SEVENTH WONDER『THE TESTAMENT』

KAMELOTトミー・カレヴィック<Vo>がリード・ヴォーカルを務めるスウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンド、SEVENTH WONDERの6作目『THE TESTAMENT』が2022年6月10日にリリースされました。

2018年の5作目『TIARA』以来、4年ぶりのアルバムとなります。

魅力的なメロディとスリリングなフレーズが満載の強力作ですので、本記事で紹介します。

各曲のクオリティが高く、アルバム全体の流れも見事ですので、全曲聴くことをおすすめします。

『THE TESTAMENT』の収録曲

■SEVENTH WONDER/THE TESTAMENT (2022年)

  1. Warriors
  2. The Light
  3. I Carry The Blame
  4. Reflections
  5. The Red River
  6. Invincible
  7. Mindkiller
  8. Under A Clear Blue Sky
  9. Elegy

メンバー

  • トミー・カレヴィック<Vo>
  • ヨハン・リーフヴェンダール<G>
  • アンドレアス・ブロムクヴィスト<B>
  • ステファン・ノルグレン<Ds>
  • アンドレアス・ソデリン<Key>

収録曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Warriors

ヨハン・リーフヴェンダール<G>のヘヴィなリフ、アンドレアス・ソデリン<Key>の躍動感のあるキーボード、ステファン・ノルグレン<Ds>の爆発力のあるドラムで攻める最初の演奏(~00:55まで)で虜になります。
ダイナミックです。

そしてトミー・カレヴィック<Vo>のヴォーカルは00:55から。
ムーディーでありながらもパワフルさも備えた歌唱で魅了します。

01:56からの「we are the warriors」のメロディが特に染みますね。

2回目の「we are the warriors」の歌メロに被せる形でスタートする03:02からの演奏パートもエモーショナルでかっこいい。

さらに04:02ではちょっと高音域な「we are the warriors」。
こういったひねりも見事です。

04:34から適度に畳みかけてエンディングに向かう構成もすばらしい。

2. The Light

「Warriors」に勢いとシャープさが増したナンバー。

00:14から00:45までのアンドレアス・ソデリンのキーボードがスリリングです。

トミーの歌は爽快感が増したような感じ。
伸びのある声で魅力的なメロディを歌い上げます。

バックの演奏も高いテンションを維持。
特にステファンのドラムがいい感じに暴れていてエキサイティングです。

03:20からの叩きっぷりもかっこいい。

以降も流れも刺激的です。

  • 03:48~ アンドレアス・ブロムクヴィスト<B>のテクニカルなベース
  • 04:02~ ダイナミズムに満ちた演奏パートへ
  • 04:14~ エキサイティングなキーボード
  • 04:38~ トミーのセンチメンタルな歌にうっとり

高音を絡めながらよりエネルギッシュになる05:34からのトミーにも圧倒されます。

3. I Carry The Blame

スローで劇的なナンバーですが、00:54のように軽くフェイントをかけながら進行していくアプローチが秀逸です。

01:10からのパートはトミーの歌唱力が光りますね。
そして01:30から徐々に気分を高める歌メロが展開され、02:12で感動が最高潮に達します。

02:55からはトミーの歌のバックでのヨハンのギターがメロディックで絶品。

後半の以下の流れもすばらしいです。

  • 04:10~ ドラマティックで刺激的なキーボードが前面に出る
  • 04:26~ エモーショナルなギター・ソロ
  • 04:53~ 静かになって、トミーの歌
  • 05:08~ 重厚な演奏再び。トミの伸びのある歌唱

4. Reflections

「I Carry The Blame」からつながるインストゥルメンタル。

切なく美しいピアノが鳴り、00:40から重厚な演奏がスタート。

ドラマティックに進行していき、01:18からはちょっとした泣きが入ります。
染みますね。

そして02:02のパワフルなドラムを節目にテクニカル要素が徐々に強まっていきます。

特に注目したいのが03:05。
グルグル回りながら迫ってきます。
ここはすごい。

あとは04:00からのスリリングなキーボードと04:19からのギターですね。
流れが絶品です。

曲はそのまま「The Red River」へ移行します。

5. The Red River

「Reflections」同様、ピアノでスタート。

00:18からは鋭いリフを軸に進行していきます。
リフがザクザクと刻まれる中、切なく美しく鳴り続けるピアノがすばらしいです。

01:16でいったん静かになるところではトミーのムードある歌唱が光ります。
さらにバックでは泣きのギター。
すばらしいパートです。

そしてドラマティックに躍進。
ソフトでありながら音程が飛ぶような唱法(02:00~02:01、03:39~)をみせるトミーに歌のうまさを感じます。

演奏パートでは、04:10からのギターと04:25からのキーボードのフレーズに惹かれます。
「Reflections」ではキーボードからギターへの流れでしたが、この「The Red River」ではギターからキーボードへと逆のアプローチで魅了します。

以降は、前半にみられた鋭角的リフ+耽美的キーボードで畳みかけます。

6. Invincible

最初に演奏に引き込まれます。
劇的でメロディック。
かっこいいです。

ドラマティックな演奏の中にトミーの伸びやかな歌が心地良く響きわたります。

歌が終わった後の01:23からの演奏もクールですね。
ダイナミックでテクニカルです。

02:34でスリリングなフレーズを入れて、メロディックなギター・ソロへ移る流れもエキサイティング。

4分未満の曲なのですが、濃密です。

7. Mindkiller

テクニカルかつアグレッシヴにスタート。
ブレイクを入れながら攻める00:29からの流れにドキッとします。

この「Mindkiller」も「The Red River」同様、音域の飛躍を絡めた歌唱(01:40~、02:45~)が光ります。
「やってみて」と言われてもできないパフォーマンスです。

そして03:48からはメロディックなギター・ソロ、さらに04:03からはテクニカルなキーボードが畳みかけてきます。

トミの歌が終わった後に流れてくる05:10のフレーズもインパクト大。

05:32からエンディングに向かう際の演奏(特にドラム)もスリリングです。

8. Under A Clear Blue Sky

約9分の大作。

まずは静かな演奏。
これが01:13まで続きます。

そして、厚みのあるギターが被さり本編がスタート。

バスドラの連打を絡めつつ余裕を持たせた感じの演奏が進行していき、トミーはムードのあるメロディアスな歌唱を披露します。

03:40からのスリリングなキーボードを境に演奏パートに突入。

爆発力のあるドラムと変則的なリズムを交えながらダイナミックな演奏を聴かせます。

疾走パート(04:11~)もあり聴き応え満点。
キーボードとギターの応酬が見事です。

05:22で再び静かになるところもいいアクセントになっていますね。

再度重厚な演奏になると以下の流れを踏みます。

  • 05:54~ 叙情的なギター・ソロ
  • 06:22~ テクニカルなキーボードからヘヴィでスリリングな演奏へ。圧巻
  • 07:14~ 切ないピアノ
  • 07:22~ はじけるベース

そしてトミーの歌が再び入ってエンディングに向かいます。

壮大に締めくくるのかと思ったらそうではなく、ドラムの連打が入りピタッと止まって終わります。

9. Elegy

壮大なキーボードとトミーの絶品のヴォーカルによる約6分のバラード。

大曲「Under A Clear Blue Sky」の後なので、余計こういう曲調が身に染みます。

余韻に浸るのに十分すぎる尺ですね。

03:16からの演奏パートも絶品。
切ないフレーズが身に染みます。

劇的度が増していく04:36からの展開も美しい。

見事なラスト・ナンバーです。

総評

SEVENTH WONDER『THE TESTAMENT』を紹介しました。

トータルで約55分。

ダイナミックでテクニカルなアタマ2曲「Warriors」「The Light」、スローで劇的な「I Carry The Blame」、スリリングなインスト「Reflections」など、いろいろな曲が配置されていながらも統一感があります。

曲配置も絶妙。

「Warriors」から「Reflections」までの流れや、展開が多い大曲「Under A Clear Blue Sky」の後に「Elegy」が続く構成は特に説得力があります。

前作『TIARA』(2018年)には、「Tiara’s Song (Farewell Pt. 1)」「Goodnight (Farewell Pt. 2)」「Beyond Today (Farewell Pt. 3)」の組曲がありましたが、『THE TESTAMENT』はああいった構成の55分ヴァージョンともとれる壮大かつ濃密な作品です。

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