英国のTHE DARKNESSが7thフル『MOTORHEART』を2021年11月19日にリリースしました。
素晴らしいアルバムですので、ここでおすすめします。
以下のような特徴が挙げられます。
- ジャスティン・ホーキンス<Vo/G>の個性的なファルセットは健在
- ジャスティンは、低音~中音域の歌唱でも魅了
- アルバム本編は約35分という短さ
- その35分の中に、様々な曲を配置
- ダン・ホーキンス<G>によるプロデュース…サウンドも高品質
『MOTORHEART』の収録曲とおすすめ曲
『MOTORHEART』は「Welcome Tae Glasgae」から「Speed Of The Nite Time」までが本編となります。
アルバム本編全曲(太字部分)がおすすめです。
■THE DARKNESS/MOTORHEART (2021年)
- Welcome Tae Glasgae
- It’s Love, Jim
- Motorheart
- The Power And The Glory Of Love
- Jussy’s Girl
- Sticky Situations
- Nobody Can See Me Cry
- Eastbound
- Speed Of The Nite Time
- You Don’t Have To Be Crazy About Me…But It Helps
- It’s A Love T hang (You Wouldn’t Understand)
- So Long
メンバー
- ジャスティン・ホーキンス<Vo/G>
- ダン・ホーキンス<G>
- フランキー・ポーレイン<B>
- ルーファス・テイラー<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Welcome Tae Glasgae
強烈なオープニングです。
骨太のギター・サウンドでスタートし、バグパイプが後ろで鳴り響くという個性的な始まり方。
そこにジャスティン・ホーキンス<Vo/G>のヴォーカルが入り、THE DARKNESSのシンボルともいえるファルセットで早くも魅了します。
ドラムが入って爆発力が増していくのですが、ここからがさらにすごい!
パワフルなコーラスも被さり、どんどんエネルギーが増していきます。
終わったかと思わせて、また攻撃再開する構成も絶品。
2分50秒ほどの長さなのですが、短時間の中にいろいろな展開を持たせるアプローチが素晴らしいです。
メンバーは、HM/HR史上最高のオープニングの1つであるGUNS N’ ROSESの「Welcome To The Jungle」(1987年1st『APPETITE FOR DESTRUCTION』収録)を意識したそうですが、「Welcome Tae Glasgae」は「Welcome To The Jungle」に匹敵する大迫力のオープニングです。
2. It’s Love, Jim
圧倒的な「Welcome Tae Glasgae」の後も攻撃を緩めません。
エッジの効いたギターとノリの良い演奏が心地良いロックン・ロール・ナンバー。
ジャスティンのメロディアスで要所要所にハイトーンを挟むヴォーカルが素晴らしいです。
ハイトーンに関しては、伸びと切れ味が抜群。
バックから響いてくる力強いかけ声もエキサイティングです。
爆音リフにメロディアスなフレーズを乗せるギター・サウンドも圧巻です。
3. Motorheart
ダイナミックで勢いあふれる曲。
鋭いリフにメロディアスなフレーズを乗せるギターと勇壮なコーラスでスタートするのですが、これが心地良い。
本編ではザクザク刻みながら疾走。
そこにジャスティンのハイトーンが乗ります。
そして冒頭でのインパクト抜群のギターとコーラスに再び流れていきます。
03:14からは語りかけるようなアプローチも登場し、そこからスリリングなソロへ流れていくのですが、この展開も圧巻です。
04:25からは物悲しさを感じさせるようなスローな曲調へ。
ここでのギターのフレーズにもグッときます。
4. The Power And The Glory Of Love
『MOTORHEART』の中では特にポップな感覚が強めに出ているナンバーです。
ジャスティンは中音域中心で、たまにインパクトのあるハイトーンを出すという感じ。
緩急をつけた歌唱がうまく、彼の歌うメロディが全編心地良いです。
ジャスティンの歌がない時は魅力あるギター・メロディが顔をのぞかせます。
そんなわけで、歌とギターに魅了されっぱなしの約4分間です。
5. Jussy’s Girl
「The Power And The Glory Of Love」に引き続き、ジャスティンの歌メロが素晴らしいです。
「The Power And The Glory Of Love」に比べるとややソフトな歌唱を軸としつつも、アクセントをつけるので、そのあたりは「うまいなあ」と感心させられます。
ギターはバックで叙情的なフレーズも奏でていて、これがいいスパイス。
このギターのアプローチとジャスティンの歌唱が抜群のコンビネーションをみせています。
6. Sticky Situations
スローでドラマティックな曲。
「Jussy’s Girl」のような叙情的なフレーズが組み込まれ、QUEENを思わせるようなコーラスも登場。
メルヘンチックで美しいです。
02:38からは情のこもったギター・ソロが素晴らしく、よりエモーショナルになります。
静と動の展開をみせる構成が絶品です。
7. Nobody Can See Me Cry
流れるようなクールなドラムからスタート。
アップテンポでノリが良いナンバーで「Motorheart」で得られたような興奮をここでも味わえます。
01:53からの演奏パートで、音のゆがみ、弾きまくりのギター・ソロ、テンポの変化など「何でもあり」的な雰囲気を醸し出すのですが、これが心地良いです。
8. Eastbound
「The Power And The Glory Of Love」と同系統のミドル・テンポのナンバーです。
ジャスティンは中音域中心でソフトな歌唱。
そして、その背後でのドライなギターが心地良く響き渡ります。
01:48からは語りとメロディアスなギターが絶妙に絡み合います。
ほんわかしたロックン・ロールです。
「Welcome Tae Glasgae」同様に、終わったと思わせて演奏再開のアプローチがここでも登場します。
ここの展開はドラムが特に素晴らしいです。
9. Speed Of The Nite Time
あっという間に本編ラストです。
ちょっとダークで浮遊感のあるナンバーですが、このアプローチが新鮮。
ジャスティンは低音~中音域中心のヴォーカルで説得力抜群。
神聖さも漂う劇的音像の中に響き渡るギターも快感です。
演奏は、エンディングに向けてミステリアスさを増していき、どんどん引きずり込まれていきます。
そして、その魔力のある演奏がフェードアウトしながらアルバムは幕を閉じます。
素晴らしいエンディングです。
総評
THE DARKNESSの『MOTORHEART』。
強力です。
まず、本編35分という短さが潔いです。
ノリノリのナンバーだけで突っ走るというスタイルではなく、爆発力のある「Welcome Tae Glasgae」で始まり、途中にノリ重視の曲やメルヘンチックなナンバーを挟み、最後は劇的な「Speed Of The Nite Time」で終えるという構成が練られた35分。
様々なタイプの曲を詰め込みながら突っ走るという中身の濃い35分間を体験できます。
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