PRIMAL FEARでも活躍するマット・シナー<Vo/B>率いるSINNERが『BROTHERHOOD』を2022年7月15日にリリースしました。
傑作ですので、本記事で紹介します。
前作『SANTA MUERTE』(2019年)で一緒にリード・ヴォーカルを務めた女性シンガー、ジョルジア・コレルオーリ<Vo>をはじめ、ラルフ・シーパース<Vo:PRIMAL FEAR>、ロニー・ロメロ<Vo>、トム・S・イングランド<Vo:EVERGREY>、エリック・モーテンソン<Vo:ECLIPSE>などがゲストで参加していますが、各ゲストの参加箇所の詳細はこの記事を書いている時点では不明です。
ただ、軸となるはマットの歌を含むバンドの演奏。
エネルギッシュで力強いオーラが全開の作品となっています。
剛直なヘヴィ・メタル・アルバム『BROTHERHOOD』。
おすすめ曲を挙げながら『BROTHERHOOD』の聴きどころを紹介していきます。
『BROTHERHOOD』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の8曲がおすすめです。
■SINNER/BROTHERHOOD (2022年)
- Bulletproof
- We Came To Rock
- Reach Out
- Brotherhood
- Refuse To Surrender
- The Last Generation
- Gravity
- The Man They Couldn’t Hang
- The Rocker Rides Away
- My Scars
- 40 Days 40 Nights
ミックスとマスタリングはヤコブ・ハンセンが担当しています。
メンバー
- マット・シナー<Vo/B>
- トム・ナウマン<G>
- アレックス・ショルプ<G>
- マルクス・クルマン<Ds>
ゲスト・ミュージシャン
- ラルフ・シーパース<Vo:PRIMAL FEAR>
- ジョルジア・コレルオーリ<Vo>
- ロニー・ロメロ<Vo>
- トム・S・イングランド<Vo:EVERGREY>
- エリック・モーテンソン<Vo:ECLIPSE>
- マーク・バジル<Vo:DGM>
- デイヴ・イングラム<Vo:BENEDICTION>
- オリヴァー・パロタイ<Key:KAMELOT>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Bulletproof
GAMMA RAYの1993年3rd『INSANITY AND GENIUS』に収録されていた「Last Before The Storm」を思わせる勢いあるメロディック・メタル・ナンバー。
00:02からのメロディックなギター・フレーズがいいですね。
これが何度か繰り返されます。
聴いていて心地良い。
鋭くメロディックなギター・サウンドを軸としたメタル・サウンドにマット・シナー<Vo/G>の中音域を中心としたヴォーカルが乗ります。
マットは中音域のヴォーカルがかっこいいですね。
エネルギッシュで野性味があります。
00:39からの歌メロなんかは、聴いていて思わず拳を握りたくなります。
01:43からはゲスト・シンガーでしょうね。
誰なのかは不明ですが、何人かで一緒に歌ってるのかも。
02:02からのギター・ソロもメロディックでエキサイティングです。
『BROTHERHOOD』は「Last Before The Storm」が中音域にシフトしたような熱いHMナンバーで幕を開けます。
2. We Came To Rock
始まりが一瞬JUDAS PRIESTの「Jawbraker」(1984年9作目『DEFENDER OF FAITH』収録)を思わせます。
そして爆発力のあるドラムが入り力強く進んでいきます。
マットのヴォーカルは、中音域~低音域。
ややブルータルな雰囲気を漂わせているところがまたクールですね。
曲のタイトルをコールする勇壮なコーラスが被さるサビの展開も見事。
02:22からのギター・ソロでは、メロディックで熱い展開をみせます。
歌メロとは対照的なトーンによるパフォーマンスが際立っていてかっこいいです。
4. Brotherhood
重厚でメロディックなギター・サウンドと共に展開していくミディアム・テンポのタイトル曲。
骨太なマットの声がガッツある曲調にハマっていて見事です。
01:00からの歌メロもキャッチーで勇ましいですね。
マットが歌うとたくましさ倍増です。
02:13からはギター・ソロ。
最初はメロディックに展開していき、02:25からエモーショナルになります。
ムードを変えて攻めてくる構成がすばらしいですね。
04:14からのマルクス・クルマン<Ds>のドラムも存在感があってナイスです。
5. Refuse To Surrender
ハードなギター・リフを主軸に進行していくガッツあふれるナンバー。
00:10のようなトリッキーなサウンドを重ねていくアプローチがまた秀逸です。
マットの歌はややミステリアスな感じ。
そして00:37からのサビでは勇ましい歌メロが展開されます。
ゾクゾクするような曲調です。
01:21のところなんかも力が入りますね。
01:43からのギター・ソロもエモーショナルですし、02:07からのカウベルを絡めたグルーヴィな演奏もかっこいいです。
6. The Last Generation
約7分半のナンバー。
トム・S・イングランド<Vo:EVERGREY>とオリヴァー・パロタイ<Key:KAMELOT>が参加しています。
神秘的で静かな雰囲気で始まり、00:21からバンド演奏が入ると劇的に展開していきます。
歌はダークな感じで進行。
そして01:59からのサビでは分厚いコーラスも被さってきて、ダイナミックかつドラマティックになります。
ここでトムが一緒に歌ってるのかもしれません。
シリアスかつミステリアスなキーボードで楽曲を包み込むオリヴァ―のパフォーマンスがまた最高。
絶品です。
以下の演奏パートにも引き込まれます。
- 04:03~ メロディックなギター・ソロ
- 04:22~ ピロピロしながらエモーショナルなギター
- 04:39~ 劇的かつメロディック。ここでもオリヴァーのプレイが見事
- 05:33~ 感情を解き放ったようなギター・フレーズ
EVERGREYで聴かれるドラマティック・メタルを上手く取り込んだサウンドといえます。
EVERGREY+SINNERですね。
8. The Man They Couldn’t Hang
始まった瞬間頭を振りたくなります。
00:15でのサイレンのようなギター・サウンドがかっこよく、ワクワクさせてくれます。
奥行きのあるパワフルなサウンドとマットのワイルドなヴォーカルが見事にマッチしたナンバーですね。
あと面白いのは02:44からの演奏パート(マットの吐き捨てと共に移行するところがまたかっこいい)。
それまでのアグレッシヴな曲調からは考えにくい構成で、ブレイクを挟みながらシンフォニックに展開していきます。
ギター・ソロへの移り方もいいですね。
- 03:20~ 徐々にギターが前面に
- 03:35~ マルクスのかっこいいドラム
- 00:37~ ギター・ソロへ
…といった感じです。
ギター・ソロは、特に03:52からのメロディックな・フレーズが染みてきます。
ブレイクを入れて曲を締めくくる奏法も見事なフェイントです。
9. The Rocker Rides Away
「ドカーン!」といった感じで始まるメタリックなナンバー。
00:41をはじめ、ハイトーンが聞こえてくる箇所がありますが、ここはラルフ・シーパーズ<Vo:PRIMAL FEAR>かもしれませんね。
ただラルフと思われる高音ヴォーカルはスパイス程度。
中心となっているのはマットのヴォーカルです。
01:17からのエモーショナルなギター・ソロを挟み(01:36からのマルクスのドラムが◎)、再び歌に戻る構成もかっこいい。
02:27からの歌メロもマットの野太い声による歌唱が生きていてグッときます。
02:54からのギター・ソロも熱いですね。
03:14からはメロディックなフレーズの畳みかけといった感じで最高です。
JUDAS PRIESTの「Between The Hammer & The Anvil」(1990年12作目『PAINKILLER』収録)のギター・ソロが少しちらつきます。
10. My Scars
「Refuse To Surrender」系統の爆発力のある曲ですが、この「My Scars」はギター・ソロが特におすすめです。
曲はマットのざらついた声によるパワフルな歌唱を軸に進行。
01:32での歌メロも勇ましくてかっこいいですね。
おすすめのギター・ソロは02:33から。
- 02:33~ インパクトあるピロピロ・フレーズ
- 02:51~ エモーショナルかつメロディック
- 03:07~ 「The Rocker Rides Away」の03:14からがスロー・ダウンした感じ…減速した「Between The Hammer & The Anvil」
引き込まれます。
総評
SINNERの『BROTHERHOOD』を紹介しました。
パワフルでダイナミックなヘヴィ・メタルです。
以下が魅力として挙げられます。
- マット・シナー<Vo/B>の骨太な声による中音域の歌唱がかっこいい
- ギター・ソロが充実している
「We Came To Rock」や「The Rocker Rides Away」のようにJUDAS PRIESTを思わせる要素があるのもうれしいですし、「The Last Generation」でのドラマティックなアプローチも見事。
盟友ラルフ・シーパース<Vo:PRIMAL FEAR>のヴォーカルを前面に出し過ぎてないのもプラスといえます。
ラルフが前面に出ればPRIMAL FEARになってしまいますからね。
SINNERで主軸となるのはやはりマットのワイルドな歌。
そういった意味でも『BROTHERHOOD』はSINNERの魅力を前面に出した傑作といえます。
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