ロニー・アトキンス<Vo:PRETTY MAIDS>の3rdソロ『TRINITY』のレビューです。
2023年10月13日に発表されました。
- 2021年:1stソロ『ONE SHOT』、アコースティックEP『4 MORE SHOTS』
- 2022年:2ndソロ『MAKE IT COUNT』、NORDIC UNION『ANIMALISTIC』、オーケストラ・アレンジEP『SYMPHOMANIAC』
…とリリースが活性化しているロニーですが、2023年もこうして音源を届けてくれました。
今作は『ONE SHOT』『MAKE IT COUNT』を踏襲しつつもファンタジックな要素が加味されたサウンド。
全曲おすすめです。
前作『MAKE IT COUNT』は『ONE SHOT』の最後の曲「When Dreams Are Not Enough」から聴くと流れがスムーズに受け継がれる作品でした。
『TRINITY』も同様で『MAKE IT COUNT』のラスト「Make It Count」から聴くと、前進し続けるロニーのエネルギーを体感しながら、アルバムを楽しむことができます。
【メンバー】
ロニー・アトキンス<Vo>
クリス・レイニー<G/Key:PRETTY MAIDS>
ポンタス・エグバーグ<B:KING DIAMOND>
アラン・ソーレンセン<Ds:PRETTY MAIDS>
1. Trinity
ということで、まずは「Make It Count」から聴くのがおすすめです。
「Make It Count」は音が迫って静まる終わり方でした。
その後にこの「Trinity」をスタートさせると結構しっくりきます。
- 00:00~ シリアス
- 00:17~ メロディックな演奏
- 00:33~ ロニーのVo+クリスのきらめくキーボード
この流れが見事。
「舞台は別世界。ロニーの新たなストーリーの始まり」といった感じでワクワクします。
01:00~で重厚な「Bri~ng i~t on」で迫って、躍動感のあるサビに入る流れも最高にかっこいい。
冒険心に満ちたオープニングです。
2. Ode To A Madman
出だしがアツいです。
- 00:00~ 高音域のギター(00:25~もいいフレーズ)
- 00:34~ ロニー、熱唱で呼応
そして01:21からはDEF LEPPARDのような分厚いハーモニーが加わり、ダイナミズムが増します。
DEF LEPPARDが大好きなロニーらしいアプローチですね。
04:14からはロニーのエフェクト声+やや不気味な声。
スタートからは考えにくいエンディングを迎えます。
3. Paper Tiger
『MAKE IT COUNT』の「Unsung Heroes」がちらつきます。
00:00~の演奏からは「Unsung Heroes」の歌い出し(00:21~)がイメージできますし、00:56~のサビ(極上メロディ!)も「Unsung Heroes」の01:15~に通じます。
劇的で哀愁度の高い「Unsung Heroes」ですね。
雰囲気が変わる以下も面白いです。
- 02:07~ 演奏が少しキラキラ。ロニー、つかみにくい音域を熱く歌う
- 02:30~ グリグリしながらギター・ソロ
4. Soul Divine
『MAKE IT COUNT』の4曲目「Remain To Remind Me」はバラード調の絶品ナンバーでした。
今回も4曲目で泣かせにかかります。
- 00:00~ 切なく美しい
- 00:20~ ロニーの低音域Voが染みる
- 00:45~ 美しいハーモニー
- 01:00~ ロニーの音域が上がる
そして01:16からバンド演奏になり、重厚で感動的な歌メロが展開していきます。
2番の歌い出し(00:20~のメロディ)の前にベース音を響かせる01:47~がまたニクい。
最高です。
03:11~も素敵ですね。
歌メロに少し透明感が増し、03:31~のギター・ソロではクリスが想定外の音質で魅了します。
5. Via Dolorosa
1分半のインストゥルメンタルです。
ダークで神秘的に始まり、00:40からはアジア的。
これから修行をするかのような雰囲気になります。
曲はそのまま次の「Godless」へつながります。
6. Godless
ミステリアスなスタートを切り、以下の流れを踏みます。
- 00:23~ 不気味な声
- 00:33~ ロニー、少しゆがみ気味で歌い始める
- 00:56~ 平常運転に
サビ(01:18~)では重厚でクールなメロディが展開され、01:41からはロニーのアツい高音域Vo。
涼風と熱風が両方吹き抜けるアプローチが秀逸ですね。
『MAKE IT COUNT』の「Blood Cries Out」のようなエネルギーが宿っています。
…が、05:20からは雲行きが怪しくなり、重苦しい音が結構伸びます。
7. Shine
00:21~のギターにグッときます。
そしてロニーは、
- 00:39~ 高音域寄りで熱唱
- 01:00~ 少し浮遊感
- 01:20~ ガッツある最高にかっこいいサビ
と段階的に感動を提供してくれます。
さらに2番以降は1番になかった下記の攻めを加えます。
- 02:07~ 01:00の歌に入る直前にフェイント
- 02:52~ サビに郷愁感漂うバックVo
哀愁度高め+速弾きで展開するギター・ソロ(03:12~/サビに重ねて始まるところがまた◎)や、02:52~のバックVoがより前面に出る3回目のサビのアレンジも見事です。
8. If You Can Dream It
明るい雰囲気の曲です。
軽快な曲調とロニーの歌が心地良く、サビ(00:53~)では重厚で魅力的なハーモニーが絡みます。
01:06~での「don’t ever let go」「never let go」もうんうんと頷きたくなるようないいメロディ。
徐々に共鳴度を上げていく展開がすばらしいですね。
炭酸飲料をグッと飲み終えた後のような01:12~もナイスですし、02:11~のベースライン(00:46~のロング・ヴァージョン)も素敵です。
9. Sister Sinister
00:02~のフレーズが染みます。
そして、ロニーのノスタルジックなVo → かっこよく「Yeah!」 → 躍動感が増しリズミカルなサビ(やはり極上!)へと展開。
さらにサビの後に00:02のギターが続くのですが、これがたまらない。
歌と演奏による畳みかけが見事です。
00:02のフレーズはこれ以降登場しないのですが、2回目のサビからは透明感のあるバックコーラス(02:30~)が加えられます。
10. Raining Fire
00:22~のスケールの大きいメロディックな演奏がかっこいいです。
ロニーは高音Voで進みますが、特に面白くなるのはこの後。
- 01:05~ 音域を下げて迫り…
- 01:13~ 厳かなバックVo
- 01:28~ ダークでドラマティックなサビ
- 01:48~ 曲名を力強く歌う → 01:13~のバックVo
というスリリングな展開をみせます。
- 04:17~ キーを上げてのサビ
- 04:38~ 曲名とともに通常のサビ
の流れもいいアクセントですね。
05:03からは00:22のフレーズがちょっとだけ控えめに顔を出します。
11. The Unwanted
『MAKE IT COUNT』の「Fallen」に通じるパートがあり、そこに至るまでのプロセスがまた見事です。
- 00:00~ 緊迫感のあるSE
- 00:34~ 今後の展開にワクワクの歌メロ
- 00:50~ ドラムが力強く叩きつけられる
- 01:10~ サビ。『MAKE IT COUNT』の「Fallen」の01:12~のようなリズム・パターン
「Fallen」もアルバムの最後から2曲目でした。
ラストから2曲目の双方のナンバーに類似点を見いだせるのが面白いです。
しかし、メロディそのものは異質。
「Fallen」は哀愁度が高めでしたが、この「The Unwanted」は前の曲「Raining Fire」の荘厳さを引き継いでいます。
以下も魅力的です。
- 02:37~ クリスタルを連想させるキーボード
- 02:48~ シャープに刻まれる演奏をバックにギター・ソロ
12. What If
ラストはバラードです。
切なく、美しく、魂のこもったロニーの歌唱が光り、サビでは感動的かつ安堵感のあるメロディに包まれます。
03:22~のキーボードとギターの応酬も聴きごたえがありますね。
そして気になるのはエンディング。
『ONE SHOT』も『MAKE IT COUNT』もその後につながるような終わり方でした。
この「What If」はというと…
- 04:41~ 優しさに包まれ…
- 05:15~ 目が覚めるような音でキラッ!
…と最後に強く光を放ちます。
早くも次作が楽しみになる締めくくり方です。
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