SHINEDOWNが7作目『PLANET ZERO』を2022年7月1日にリリースしました。
作風としては…
- 全20曲でトータル49分
- ロボットの声が入ったSEを交えながら進行
- SEを除けばHM/HRナンバーは13曲
…といった感じなのですが、今回は特に面白い。
過去の作品を躍進させたようなサウンドでありながらも、これまでのSHINEDOWNでは考えられなかったような曲も収録。
聴き終える頃には「SHINEDOWNのアルバムでこんな体験ができるなんて!」となります。
『PLANET ZERO』のおすすめ曲を挙げながら、各曲の魅力を紹介していきます。
『PLANET ZERO』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の11曲がおすすめです。
■SHINEDOWN/PLANET ZERO (2022年)
- 2184 (SE)
- No Sleep Tonight
- Planet Zero
- Welcome (SE)
- Dysfunctional You
- Dead Don’t Die
- Standardized Experiences (SE)
- America Burning
- Do Not Panic (SE)
- A Sypton Of Being Human
- Hope
- A More Utopian Future (SE)
- Clueless And Dramatic
- Sure Is Fun
- Daylight
- This Is A Warning (SE)
- The Saints Of Violence And Innuendo
- Army Of The Underappreciated
- Delete (SE)
- What You Wanted
メンバー
- ブレント・スミス<Vo>
- ザック・マイヤーズ<G>
- エリック・ベース<B>
- バーリー・カーチ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
2. No Sleep Tonight
アップ・テンポのナンバーです。
まず冒頭のバーリー・カーチ<Ds>のドラムの連打がかっこいい。
そしてザクザクとしたザック・マイヤーズ<G>の鋭いギター・リフが刻まれ、ブレント・スミス<Vo>のエネルギッシュかつメロディアスなヴォーカル軸に進行していきます。
SHINEDOWNがこういった曲で幕を開けるのは意外ですね。
01:13から冒頭でのでのドラムの連打が繰り返されて、ギター・ソロに入っていく流れもクール。
ブレイクを挟みながらブレントが熱いヴォーカルを披露する01:33にも引き込まれます。
02:15から少しスロー・ダウン。
このまま速度を落としてエンディング…かと思ったら再び加速します。
このあたりの変化球も見事。
曲はバーリーの引き締まったドラムで終わります。
3. Planet Zero
出だしの爆発力のある演奏とブレントのパワフルなヴォーカルにガツンとやられます。
ザックの強靭なギター・リフもズシンズシンと迫ってくる感じですごい迫力。
2015年5th『THREAT TO SURVIVAL』収録の「Cut The Cord」にメタリックな要素が強まった感じです。
01:01からのサビも、ヘヴィな演奏の中から放たれる親しみやすい歌メロが魅力的。
02:13からカウントダウンのSEが入り、バーリーがドラムの連打を加えるところもかっこいいです。
SHINEDOWNは曲の中間にひねりのあるアレンジを持ってくるのがうまいのですが、このカウントダウンのSEもまさにそれですね。
6. Dead Don’t Die
ヘヴィでスローに展開するナンバー。
2018年6th『ATTENTION ATTENTION』の「Devil」を思わせます。
重く脳天直撃系のザックのリフとエモーショナルなブレントのヴォーカルが迫力満点。
バーリーのドラムもパワフルです。
「Planet Zero」でもそうだったようにSEの扱い方が上手なSHINEDOWNですが、この「Dead Don’t Die」でもそのセンスが光ります。
00:29や01:28がそうですね。
01:22でブレントの声にエフェクトをかけるアプローチもいいスパイスです。
以下のザックのギターも面白い。
- 02:02~ SEのバックでメロディックに
- 02:09~ 「ウィーン、ウィーン」しながらちょっとピロピロ
- 02:51~ ややヒステリック
個性的な流れを踏んでいて見事です。
10. A Sypton Of Being Human
美しいメロディで構成されるバラード。
ザックのギターとブレントの歌で進行していきますが、ストリングスが入る01:29からが特にすばらしいです。
「グッとくる」度がどんどん上がっていきます。
サビが終わり切る前に重ねて始まる02:59からの歌メロも染みますね。
03:12からはドラムも入ってさらに劇的に展開。
03:47から鳴り響くピアノもキラリと光ります。
10. Hope
美しく始まりドラマティックに飛躍。
2012年4th『AMARYLLIS』の「Amaryllis」のような魅力が満載のナンバーです。
ブレントの表現力豊かな歌唱が見事で、彼が歌うあらゆるメロディが体に染みこんできます。
そして02:09からですね。
演奏が劇的になっていきます。
ここはとてもエキサイティング。
ハードかつメロディックなザックのギターと力強いバーリーのドラムがすばらしいです。
さらには2:29からは気分を高める歌メロ。
胸アツのアプローチを畳みかける構成に脱帽です。
13. Clueless And Dramatic
ザックのヘヴィなギター・リフがクールです。
パワフルでキャッチーなナンバー。
『AMARYLLIS』収録の名曲「Enemies」を思わせます。
緊張感を保ちながらキャッチーでメロディアスな歌唱を披露するブレントのパフォーマンスも見事。
ブレントの歌メロは中音域中心で張り上げたりするアプローチはないのですが、これによってヘヴィなサウンドが強調されています。
02:43からブレークを入れるところもブレントの歌の力強さが前面に出ていてかっこいいですね。
中音域の歌メロにシフトした「Enemies」といった感じです。
14. Sure Is Fun
出だしのザックのギター、00:10からのブレントのヴォーカルに「へ?何?これ?」となります。
そしてジワジワきます。
曲名に「Fun」とあるとおり、楽しい要素が満載。
ブレントの声なのですが、軽くヘリウムガスを吸ったようにも聞こえちゃいます。
予想外のテンションにニヤニヤしますが、歌メロそのものは魅力的でキャッチー。
このあたりはさすがです。
GHOSTの『IMPERA』のレビューで「Twenties」をいい意味で「変な曲」と書きましたが、この「Sure Is Fun」も「Twenties」に近いです。
いい意味で「ちょっと変なSHINEDOWN」と表現できますね。
でも楽しい。
そしてキュートな感じもします。
突然音が途切れる終わり方も面白いですし、次の「Daylight」が感動的なバラードというギャップがまたツボなのです。
15. Daylight
ということで変な「Sure Is Fun」に続くバラード。
すばらしいです。
『ATTENTION ATTENTION』に収録されている「Get Up」と「Special」に雰囲気が似ています。
切なく鳴り響くピアノ。
そしてそのピアノをバックに、ブレントが緩急ある魅力的なメロディを歌い上げます。
うっとりします。
ジーンときます…。
そしてハーモニーが加わってくるのですが、01:20からと02:23からの2段階で涙腺を刺激します。
特に02:23からですね。
ノスタルジックな雰囲気が強調される中、ブレントが伸びのある見事な歌唱を披露。
感動の度合いを高めていくアプローチが絶品です。
17. The Saints Of Violence And Innuendo
『PLANET ZERO』リリース前からツアーを開始しているSHINEDOWNですが、ライヴのオープニングに演奏されているのがこの「The Saints Of Violence And Innuendo」。
ハードでドライヴ感あふれるナンバーです。
ダイナミックでキャッチーなメロディもクール。
00:28からの展開は『AMARYLLIS』収録の「Bully」を思わせますね。
名作『THE SOUND OF MADNESS』(2008年3rd)収録の「Devour」「Cry For Help」「Sin With A Grin」「Cyanide Sweet Tooth Suicide」のような勢いも感じられます。
『THE SOUND OF MADNESS』のノリの良い楽曲群とゴージャスな「Bully」をブレンドさせ、硬質なサウンドで固めたイメージです。
18. Army Of The Underappreciated
マイケル・モンローが演りそうなノリの良いナンバー。
出だしのバーリーのドラムなんかを聴いてると、そのままマイケルの歌声が入ってきそうですが、ここはブレントがかっこよくキメてくれます。
中音域中心で頼もしさを感じる歌メロが展開。
00:53からのゴージャスさや01:18のかけ声も力強くてナイスですね。
あとは02:17からのザックのギター・ソロ。
エネルギッシュに展開していきますが、02:23からさらにテンションを上げるところがクールです。
歌メロをさらに加えて展開する02:41からの流れもダイナミックさが増していて見事です。
20. What You Wanted
スケールの大きい『PLANET ZERO』。
ラストは『THE SOUND OF MADNESS』の「Call Me」のようなバラードを予想していたのですがそうではありませんでした。
ミステリアスな感じの曲です。
「Sure Is Fun」のような変さもありますね。
曲が始まると同時にジワジワです。
でも聴いていると「アルバム最後の雰囲気に合ってるかも」と感じとれちゃうのがまた不思議。
これも「What You Wanted」の構成の魅力でしょうね。
01:46からのメルヘンチックな展開も面白い。
バックでのゴージャスなコーラスがまた素敵です。
最後の最後でも意表を突いてくれるSHINEDOWNなのであります。
総評
SHINEDOWNの『PLANET ZERO』を紹介しました。
傑作です。
魅力の特徴として以下が挙げられます。
- 2018年6th『ATTENTION ATTENTION』の作風を踏襲
- 同時に、2008年3rd『THE SOUND OF MADNESS』、2012年4th『AMARYLLIS』、2015年5th『THREAT TO SURVIVAL』の魅力も上手くブレンド
- 速めの「No Sleep Tonight」での幕開けは意外
- 変な「Sure Is Fun」にジワジワ、ニヤニヤ
- ラストの「What You Wanted」にもちょこっとジワジワ
「Sure Is Fun」にはビックリでした。
そして次に感動的な「Daylight」を配置するあたりもうまいです。
ラストの「What You Wanted」でツボを突っつかれるのも予想外。
SHINEDOWNのアルバムでジワジワ、ニヤニヤできるなんてうれしい驚きです。
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