ROYAL HUNTが16作目『DYSTOPIA PART II』を2022年10月26日にリリースしました。
2020年のコンセプト・アルバム『DYSTOPIA』の続編。
D.C. クーパー<Vo>復帰後の中では一番の出来です。
本編全曲おすすめですので、聴きどころを紹介していきます。
ゲスト・シンガーたちも『DYSTOPIA』と同じラインナップ。
- ヘンリック・ブロックマン…初代Vo。『LAND OF BROKEN HEARTS』(1992年デビュー作)と『CLOWN IN THE MIRROR』(1994年2作目)でリード・ヴォーカル
- マーク・ボールズ…『PARADOX II: COLLISION COURSE』(2008年9作目)と『X』(2010年10作目)でリード・ヴォーカル
- マッツ・レヴィン
- ケニー・ルブケ
- アレクサンドラ・アンダーセン
ただ、アレクサンドラ以外は誰がどこで歌ってるのかが判別しにくく、記事内では「D.C.+ゲスト・シンガー」という表現にしています。
ROYAL HUNT版AVANTASIA的なスケールで描かれる『DYSTOPIA』シリーズの完結編『DYSTOPIA PART II』。
長尺の曲が多く、14分の大作もあります。
さあ、今回はどんな音世界が待ち受けているか。
メンバー
- アンドレ・アンダーセン<Key>
- D.C. クーパー<Vo>
- ヨナス・ラーセン<G>
- アンドレアス・パスマーク<B>
- アンドレアス・ハボ・ヨハンソン<Ds>
ゲスト・シンガー
- ヘンリック・ブロックマン
- マーク・ボールズ
- マッツ・レヴィン
- ケニー・ルブケ
- アレクサンドラ・アンダーセン
『DYSTOPIA PART II』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の本編全曲がおすすめです。
■ROYAL HUNT/DYSTOPIA PART II (2022年)
- Midway (Resumption)
- Thorn In My Heart
- The Key Of Insanity
- Live Another Day
- The Purge
- One More Shot
- Scream Of Anger
- Left In The Wind
- Resurrection F451
- Until The Day (Live)
曲のレビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Midway (Resumption)
雨、雷、ノイズが響く中、前作『DYSTOPIA』のラスト・ナンバー「Midway (Intermission 2)」(1997年4作目『PARADOX』の「The Awakening」を想起)がフェードイン。
目が覚めるような音が鳴り、次の「Thorn In My Heart」へとつながります。
2. Thorn In My Heart
- 00:00~ 劇的なスタートにワクワク
- 01:07~ 中音域のD.C. クーパー<Vo>のヴォーカルとヨナス・ラーセン<G>メロディックなギターが交互にあなたを魅了
- 01:32~ ROYAL HUNTならではの分厚いハーモニーが絡んでくる
- 02:00~ 高揚感が増すサビ。なんとなく「Last Goodbye」(1995年3作目『MOVING TARGET』収録)っぽい
- 03:12~ アンドレアス・ハボ・ヨハンソン<Ds>のドラムが響きブレイク→2回目のサビ…いいアクセント
- 04:06~ D.C.の高音域のヴォーカルが登場。やはりすごい存在感
- 04:30~ 演奏パート。アンドレ・アンダーセン<Key>のキーボード vs. ヨナスのギター
- 05:23~ ヨハンソンがスネアを叩きつけてシンフォニックで壮大なパートへ。05:55からのD.C.の邪悪な唱法がまた◎
「Last Goodbye」が飛躍したようなドラマティック・メタルです。
07:48からキーボードを響かせるあたりも「Last Goodbye」ですね。
SEがフェードインしてきて「The Key Of Insanity」に移行します。
3. The Key Of Insanity
D.C.+ゲスト・シンガーで進行します。
- 00:00~ ダークでスリリングな音像
- 00:17~ アンドレアのパワフルなドラムと共に骨太な演奏へ
- 00:46~ 緩急をつけながらの歌メロがクール。おそらくゲスト・シンガー
- 01:22~ エフェクトがかかってより刺激的に。ここはD.C.
- 02:14~ ダークかつ劇的なサビ。独特のハーモニーもうまく重なる
- 03:12~ アンドレアス・パスマーク<B>のベース・ラインがかっこいい。SEも絡んできて、03:59からエモーショナルなヨナスのギター・ソロへ
ミステリアスでヘヴィなナンバーです。
05:39~の終わり方も面白い。
フレーズが左右交互になりながらフェードアウトしていき、そしてパリン!
…となるのですが、最初はびっくりするかも。
音量の上げすぎに注意です。
4. Live Another Day
- 00:00~ アンドレのピロピロしたキーボード
- 00:16~ リズム隊の骨太な演奏が加わる
- 00:50~ 演奏にドキドキさが増し、D.C.は中音域を軸とした緩急あるパフォーマンス
- 02:14~ キラキラした演奏をバックにD.C.がムードのある歌唱
- 02:35~ 美しいコーラスを伴ったサビ。D.C.は中音域+伸びのある唱法
- 04:50~ D.C.の声が伸びでより壮大に
- 05:21~ やや歌の音域が上がる。ポジティヴな雰囲気が前面に出てヨナスのギター・ソロへ
- 06:12~ アンドレのキーボードがスリリング
「Message To God」(『PARADOX』収録)の速度を落として展開を増やした感じです。
07:37で泣きのギターを挟むアプローチも素敵。
08:18からヘリコプター、サイレンなどのSEが入り「The Purge」に流れます。
5. The Purge
D.C.はひと休み。
インストゥルメンタルです。
- 00:00~ 「1348」(『MOVING TARGET』収録)っぽい雰囲気
- 00:15~ 勢いが増してメロディックなギターを軸とした演奏へ
- 00:48~ 劇的さが加わる
- 01:06~ アンドレのキーボードとヨハンソンのドラムがメインに。パスマークの骨太のベースもちょこっと顔を出す
- 01:45~ ハイテンションなアンドレのキーボード
- 02:01~ 徐々に音域を上げるヨナスのギターが熱い
程良いドキドキ感が心地よいナンバーです。
6. One More Shot
- 00:00~ ドドン!としながらも哀愁テイストのある始まりにドキッ
- 00:31~ ハードでドラマティックな演奏
- 00:38~ ヨナスの泣きのギターが染みる
歌に関しては、D.C.は序盤のみで、サビからはゲスト・シンガーが登場します。
- 01:19~ D.C.によるリード・ヴォーカル
- 02:03~ 美しいコーラスを伴ったサビ。ゲスト・シンガーの声が絡む
02:44以降もゲスト・シンガーでしょう。
中音域のエネルギッシュな歌唱が光ります。
熱いギター・ソロ(04:42~)→爆発力のあるヨハンソンのドラム+アンドレのピロピロしたキーボード(05:13~)で畳みかける構成も見事です。
7. Scream Of Anger
14分の大作です。
- 00:00~ シンフォニックでありながも悲壮感が漂う
- 00:46~ テンポが上がる。メルヘンチックな雰囲気に
- 01:21~ 「Flight」(1992年デビュー作『LAND OF BROKEN HEARTS』収録)を思わせるパートで◎
- 01:52~ アンドレのキーボードがピロピロしまくり
- 02:30~ スリリングな演奏をバックに今度はヨナスのエモーショナルなギターが前面に
- 04:15~ そろそろ歌が入るかと思ったら「Flight」なパート。焦らす
- 05:10~ 静かな演奏になり、05:28からゲスト・シンガーの歌声
- 05:54~ 加速し、泣きメロを伴った劇的メタルに
- 06:50~ おそらくD.C.+ゲスト・シンガーによる歌。美しいハーモニーも重なり、バックでは「Flight」な演奏
- 07:45~ 歌のテンションが上がり、エネルギッシュに
- 09:41~ ちょっとフワフワ
- 10:16~ 何かが起こりそうな気がするもメルヘンチックなフレーズが前面に
- 10:49~ ミステリアスさが増して、エネルギッシュなギター・ソロへ
- 11:44~ ピタッと止まりSE
- 11:51~ 演奏再開
- 12:09~ D.C.の歌声が伸びる場面が増える
濃密です。
要所要所が「Flight」なのもうれしいです。
8. Left In The Wind
- 00:00~ アンドレの物悲しいピアノとD.C.の低音ヴォーカルが染みる
- 00:43~ ヨハンソンのドラムが入り、シンフォニックさが増す
- 01:19~ ゲスト・ヴォーカル+ヨナスの泣きのギター
- 02:01~ サビ。グッとくる歌メロ。『DYSTOPIA』の「Snake Eyes」が壮大になった感じ
- 03:00~ 美しいピアノがキラキラ
- 03:33~ ヨナスのギター・ソロが体中に染みこむ
- 04:29~ D.C.の「Now it’s time to say good bye」が響く。シーンとなっていき…
- 04:48~ 演奏再開。アレクサンドラ・アンダーセン<Vo>が歌う…鳥肌
『DYSTOPIA』の始まりからを回想しながら聴くと、こみ上げてくるものがあります。
07:08からの「Time’s up」にハッとさせられ、最後の最後の「Resurrection F451」へ。
9. Resurrection F451
『DYSTOPIA』の1曲目「Inception F451」にエレクトリックな演奏を足したアプローチ。
壮大で統一感のある締めくくりが見事です。
終わった後はフーッとひと息つきましょう。
総評
ROYAL HUNTのコンセプト・アルバムは過去に『PARADOX』(1997年)と『PARADOX II: COLLISION COURSE』(2008年)がありました。
『PARADOX』シリーズもすばらしかったですが、スケールの大きさでは『DYSTOPIA』と今回の『DYSTOPIA PART II』のほうが上です。
『DYSTOPIA』と『DYSTOPIA PART II』はそれぞれがアルバムとしても練られていて、なおかつ2作トータルでみてもバランスがとれた構成が見事。
楽曲も高品質で、特に今回の『DYSTOPIA PART II』では長尺の曲が多く聴きごたえ満点でした。
サウンドにも奥行きがあり、情報量が豊富。
ラストの「Resurrection F451」を聴き終えると、また『DYSTOPIA』から聴きたくなる。
何度もくり返し観たくなる大作映画のような魅力が『DYSTOPIA』シリーズにはあります。
過去の代表曲を思わせる場面が多いのも魅力の1つ。
『DYSTOPIA』シリーズはROYAL HUNTの名コンセプト作です。
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