SCAR SYMMETRYの7作目『THE SINGULARITY (PHASE II – XENOTAPH)』のレビューです。
2023年6月9日にリリースされました。
2014年『THE SINGULARITY (PHASE I – NEOHUMANITY)』の続編(三部作の2作目)。
劇的で美しいオープニングを飾った前作とは異なり、今作はかなりアグレッシヴな幕開けです。
いきなり激しいアクション・シーンでスタートする映画(1989年の『リーサル・ウェポン2/炎の約束』とか)のようなテンション。
ブルータルなグロウルとSOILWORKのような美メロディの対象描写が見事な音像で冒頭からかっ飛ばす快作です。
【メンバー】
ロバート・カールソン<Vo>…グロウル
ラーズ・パームクヴィスト<Vo>…クリーン
ペル・ニルソン<G/B/Key>
ベンジャミン・エリス<G>
ヘンリク・オールソン<Ds>
以下の8曲がおすすめです。
1. Chrononautilus
- 00:00~ いきなりマシンガン
- 00:08~ 突進。骨太グロウル
- 00:24~ クリーンVoのハーモニーが前面に出始める
- 00:33~ サビ。美しくゴージャスなクリーン vs. グロウル
- 00:49~ 狂気じみたグロウル
- 01:41~ 覚醒的なギター
- 02:29~ いったん静かになってギターが泣く
- 03:02~ クリーンVoのメロディにうっとり
- 03:34~ スネアの連打と共に突進
- 03:47~ さらに猛進。はるか彼方へ吹き飛ばされる
- 04:11~ 連射モード+クリーンVo
曲が始まった瞬間の衝撃がすごい。
いきなりラスボス戦のようなテンションでのグロウルとクリーンの対象描写がさえます。
泣きが入る02:29~もいいアクセント。
あとは03:47~ですね。
さらに暴虐的になるアプローチは圧巻です。
2. Scorched Quadrant
- 00:00~ ダイナミックでグルーヴ感のある演奏
- 00:14~ ドラムがドドドン → ギターがかっこよく伸びる → ベース音が前面に
- 01:05~ サビ。高揚感のあるハーモニーとバスドラ連打が心地良い
- 01:45~ それまでよりヒステリックなグロウル
- 02:35~ クリーンVo×1本が高音域付近で伸びる
- 02:58~ 00:14の展開再び → 刺激的なギター → 03:30からベースのグリグリ度も増す
- 04:46~ 暴虐的なグロウル → 気を引き締めるエンディング
「Chrononautilus」から少し減速するものの攻撃力は衰えず。
バスドラの連打と随所で強調されるベースがかっこいいです。
3. Overworld
- 00:00~ メロディアスなギター軸とした演奏
- 00:27~ 少し浮遊感のあるクリーン → グロウル
- 00:58~ クリーンVoに美しさが増す。演奏はよりグルーヴィに
- 02:20~ ピロピロ・ギター → きれいなハーモニー
- 02:43~ 泣きが入ったギター・ソロ
- 03:32~ 切迫感のあるドラムが前面に出て、だんだん不穏な感じに…
クリーンVoが前面に出ています。
きれいな歌メロにギター・ソロを重ねる02:43からも見事ですね。
だんだん雲行きが怪しくなるエンディングから次の「Altergeist」へつながっていきます。
4. Altergeist
- 00:00~ 「Chrononautilus」のようなマシンガン系スタート
- 00:15~ グロウル → クリーンの美メロディ
- 01:29~ 「ん?」となり、クリーンVoが密集 → でも01:35からまたマシンガン
- 02:06~ シャープなり、かっこいいベース・ラインが前面に出る
- 02:21~ エモーショナルなギター+ドラマティックなキーボード
- 02:56~ スローになって泣きのギター+鼓動音
- 03:40~ 一瞬ピタッと止まり、加速してミドル・テンポに
- 04:13~ 突進
- 04:46~ 猛進
- 05:01~ 衝撃音と共に叙情的になり、哀愁ギターが前面に
再度激しいナンバーを持ってきています。
02:21からの演奏パートでアクセントをつけて、段階的に激しさを増す構成がまた見事。
ここでも曲は独立して終わらず、5曲目の「Reichsfall」へと続きます。
5. Reichsfall
- 00:00~ 哀愁ギターが涙腺を刺激
- 00:05~ 泣きのギター①
- 00:17~ ダイナミックな骨太演奏+泣きのギター②(①のアレンジ)
- 00:30~ さらにアグレッシヴに
- 01:08~ 気分が高まるクリーンVo
- 01:20~ 泣きのギター② → ヒステリックなグロウル
- 01:58~ スロー・テンポに。少し雰囲気が異なるクリーンの歌メロ
- 02:48~ 中音域中心のギター → 03:01から高音域に…魅力的なフレーズがどんどん浸透してくる
- 03:38~ ①を軸とした悲哀フレーズ
- 03:51~ 厚みのある演奏+クリーンVo
- 04:16~ ①の熱量が増したフレーズ+グロウル
- 04:26~ エンディング…とはならず音が伸びて、弾みのある演奏
00:05~を軸としたギターが最高。
場面によって音域を変えて繰り返すアプローチがたまらないです。
3曲目「Overworld」から次曲へ続く流れでしたが、この「Reichsfall」で曲は独立して終わります。
8. Gridworm
- 00:00~ メロディックかつシャープに突進。バスドラのドコドコ連打が心地良い
- 00:25~ 骨太グロウル → 00:36からヒステリックなグロウルも絡める
- 00:44~ クリーンVoが加わり、グロウルとクリーンの応酬
- 02:17~ 突然ドライな感じに。バスドラはパタパタ
- 02:43~ 加速
- 03:01~ またまた曲調が変わってグルーヴィに
- 03:14~ 80年代のようなキーボードが加わる
- 03:42~ かと思ったら突進。ギターがまた刺激的
- 04:59~ 高音域のギターが伸びて、ドラム連打
マシンガン系リズムがさえるナンバーですね。
雰囲気が変わる02:17と03:01も面白い。
展開がコロコロ変わって、適度に訳が分からない感じが最高です。
10. Soulscanner
- 00:00~ シンフォニックに激走&エキサイティングかつメロディックなギター
- 00:14~ ギター、じっくりモードに…旋律が染みる
- 00:28~ バスドラ連打を絡めてアグレッシヴに進行
- 00:50~ サビ。素敵なクリーンVoとヒステリックな唱法を絡めたグロウルとの対比が見事
- 02:11~ 耽美的な演奏が続きそうになるが、すぐグロウルが重なる
- 02:29~ 悲哀フレーズ速弾き…即効性あり
- 03:43~ エモーショナルなギター → 03:58から00:00のパートになり突っ走る
02:11は演奏を引っ張ってクリーンVoが来そうな雰囲気なのですが、演奏は伸ばさず来るのは逆にグロウル。
心の準備ができていないうちに泣かせにかかる02:29からのギター・ソロも最高です。
11. Xenotaph
- 00:00~ ダイナミックでドラマティック…エンディングに最適
- 00:37~ エキサイティングなフレーズ →刺激的なドラム
- 00:48~ シンフォニックに
- 01:03~ 00:37~を基調に疾走
- 01:32~ 勇壮なコーラス「Xe~nota~ph」…超かっこいい!
- 01:39~ 一緒に拳を振り上げたくなる
- 04:04~ 高音域寄りのクリーンVo
- 04:32~ クリーンVoの音域が下がり、情のこもったギター
- 05:32~ 壮大さを維持しながらエンディングに向かうもなんか怪しい
- 06:16~ どんより
- 06:27~ SFホラー的サウンドが入り、さらに不気味に
勇ましいサビ(01:32~)がかっこいいです。
厚みのあるコーラスもラスト・ナンバーっぽくていいですね。
「次作(完結編)はどうなるのだろう?」と思わせる終わり方もうまい。
映画でいえば『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980年)や『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年)に通じるドキドキ要素です。
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