STRATOVARIUS『SURVIVE』

STRATOVARIUSが2022年9月23日に16作目『SURVIVE』をリリースしました。

7年ぶりのオリジナル・アルバムです。

マティアス・クピアイネン<G>の加入後は…

  • 2009年12作目『POLARIS』
  • 2011年13作目『ELYSIUM』
  • 2013年14作目『NEMESIS』
  • 2015年15作目『ETERNAL』

…の順に作品をリリースしていますが、マティアス加入後では一番内容が充実しています。

後半には最高級の疾走曲も登場します。

そしてラストの「Voice Of Thunder」は『ETERNAL』の最後に収められていた「The Lost Saga」と同様、11分台の大作。

さあ、今回はどんな感動が待ち受けているか。

メンバー

  • ティモ・コティペルト<Vo>
  • マティアス・クピアイネン<G>
  • ラウリ・ポラー<B>
  • ロルフ・ピルヴ<Ds>
  • イェンス・ヨハンソン<Key>

『SURVIVE』の収録曲とおすすめ曲

以下の太字の10曲がおすすめです。

■STRATOVARIUS/SURVIVE (2022年)

  1. Survive
  2. Demand
  3. Broken
  4. Firefly
  5. We Are Not Alone
  6. Frozen In Time
  7. World On Fire
  8. Glory Days
  9. Breakaway
  10. Before The Fall
  11. Voice Of Thunder

おすすめ曲のレビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Survive

ロルフ・ピルヴ<Ds>のカウントから重厚でダイナミックな演奏がスタート。

00:30からイェンス・ヨハンソン<Key>のスリリングなキーボード(短時間ですがここでもうドキドキ)が入り、ロルフの叩きつけるドラムをバックにティモ・コティペルト<Vo>が歌い始めます。

魅力的な歌メロが展開されていきますが00:57からが特にヤバい。
イェンスのキーボードも前面に出てきて「来るぞ来るぞ」と高揚感が増していき、01:18からのサビを迎えます。

サビでは…

  • 「Only the strong will survive」とティモの声のみ
  • 演奏再開
  • そしてキャッチーなコーラス

…という熱い流れです。

シリアスな雰囲気に包まれつつもファイティング・スピリットにあふれている。

そんなメロディ構成です。

それまでのティモの歌メロをなぞる03:16からのマティアス・クピアイネン<G>のギター・ソロもメロディックでエモーショナル。
03:35からさりげなく顔を出し始めるイェンスのキーボードもいい味を出しています。

2. Demand

「Survive」同様、勢いのあるナンバー。

ポジティヴな雰囲気が前面に出たティモの歌メロが印象的です。

01:21からのイェンスのキーボードもナイス。
ちょこっと顔を出すアプローチが効いています。

特にすばらしいのは以下の流れ。

  • 02:19~ エフェクト処理の声
  • 02:28~ パワフルなかけ声
  • 02:37~ マティアスのギター・ソロ。染みる
  • 02:56~ 再びかけ声
  • 02:59~ イェンスのキーボード(「Survive」の00:30でのドキドキ・サウンド)
  • 03:06~ マティアスのソロ再び。よりエネルギッシュに

徐々にテンションが増していく構成に拍手です。

3. Broken

最初からすばらしい。

  • いい感じに連打を絡めたロルフのドラム
  • メロディックなイェンスのキーボードが絡みつく
  • シャープなマティアスのギター

そして00:24のかけ声と共にティモが歌い始めます。

ドラマティックな音像の中で魅力的な歌メロが展開。

00:56からのサビでは劇的さが増し、ティモが伸びのある歌唱で魅了します。

02:37からシンフォニック・サウンドがフェードインしてきた後の演奏も最高ですね。

  • 02:38~ マティアスのギター・ソロ。エモーショナル。バックではスリリングなキーボードが鳴る
  • 03:09~ 続いてイェンスのキーボード・ソロ。刺激的
  • 03:25~ 躍動感のある演奏になり03:45からサビ再び

サビの歌メロにひねりを加えた04:17からの流れも絶品です。

4. Firefly

印象的な歌メロ(これがサビ)から入り、マティアスのメロディックなギターを軸とした演奏がスタート。

以降はティモのリードVoとコーラスをうまく絡めながら進行、そしてサビという流れを踏みます。

明るい雰囲気を持つ曲ですね。

02:49からのマティアスのギター・ソロがまた魅力的。
それまでのポジティヴさを維持しつつも、シリアスさが程良く前面に出たフレーズが展開されます。

要所要所でスネアを叩くテンポを上げるロルフのドラミングもナイス。
いい感じに曲の勢いを保っています。

5. We Are Not Alone

イェンスのキーボードが前面に出た演奏を軸に進む心地良いナンバー。

00:33からはドラムとティモのヴォーカルのみで進んでいきますが、ここは「Darkest Hours」(2011年13作目『ELYSIUM』収録)っぽいですね。

そして00:57からは高音域を絡めながらの歌唱。
きれいで透明感があるティモの声が生かされたメロディです。

以下の流れもかっこいい。

  • 02:52~ 声に処理がかかる。適度に歪んだ感じが面白い
  • 02:59~ ロルフのドラムの連打
  • 03:12~ マティアスのギター・ソロ。情のこもったフレーズ→後半はメロディックに

04:19からの「終わりそうで終わらない」感の演奏もうまい。
くどすぎず、適度の引き伸ばすアプローチが見事です。

7. World On Fire

躍動感あふれるイェンスのキーボードを重厚なマティアスのギターを主軸とした勢いあるナンバー。

曲が進むにつれて気分が高まるティモの歌メロが魅力的です。
00:32で聴かれるように魅力的なコーラスを絡めるあたりもうまいですね。

01:04からのサビでは少しスローになって、キャッチーなメロディが展開。
清涼感があり、聴いていてホッとする歌メロです。
とても魅力的。

以下の演奏パートもエキサイティングです。

  • 02:38~ マティアスのギター・ソロ。速弾きを絡めながらエモーショナルなフレーズを放つ
  • 02:57~ イェンスのキーボードが前面に出て、よりシンフォニックに。ロルフのドラムの連打もクール

壮大さが増してくこの後の構成もすばらしいです。

8. Glory Days

記事の冒頭に書いた「最高級の疾走曲」。

キラー・チューンです。

  • 00:28~ ワクワクするコーラス→ティモのヴォーカル1本の流れを繰り返す
  • 01:07~ サビ。きれいなコーラスを絡めながらの魅力的な歌メロ。「Glo~ly days」と伸ばすパートが印象的
  • 03:07~ スローに。ティモが歌い終わる前にスリリングな演奏パートへ突入
  • 03:36~ 疾走再開。マティアスのギター・ソロ。だんだん熱くなっていく展開が秀逸
  • 04:03~ 再びスローに。劇的なコーラスに鳥肌
  • 04:19~ 再度疾走。サビへ

名曲「Against The Wind」(1995年4作目『FOURTH DIMENSION』の1曲目)を中音域寄りにシフトしたような極上メロディック・メタルです。

ヘビロテ間違いなし。

すばらしいです。

9. Breakaway

スローでドラマティックなナンバー。

疾走した「Glory Days」の後だからこそ、こういった曲が生きます。

ティモの歌は以下の流れ。

  • 00:23~ 静かになって ティモがソフトな歌唱
  • 01:02~ ちょっとテンションが上がり、透明感のある魅力的な声が前面に

そして01:33でロルフがスネアを叩き、劇的な演奏に突入するのですが、これがヤバい。
「ロルフのスネアにドキッとして、その後鳥肌」といった感じですね。
厚みにある演奏の中で絶品の歌メロが進行していきます。

歌に重ねて03:19からギター・ソロで畳みかける構成も見事。

ソロの後の03:41からのサビではマティアスもメロディックなフレーズでティモの歌に呼応します。

エンディングに向かう04:12からもシンフォニックさが前面に出ていて胸アツ。

終わり方がやや唐突といった印象ですが、それでも曲本編の展開がすばらしすぎます。

10. Before The Fall

出だしのコーラスの始まりが一瞬「The Lost Saga」(2015年15作目『ETERNAL』の最後に収録されていた大作)を思わせるので、これがラスト・ナンバーかと思っちゃいます。

曲本編はアグレッシヴ。

2013年14作目『NEMESIS』のオープニングを飾った「Abandon」を彷彿させます。

01:12からティモが「Befo~re the wall」と歌うところが印象的。
中音域と高音域を絡めながらのパフォーマンスが光ります。

「Glory Days」のようなエネルギッシュ・ナンバーが再び配置されているのがうれしい。

「Glory Days」より少し劣りますが、この「Before The Fall」もなかなかかっこいいです。

11. Voice Of Thunder

そしてこちらがラスト・ナンバー。

前作『ETERNAL』を締めくくった「The Lost Saga」と同様、11分台の曲です。

「The Lost Saga」は神聖な雰囲気で始まりましたが、この「Voice Of Thunder」は以下のように進行します。

  • 00:00~ アコースティック・ギターによる静かなスタート。ティモのソフトな歌唱
  • 01:25~ エレクトリックに。疾走はしないがパワフルな演奏
  • 02:57~ サビ。透明性のあるコーラスを絡めながらのグッとくる歌メロ

中盤も引き込まれます。

  • 05:08~ 「ウィーン!」なマティアスのギター 
  • 05:12~ 適度にメロディックな演奏 
  • 05:30~ ちょっとテンションを上げてエモーショナルに
  • 05:49~ イェンスの劇的キーボードが重なる

直前の歌メロを繰り返す08:07からのギター・プレイもナイスなアプローチ。

「The Lost Saga」では中盤のスロー・パートのヴォーカルが絶品でしたが、今回は08:38から同様の感動が味わえます。
歌そのものも「The Lost Saga」に通じるものがありますね。

メロディックなギターが重なり、劇的さを増してエンディングに進んでいく09:14からもすばらしい。

「The Lost Saga」同様、この「Voice Of Thunder」も圧巻でした。

総評

マティアス・クピアイネン<G>加入以降では、一番の強力作です。

シリアスな音像の中からポジティヴさも漂わせるアルバム表題曲「Survive」で幕を開け、メロディックかつダイナミックなナンバーを軸に進行。

そして後半ですね。

  • 疾走曲「Glory Days」
  • スローで劇的な「Breakaway」
  • 再びパワフルな「Voice Of Thunder」
  • 大作「Voice Of Thunder」で締めくくる

すばらしい流れです。

「Glory Days」はキラー・チューン。
何度でもガッツポーズをしたくなります。

11分台の「Voice Of Thunder」は、前作『ETERNAL』のラスト「The Lost Saga」とは異なり、疾走パートはありませんでしたが、それでもスリリングさを維持する構成がさすがでした。

濃密な曲が満載の極上メロディック・メタルです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました