伸ばす
- 01:20~ 絶品のサビ。グルーヴ感が増す演奏の中、ノリ良く歌メロが進行。01:33からのライド・シンバルが心地良く響く。
- 01:47~ 力強いかけ声
- 03:17~ バスドラ連打&刻み ↔ メロディックなギター。02:39~速弾き
- 04:17~ 悲哀なドラマティック音像が前面に出て…
- 04:25~ ド~ン!
曲が進むにつれてマットの歌の熱量が上がっていきます。
特にサビは最高ですね。
重厚な演奏の中で滑らかに進行する歌メロがすばらしい。
01:47のかけ声にも気合いが入ります。
5. Nostradamus
- 00:00~ 静かな演奏 → マットの渋い低音Vo
- 00:24~ マット、高音になり、バンド演奏。00:32からはスクリーム
- 00:41~ シャープに進行。マットはやや毒気のあるVo
- 00:58~ 伸びやかでメロディアス
- 01:16~ サビ。メロディアスさを維持しながらリズミカルさが増す
- 01:40~ スネアの連打 → ブレイクに気が引き締まる
- 02:33~ マットの歌声が伸びると同時に高音域のギター・ソロ。02:42からテンションが上がる
- 03:39~ マットのVoが伸びる → メロディックなギターが重なる
00:58~の流れが最高。
それまでとは異なる雰囲気での歌メロが伸びて、極上のサビへとたどり着きます。
02:33~と03:39~のVoとギターのメロディックな畳みかけも見事。
2回仕掛けてくるところがまたニクいです。
6. Forgive & Forget
- 00:00~ ドラムがドンドンと迫ってきてメロディックに進行
- 00:19~ マットのリズミカルなVo。バスドラ連打を軸としたシャープな演奏
- 00:59~ 高音域を中心とした伸びやかな歌メロ。演奏は再びメロディックに
- 02:30~ マットの高音が伸びる → 続くギター・ソロも高音域フレーズ
- 02:58~ IRON MAIDEN「The Clairvoyant」(1988年7th『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』収録)の00:19~に少し似てる
- 03:01~ ライド・シンバルの連打にキリッ
- 03:54~ Voが02:30より低めの音域で伸びて、「The Clairvoyant」的に
02:58からが特にかっこいいですね。
いいパートです。
しかも、ここだけでなく03:54からもそうなるのがうれしい。
「Nostradamus」同様、魅力的フレーズをリピート攻撃してきます。
7. The Journey
S級の劇的バラードです。
- 00:00~ キラキラしながらも物悲しい演奏
- 00:19~ マットがソフトに歌い始める
- 00:47~ マットの熱量が増し、バンド演奏へ
- 01:01~ 感動を畳みかけるサビ。ドラマティックな演奏の中で切ないVoが舞う。歌がないところでは泣きのギター
- 02:45~ 哀愁全開のギター・ソロ。02:59からの速弾きがいい感じに涙腺を刺激
- 03:27~ 低音域によるサビの歌メロ+ピアノを絡めた切ない演奏
- 03:55~ サビがこれまでより劇的に
PYRAMAZEが演りそうなナンバーです。
歌と演奏で可能な限り感動を詰め込んだサビの構成に拍手。
通常のサビだけでも最高ですが、03:27~や03:55~のようなアプローチを仕掛けてくるところにアレンジのうまさを感じます。
9. Tears Of Stone
- 00:00~ 雨。1曲目の「Changing Of The Guard」再び
- 00:18~ 「Changing Of The Guard」の01:14~にかなり低音のマットのVoが乗る
- 00:41~ 「Seventh Heaven」(2019年2nd『CONSPIRACY』収録)の00:20~のようなヘヴィで超かっこいい演奏。マットの歌も情熱的に
- 01:03~ バスドラ連打で勢いづき、アグレッシヴに進行
- 02:13~ サビ。切ない歌メロが高音域で伸びる。バックではメロディックなギター
- 03:57~ フレーズそのものは異なるもののIRON MAIDEN「The Clairvoyant」の02:02~のようなスイッチ
- 04:29~ モダンなIRON MAIDEN
- 04:57~ 徐々にスローになって、サビ
- 05:25~ さらに速度を落とし「Changing Of The Guard」へ
- 06:16~ 最後にあらためて聴くとSHINEDOWN「Call Me」(2008年3rd『THE SOUND OF MADNESS』収録)のエンディング(03:27~)に通じるものがある
ラストはオープニングの「Changing Of The Guard」にリンクする劇的チューンです。
濃密な曲構成の中にIRON MAIDENを思わせるアプローチがあるのがうれしい。
しかも再び「The Clairvoyant」。
曲の切り替え地点(03:57~)で「The Clairvoyant」の分岐点に似た手法をとっているのが面白いです。
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