SERENITYの8作目『NEMESIS AD』のレビューです。
2023年10月25日にリリースされました。
マルコ・パストリーノ<G:TEMPERANCE, FALLEN SANCTUARY>加入後、初の作品。
序曲 → メロディック・メタル → 大作 → 締めはバラード
という王道的な曲配置となっています。
「The Fall Of Man」にはロイ・カーン<Vo:元KAMELOT~現CONCEPTION>が参加。
8分の「Reflections (Of AD)」では途中で一瞬MEGADETHになります。
【メンバー】
ゲオルグ・ノイハウザー<Vo>
クリス・ハームスドーファー<G>
マルコ・パストリーノ<G:TEMPERANCE, FALLEN SANCTUARY>
ファビオ・ダモア<B>
アンドレアス・シップフリンガー<Ds>
以下の8曲がおすすめです。
1. Memoriae Alberti Dureri
約1分半の序曲です。
- 00:00~ 雷、鳥の鳴き声
- 01:18~ 神聖な歌声
- 01:19~ 再び不穏に
闇 → 光 → 闇の流れを持ちますが、闇要素が強め。
01:18~の時もどこかモヤモヤし続けます…。
01:26から音が迫り、暗雲が漂い続ける中、「The Fall Of Man」が始まります。
2. The Fall Of Man
ロイ・カーン<Vo>参加曲。
スタートからかっこいいです。
程良くエネルギッシュな演奏(バスドラ+メロディックなギター)に引き込まれます。
00:25からゲオルグが歌い出し、以降はロイと交互に歌唱を繰り広げる展開。
そして伸びやかなサビが終わった後(01:19~)に00:00のフレーズが再登場します。
すばらしいアレンジですね。
ロイのパートは美しいピアノをバックに歌う01:32~が特に魅力的。
ここでのピアノはロイ在籍時のKAMELOT「Abandoned」(2005年7th『THE BLACK HALO』収録/名バラード!)の00:00~がちらつきます。
じっくりと聴かせる02:20~のギター・ソロもいいですね。
ソロ自体が前面に出ていて02:32からは音域が上がります。
3. Ritter, Tod Und Teufel (Knightfall)
- 00:00~ 神々しい雰囲気
- 00:13~ アンドレアのドラムがドコドコ → 衝撃音 → 重厚な演奏
- 00:26~ シンフォニックに
徐々に興奮度を高めていく手法が秀逸です。
そして01:13~のサビでは…
- 「Ritter, Tod Und Teufel」と早口気味
- ゆっくりと「Kni~ghtfa~ll」
…と、曲名を歌い分けます。
対照的な唱法が効いていますね。
2回目のサビ後の以下の流れも見事です。
- 02:47~ シンフォニック度が再び強まる
- 02:58~ エネルギッシュなギターが加わり、03:10からヒートアップ
5. Reflections (Of AD)
8分の長尺曲。
まずは、
- 00:00~ 切ないピアノ
- 00:28~ ゲオルグのソフトかつ緩急ある歌唱(音域が上がる00:54~は特に染みる)
- 01:23~ エレクトリックな演奏
という展開をみせます。
そしてサビ(02:33~)。
バスドラ連打を軸とした演奏の中で魅力的なVo(透明感のあるハーモニーが◎)が響き渡ります。
03:53からの歌メロはちょっとした癒し効果がありますね。
03:59からサビと同質のハーモニーで気を引きめるアプローチも絶品です。
04:17から疾走し熱唱するところもアツい。
さらに以下の流れ。
- 04:41~ 雄大
- 05:42~ MEGADETH「Tornado Of Souls」(1990年4th『RUST IN PEACE』収録)の00:00~を想起
- 06:01~ 疾走(曲中、最速)
「Tornado Of Souls」になってから、よりアグレッシヴになるのがうれしいです。
6. Sun Of Justice
00:14~の演奏がクール。
ゲオルグのVoは、サビ(01:14~)も含めて基本的に中音域を軸にゆらゆらしながら進んでいくのですが、これがまた心地良いのです。
さらにサビの後には00:14のフレーズ。
魅力的なパートを繰り返す攻めが効いてますね。
以下の流れもナイスです。
- 02:43~ シンフォニックな音像が前面に
- 02:54~ ドライな音質でのギター・ソロ
そして最後のサビの後にも00:14~のパートがきます。
7. Nemesis
「Sun Of Justice」を継承し、混沌さを足した感じ。
00:12~の少しカオスな雰囲気なんかはそうですし、00:24~の歪んた演奏も闇を抱えた感じで面白いです。
00:35~のゲオルグの歌もちょっとミステリアスですしね。
歌メロは「Sun Of Justice」同様、中音域中心。
演奏は「Sun OfJustice」よりアグレッシヴな展開となっています。
終盤がまた面白い。
- 03:48~ Voにポジティヴな雰囲気が出始めるも…
- 03:56~ 00:12のパートが再び
光が差し込んでくるかと思いきや、再び闇に包まれます。
9. Crowned By An Angel
劇的なバラード。
切ない雰囲気で始まり、00:22からはストリングスが絡み始めます。
そして00:41からドラムが入り、00:49からサビへ。
魅力的なメロディが伸びやかに展開していきますが、歌声を緩める00:53~が特にグッときます。
02:38~のギター・ソロは、曲調とは対照的に割と弾きまくり。
ですが旋律そのものは悲哀さに満ちていて、ゲオルグのVo再開後も高音域の伸び(03:15~)や泣きのフレーズ(03:34~)で魅せてくれます。
次の「The Sky Is Our Limit」もバラードですが、こちらもすばらしい曲です。
10. The Sky Is Our Limit
静かなスタートを切りますが、早くも00:13からドラムが入りバンド演奏での展開となります。
00:28~のサビで音域が上がるのですが、ここが最高。
胸が熱くなります。
この後のサビも素敵なアプローチ。
- 01:24~ 2回目のサビ。01:52から音量大きめで泣きのギター・ソロ
- 02:06~ さらにキーを上げて3回目のサビ。02:30から哀愁ギター+バックVo
- 02:59~ ゲオルグの切ないVoのバックで子供のコーラス
歌と演奏で感動に導いてくれます。
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