RECKLESS LOVE『TURBORIDER』

フィンランドのハード・ロック・バンド、RECKLESS LOVEが5作目『TURBORIDER』を2022年2月23日にリリースしました。

面白いアルバムですので、おすすめ曲をピックアップしながら聴きどころを紹介します。

以下が特徴として挙げられます。

  • 2013年3rd『SPIRIT』と2016年4th『INVADER』に実験的要素を加味させた内容
  • ピコピコしたサウンド
  • レトロ・ゲーム(ゲーム&ウオッチや電子ゲーム)に通じる音像
  • 近未来要素もあり、同時に80年代の懐かしさも感じさせる

表現するなら「サイバー・ハード・ロック」「ピコピコ・ハード・ロック」といった感じです。

そんな音楽性なので、このレビュー記事では「ピコピコ」といった表現が多く出てきます。

『TURBORIDER』の収録曲とおすすめ曲

以下の太字の10曲がおすすめです。

■RECKLESS LOVE/TURBORIDER (2022年)

  1. Turborider
  2. Eyes Of A Maniac
  3. Outrun
  4. Kids Of The Arcade
  5. Bark At The Moon (OZZY OSBOURNE cover)
  6. Prelude (Flight Of The Cobra)
  7. Like A Cobra
  8. For The Love Of Good Times
  9. ’89 Sparkle
  10. Future Lover Boy
  11. Prodigal Sons
  12. Love Reckless

メンバー

  • オリ・ヘルマン<Vo>
  • ペペ<G>
  • ヤッレ・ヴェルヌ<B>
  • ヘッス・マックス<Ds>

おすすめ曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Turborider

近未来風の雰囲気を漂わせながら突き進むノリの良いナンバー。

ピコピコしたサウンドを背にオリ・ヘルマン<Vo>の伸びやかな歌が響き渡ります。

空想的な音像でありながら、歌メロは80年代のような懐かしさ。

この2つの要素が見事に融合しています。

ドスンドスンとしたドラムを挟みながら入ってくる「Turbo」「rider」のかけ声がインパクト大。

鋭角さを維持したペペ<G>のギターもクールです。

2. Eyes Of A Maniac

「Turborider」のエンディングのギター・サウンドにピコピコ音が被さりスタートします。

「Turborider」よりややリズミカルな曲調になっていて、ポップな感覚にあふれたオリの歌メロが快感。

エッジの効いたサウンドを聴かせるぺぺのギターも見事で、特に02:26からのメロディアスなプレイが耳に残ります。

レトロ・ゲーム(ゲーム&ウオッチや電子ゲーム)の世界に通じる曲です。

3. Outrun

グッとくる泣きのギターでスタートするキャッチーなポップ・ナンバー。

オリのポップな歌メロが心地良い。

そして出だしもそうでしたが、要所要所で魅力的なメロディを放つぺぺのギターが秀逸です。

以下の展開も素晴らしいです。

  • 01:03からオリの歌が入る01:15まで
  • 02:05から02:29までのオリの歌+エモーショナルなギター・フレーズ

4. Kids Of The Arcade

ややダイナミックさが増したピコピコ・サウンド。
そこにオリの親近感のある歌メロが心地良く展開します。

01:07からのゴージャスなコーラスな絡むサビの構成も見事。

あとは02:30からですね。
エフェクトのかかった声+ぺぺのダイナミズムに満ちたギター・ソロがかっこいいです。

5. Bark At The Moon (OZZY OSBOURNE cover)

オジー・オズボーン「Bark At The Moon」(1983年3rd『BARK AT THE MOON』収録)のカヴァー。

原曲に『TURBORIDER』の世界観を程良く加味させたスタイルです。

オリはオジーのスタイルをマネることなく、自分のスタイルで歌っていて、かっこよくキメています。

オリジナルで強烈だったあの笑い声をちゃんと独自のアプローチにしているのもさすが。

アルバムの流れにもちゃんとハマっています。

かっこいいカヴァーです。

7. Like A Cobra

歌メロに哀愁度が感じられるピコピコ・ナンバーです。

01:56からのぺぺのギター・ソロがエネルギッシュでいいですね。
体中に響いてきます。

02:17からのオリの声が入る所もいいアクセントになっています。

さらに02:29からは、サビの歌メロの後ろでメロディックなギターが呼応。
この泣きメロの畳みかけがまた素晴らしいです。

8. For The Love Of Good Times

ぺぺのギターの哀愁フレーズでスタート。

ピコピコした音に加え、ちょっとポコポコしたサウンドも登場するリズミカルなナンバーです。

歌とギターの両方が哀愁メロディで攻めてきます。

オリの歌メロの後に続くぺぺの泣きのギター(01:26~、02:32~)が特に光りますね。

9. ’89 Sparkle

『TURBORIDER』収録曲の中で特におすすめです。

一緒に手拍子をしたくなる明るく楽しいナンバー。

曲名に「’89」とあるように、80年代に通じるポジティヴな雰囲気が最高です。

00:57からのサビの展開は見事。
爽快でありながら、懐かしさも感じさせる歌メロが秀逸です。

01:26で一瞬止めたり、02:14からかけ声のようなSEを入れるところもいいアクセントになっています。

02:31からのぺぺのギター・ソロもノスタルジックでグッときます。

11. Prodigal Sons

「’89 Sparkle」と共にこの「Prodigal Sons」も特におすすめ。

以下のような流れです。

  • 00:00~ ちょっと厳かな雰囲気の劇的イントロ(『火曜サスペンス劇場』っぽい)
  • 00:13~ 泣きのギターが被さる
  • 00:28~ ピタッと止まって、本編はダンサブルな感じに
  • 00:33~ エフェクトがかかったオリの歌がミステリアスに展開
  • 01:05~ サビへ

サビは、歌メロとバックのゴージャスなコーラスがエキサイティングです。

02:12からのギター・ソロもエモーショナルで最高。
そしてSEを絡めたアプローチが効いてます。

フェイントをかけた終わり方にも注目です。

12. Love Reckless

「Love Reckless」はボーナス・トラック。

オリによると、この「Love Reckless」は『TURBORIDER』の他の曲とグルーヴとリズムちょっと違う感じのため、本編から外したらしいのですが、これも素晴らしい曲です。

メロディそのものは哀愁度が高く、そこにゴージャスなコーラスも絡んできます。
そしてペペも泣きのフレーズで呼応するという絶品の展開です。

最高のボーナス・トラックです。

ただ、アルバムそのものは「Prodigal Sons」(意表をついたエンディングが◎)で締めくくるほうがいいので、曲順配置は本編の中盤~後半あたりに向いてます。

総評

RECKLESS LOVE『TURBORIDER』を紹介しました。

ピコピコしたサウンドを軸に展開されるハード・ロック。

SCORPIONS「To Be No. 1」(1999年14作目『EYE II EYE』収録)を思わせます。
「To Be No. 1」はピコピコした音像の中にSCORPIONSらしいメロディが展開されていました。

『TURBORIDER』もRECKLESS LOVEならではのキャッチーなメロディが満載。

そして、オリの歌とペペのエモーショナルなギター・プレイが見事に呼応しています。
所々に声にエフェクトをかけたりするなど、アレンジのうまさもうかがえます。

歌とメロディの哀愁度が高い「Like A Cobra」「For The Love Of Good Times」、明るく楽しい「’89 Sparkle」、リズミカルで意表をつく本編ラストの「Prodigal Sons」。

ピコピコしながらも様々なアプローチを仕掛けるアイディアに脱帽です。

『TURBORIDER』は冒険心に満ちた意欲作です。

「Bark At The Moon」のカヴァーも見事で、アルバムの流れにも自然にハマっています。

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