マックス・カヴァレラ<Vo/G>率いるSOULFLYが12作目『TOTEM』を2022年8月5日にリリースしました。
超パワフルなアルバムですので、本記事でおすすめします。
SOULFLYの特徴としては以下が挙げられます。
- マックスの迫力満点の咆哮
- へヴィでアグレッシヴなサウンドにメロディックなギター・フレーズを被せるのがうまい
- トライバルな要素も取り入れる
- 2013年9作目『SAVAGES』からはマックスの息子、ザイオン・カヴァレラ<Ds>がドラム
『TOTEM』は、POWER TRIPの2013年1st『MANIFEST DECIMATION』と2017年2nd『NIGHTMARE LOGIC』(←名盤!)を手掛けたアーサー・リズクとマックスによる共同プロデュース。
サウンドも爆発力があって奥行きがあります。
あとはマックスのヴォーカルの音量ですね。
これまでのSOULFLYの作品ほど前面には出ていないのですが、アグレッシヴな演奏とうまく同化している感じで、非常にいいバランスです。
アーサーはリード・ギターも担当。
もしかしたら全曲で弾いてるのかもしれません(この記事を書いてる時点では、貢献の度合いが不明…)。
リード・ギタリストだったマーク・リッゾ<G>離脱後初の作品ですが、マーク不在のマイナス要素はなし。
魅力的なフレーズが随所に登場します。
そんな『TOTEM』のおすすめ曲をピックアップしながら、各曲の魅力を紹介していきます。
『TOTEM』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の8曲がおすすめです。
■SOULFLY/TOTEM (2022年)
- Superstition
- Scouring The Vile
- Filth Upon Filth
- Rot In Pain
- The Damage Done
- Totem
- Ancestors
- Ecstasy Of Gold
- Soulfly XII
- Spirit Animal
メンバー
- マックス・カヴァレラ<Vo/G>
- マイク・レオン<B>
- ザイオン・カヴァレラ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Superstition
スピード感があって大迫力のオープニング・ナンバーです。
トライバルな感じに始まり、アグレッシヴなギター・リフが重なりスタート。
00:20でのブレイクの入れ方なんかはSLAYERの「War Ensemble」(1990年5th『SEASONS IN THE ABYSS』収録)っぽいですね。
そして00:30からマックス・カヴァレラ<Vo/G>の咆哮がフェードインしてきて本編に入ります。
これがかっこいいのなんの。
そしてマックスのヴォーカルの音量ですね。
出すぎず、小さすぎずで。絶妙のバランスです。
00:40などで聴けるように、体内に染みこむようなギター・フレーズも健在。
ヘヴィなサウンドの中にインパクトのあるメロディックなフレーズを絡ませるのがうまいSOULFLYですが、マーク・リッゾが不在でもその強みをちゃんとカヴァーしています。
01:28でミステリアスなフレーズを絡ませる構成もなかなか緩急がありますし、02:42でのザイオン・カヴァレラ<Ds>の畳みかけるドラミングも気合いが入っていてナイス。
冒頭のトライバルな雰囲気に戻りエコーがかかる終わり方もクールです。
2. Scouring The Vile
OBITUARYのジョン・ターディ<Vo>がゲスト参加。
ヴォーカルが入るのは00:21からですが、ここはジョンでしょうね。
あるいは、この「Scouring The Vile」のヴォーカルはほとんどがジョンなのかもしれません。
どこがマックスでどこがジョンなのかは完璧には判別しずらいのですが、少なくとも曲のタイトル「Scouring The Vile~!」をシャウトするところはジョンだと思います。
ジョンのパフォーマンスによって曲に狂気さが出ていますね。
曲は00:45~のように鋭いリフを強調させながらアグレッシヴに展開していきます。
特にテンションが上がるのが01:24から。
- 01:33~ 爆走(ここのリードVoはマックス)
- 01:50~ ヒステリックなギター・ソロ
SLAYERの1986年3rd『REIGN IN BLOOD』を思わせます。
02:18からエコーがかかり、終わりかと思わせて攻撃を再開する構成もニクいです。
3. Filth Upon Filth
00:03からのマックスのメロディックなギターが印象的。
ここはパワー・メタルっぽい雰囲気も漂わせますね。
00:30からは鋭いリフが刻まれ、アグレッシヴさが前面に出ます。
「Superstition」ではマックスのヴォーカルの入り方がかっこよかったですが、この「Filth Upon Filth」もそう。
徐々に迫ってくる感じ(00:34~)が熱いです。
00:51からはザイオンのドラムとアグレッシヴなギターがドシンドシンと響いてきて、00:57からはマックスがテンションの高いシャウトで魅了。
エキサイティングです。
あとは01:31からのギターですね。
インパクト抜群のフレーズが放出され、バックではマックスの咆哮。
マックスの咆哮は抑えめになってるのですが、逆にそのアプローチがギターを際立たせています。
以下のマックスのギターも引き込まれます。
- 02:24~ ヒステリックな旋律
- 02:44~ 弾きまくり
そしてギターのテンションに合わせて暴れ出すザイオンのドラムも見事です。
4. Rot In Pain
攻撃的なマックスのギター・リフとザイオンの印象的なドラムによる幕開け。
気持ち良く体内に響いてきます。
00:27から本編突入。
それにしても音が分厚い。
大迫力です。
00:39からの「キーン!」としたフレーズも狂気さがにじみ出ていてかっこいいですね。
あとはマックスの歌が終わり、ギターが入るアプローチが2回(01:08~、01:41~)あるのですが、これがなかなかのパンチ力。
目が覚める感じです。
2回目の01:41からは、そのままエモーショナルなギター・ソロに流れていきます。
02:01からちょっと静かになり、攻撃的リズムが展開。
そして02:16からマックスのヒステリックなシャウト。
ここも圧倒されます。
6. Totem
ヘビににらまれたような情景を連想させる中、ザイオンがクールなドラムを響かせ、マックスのかっこいい号令(00:06~)と共に曲がスタートします。
マックスはクールな吐き捨て(00:40~)を絡めながらアグレッシヴなヴォーカルを展開。
サビのバック(01:03~)でのギター・サウンドがまたインパクトありますね。
しかも「Totem!」とアルバム・タイトルをコールする後ろでこのアプローチ。
たまりません。
02:09からの展開も深いです。
- 02:12~ ザイオンのドラムの連打
- 02:29~ マックスの声がフェードインし疾走
- 02:47~ マックスのシャウトが終わり切る前にメロディックなギター・フレーズが重なる
- 02:55~ 狂気じみたソロ
そして03:04からスロー・ダウン。
ヘヴィなリフが刻まれ、エンディングに向けてさらに速度が落ちていきます。
重く濃密なタイトル曲です。
7. Ancestors
スローに終わった「Totem」の後、再びじっくり攻撃再開といった感じです。
00:15で聴かれるように、打楽器を前面に出す攻め方が秀逸。
これが曲の中で何回か繰り返されます。
00:48からはメロディックなギターを鳴り響かせながら、マックスのヴォーカル+打楽器が展開。
こういうのもSOULFLYならではですね。
最高にクールです。
ギターが鳴り響き、ザイオンが重みのあるドラムを被せる01:30からの流れも見事。
そしてマックスがブルータルなヴォーカルを絡めます。
「Ancestors!」の後に続くシャウト(02:18~)は誰でしょう。
マックスではないような気がするのですが、いずれにしても刺激的なアプローチです。
8. Ecstasy Of Gold
出だしはTESTAMENTの1988年2nd『THE NEW ORDER』のような雰囲気です。
00:20からアグレッシヴな演奏に突入。
そしてマックスが迫力満点のヴォーカルを披露します。
00:54からの残虐性を強めるところなんかは「うまいし、すごいなあ」となります。
あとは01:39からのギターですね。
それまでの攻撃的モードとは対照的な感じでメロディックに展開。
で、01:58からヒステリックさが増していく…と思ったら、そこにマックスのシャウトが重なるんですね。
こういったギターと歌の畳みかけも見事です。
エンディングに向かう03:07からのフレーズも染みます。
9. Soulfly XII
曲のタイトルを見れば、何枚目のアルバムかが分かるというバンドのテーマ曲シリーズ。
『TOTEM』は12枚目のアルバムなので「Soulfly XII」となっています。
今回はミステリアスな曲調。
浮遊感もあって、なかなか心地良い2分半を体験できます。
総評
SOULFLYの『TOTEM』の聴きどころを紹介しました。
スピード感があってアグレッシヴなアルバムです。
魅力として以下が挙げられます。
- マックス・カヴァレラ<Vo/G>の咆哮の音量バランスが絶妙
- へヴィなサウンドの中からメロディックなフレーズを放出するアプローチも健在
- トライバルなアプローチもいいスパイス
- ザイオン・カヴァレラ<Ds>のドラムがパワフル
ただ、マックスの義理の息子のリッチー・カヴァレラ<Vo>がヴォーカル、POWER TRIPのクリス・ウルシュ<Ds/G>がリード・ギターで参加した9分半の大作「Spirit Animal」は、上に挙げたおすすめ曲に比べるとインパクトが弱めでした。
なので…
- 「Ecstasy Of Gold」まで興奮を味わう
- 「Soulfly XII」で余韻に浸る
…というのがしっくりきます。
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