SKID ROWの『THE GANG’S ALL HERE』が2022年10月14日にリリースされました。
元H.E.A.Tのエリック・グロンウォール<Vo>をシンガーに迎えての初のアルバム。
「1989年1st『SKID ROW』や1991年2nd『SLAVE TO THE GRIND』に匹敵する大傑作!」とまではいきませんが、なかなか聴きごたえのある作品です。
- エリックは幅広い音域を駆使して熱いヴォーカルを披露。高音に圧倒される場面多数
- レイチェル・ボラン<B>の骨太ベースが随所で光る
- 曲によってはH.E.A.Tっぽいゴージャスなコーラスもあり
- アルバムの雰囲気としては『SKID ROW』に近い
『THE GANG’S ALL HERE』の聴きどころを紹介していきます。
メンバー
- エリック・グロンウォール<Vo>
- デイヴ“スネイク”セイボ<G>
- スコッティ・ヒル<G>
- レイチェル・ボラン<B>
- ロブ・ハマースミス<Ds>
『THE GANG’S ALL HERE』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の7曲がおすすめです。
■SKID ROW/THE GANG’S ALL HERE (2022年)
- Hell Or High Water
- The Gang’s All Here
- Not Dead Yet
- Time Bomb
- Resurrected
- Nowhere Fast
- When The Lights Come On
- Tear It Down
- October’s Song
- World’s On Fire
おすすめ曲のレビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Hell Or High Water
ドカン!と始まるオープニング・ナンバー。
ミドル・テンポで進行しますが、1991年2nd『SLAVE TO THE GRIND』収録の「Livin’ On A Chain Gang」に似ています。
00:19からエリック・グロンウォール<Vo>の歌が入ってからはもう「Livin’ On A Chain Gang」。
ミドル・テンポにシフトした「Livin’ On A Chain Gang」ですね。
どこからでも「Livin’ On A Chain Gang」につなげられそうな展開。
ただ、以下は「Livin’ On A Chain Gang」にはなかったアプローチですね。
- 02:25~ 叙情的パート。「Monkey Business」(『SLAVE TO THE GRIND』収録)の中間部を想起
- 02:54~ ロブ・ハマースミス<Ds>のダイナミックなドラム→エリックの圧巻のハイトーンが伸びる→刺激的なギター・ソロ
静~動の流れをうまく組み込ませています。
エンディング間近(04:31~)で暴れるロブのドラミングがまた興奮度を高めてくれます。
2. The Gang’s All Here
エリックのダイナミックなヴォーカルとグルーヴ感に満ちた骨太な演奏が光るアルバム・タイトル曲。
1989年1st『SKID ROW』のエネルギーが宿ります。
『SKID ROW』収録曲でいうと、全体的に「Rattlesnake Shake」に近いです。
- 00:00~ エリックの元気な「Yeah~!」とレイチェル・ボラン<B>のガキガキしたベースでスタート
- 00:19~ エリックのヴォーカルとコーラスの掛け合いが見事
- 00:45~ 高揚感のある歌メロがエキサイティング。もろに『SKID ROW』。ここはミドル・テンポの「Sweet Little Sister」といった感じ
- 00:51~ サビ。「Alright」と曲名を繰り返す歌メロが◎
- 02:16~ ギター・ソロ。特に02:34からの展開がメロディック…クールなサビに近づいてる感じにテンションが上がる
エリックが高音域を伸ばし、コーラスが重なる03:16~も圧巻。
熱いです。
4. Time Bomb
- 00:00~ 重いギター音が唸る
- 00:08~ ロブのカウントと共にスローでヘヴィな本編へ
- 00:34~ レイチェルの弾力性のあるベースがクール
- 01:12~ サビ。ゴージャスなコーラス→「Tick, tick ~」とヒステリックに繰り返すパートがツボ
本編の演奏はなんとなく「Mudkicker」(『SLAVE TO THE GRIND』収録)を想起。
重く深みのある演奏の中で中毒性のあるサビが繰り返されます。
5. Resurrected
最初のハードかつメロディックなギターを軸とした演奏がまずかっこいい。
- 00:27~ エリックの歌メロは「Livin’ On A Chain Gang」に通じる雰囲気
- 00:53~ サビ。バックから重なるコーラスがシャープでキマッてる
- 02:04~ サビが展開している中、エネルギッシュなギター・ソロへ
- 02:15~ 演奏にグルーヴ感が増す
- 02:24~ ちょっと浮遊感のあるコーラスがいいアクセント
始まった瞬間「お!」となり、サビのかっこよさ(特にコーラス)に痺れます。
7. When The Lights Come On
『SKID ROW』収録の「Piece Of Me」を想起させるナンバー。
レイチェルのベースがかっこいいです。
「Hell Or High Water」は「Livin’ On A Chain Gang」につながりそうな展開でしたが、この「When The Lights Come On」は「Piece Of Me」に移行しそうな雰囲気。
「Piece Of Me」をヘビロテしたファンは、頭の中で「Piece Of Me」が同時再生されるはずです。
テンションを上げた「Piece Of Me」といった感じですね。
ただ、02:08からのようなギター・ソロは「Piece Of Me」にはなかった展開。
メロディックに展開し徐々にエネルギーが増すアプローチが見事です。
03:33からのエリックの高音もすごいですね。
「Piece Of Me」は『SKID ROW』の4曲目でしたが、この「When The Lights Come On」はラストから4曲目の配置となっています。
8. Tear It Down
- 00:00~ ロブの力強いドラムとハードなギターがクール
- 00:10~ いい感じにメロディックなギター
- 00:20~ エリックのパワフルな歌。存在感抜群
- 00:39~ ゴージャスなコーラスが繰り返される。進行するにつれてエキサイティング度が増す
- 00:58~ サビ。キャッチーなコーラスとエリックのエネルギッシュなVoが見事
『SKID ROW』での男臭さにH.E.A.Tでのダイナミックさが加味されたコーラス・ワークが秀逸なナンバーです。
カウベルによるカウント(03:48~)で締めくくるアプローチもかっこいい。
10. World’s On Fire
鋭い曲調、でも歌はどこか切なさを感じる。
そんなラスト・ナンバーです。
00:57からのサビが特にいいですね。
エリックが「World’s On Fire」と歌い、その後に「World’s On Fire」のコーラスが続くのですが、ガッツがあるのと同時にどこか哀愁があります。
「もう終わりなんだ」感が漂うメロディ展開でありながらも、しんみりしないようにハードさを保つスタンスに拍手。
いい締めくくりです。
総評
エリック・グロンウォール<Vo>を迎えての初のアルバム『THE GANG’S ALL HERE』。
ガッツのある演奏とエリックの情熱的なヴォーカルが映えます。
今回はダイナミックなハード・ロックがメインでしたが、次回以降は以下のようなナンバーに期待したいですね。
- 『SLAVE TO THE GRIND』収録の「Slave To The Grind」「Riot Act」のようなガツンとくる曲
- 『SKID ROW』収録の「18 And Life」「I Remember You」、『SLAVE TO THE GRIND』収録の「Wasted Time」のようなバラード
エリックが歌う曲をもっと聴きたい。
『THE GANG’S ALL HERE』はそう感じさせてくれる良作です。
おまけ:Erik Gronwall「18 And Life」(2009年)
こちらは、2009年にエリックが発表した「18 And Life」のカヴァーです。
2009年の1stソロ『ERIK GRONWALL』に収録。
03:19からコーラスを入れるアレンジが素敵です。
この13年後に『THE GANG’S ALL HERE』がリリースされるわけですね。
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