QUEENSRYCHEが『DIGITAL NOISE ALLIANCE』を2022年10月7日にリリースしました。
トッド・ラ・トゥーレ<Vo>が加入してから4作目。
トッド加入以降は良作が続くQUEENSRYCHEですが、トッド期の最高傑作です。
ジェフ・テイト<Vo>期の『OPERATION: MINDCRIME』(1988年)や『EMPIRE』(1990年)などを思わせる要素もあり、7分半の本編ラスト「Tormentum」にはDREAM THEATERっぽいパートも登場。
おすすめ曲の特徴を挙げながら『DIGITAL NOISE ALLIANCE』の聴きどころを紹介していきます。
メンバー
サポート・ドラマーだったケイシー・グリロ<Ds:元KAMELOT>が正式加入。
『TRIBE』(2003年)、『OPERATION: MINDCRIME II』(2006年)、『TAKE COVER』(2007年カヴァー・アルバム)で弾いていたマイク・ストーン<G>が復帰しています。
- トッド・ラ・トゥーレ<Vo>
- マイケル・ウィルトン<G>
- マイク・ストーン<G>
- エディ・ジャクソン<B>
- ケイシー・グリロ<Ds>
『DIGITAL NOISE ALLIANCE』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の10曲がおすすめです。
■QUEENSRYCHE/DIGITAL NOISE ALLIANCE (2022年)
- In Extremis
- Chapters
- Lost In Sorrow
- Sicdeth
- Behind The Walls
- Nocturnal Light
- Out Of The Black
- Forest
- Realms
- Hold On
- Tormentum
- Rebel Yell (BILLY IDOL cover)
おすすめ曲のレビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. In Extremis
エネルギッシュなオープニング・ナンバーです。
- 00:08~ シャープかつメロディックなギターにワクワク
- 00:28~ ケイシー・グリロ<Ds>のクールなドラムの連打の後にトッド・ラ・トゥーレ<Vo>の高揚感のあるVoが入る
- 01:16~ 歌声が伸びるサビ。どこかホッとできて共感できるメロディ展開
- 01:40~ スロー・テンポに。02:01からのヘヴィな間奏が◎
- 02:16~ メロディックなギターが絡みつき、02:42から再度加速
- 04:16~ トッドのハイトーンと共に演奏も熱量も増す
トッド加入後の曲では『CONDITION HUMAN』(2015年)の1曲目「Arrow Of Time」に通じます。
ジェフ・テイト<Vo>期では『THE WARNING』(1984年)の「NM 156」。
スピード感は「NM 156」のほうがありますが、似たようなオーラがこの「In Extremis」から放たれています。
2. Chapters
エディ・ジャクソン<B>がクールなベースをはじき、メロディアスかつグルーヴ感のある演奏がスタート。
ここの演奏がまずかっこいいです。
00:17からトッドのヴォーカルが入りますが、少し余裕を持たせたような唱法が印象的。
魅力的な歌メロが滑らかに展開していきます。
01:22からのギターも染みます。
02:32からのギター・ソロは、それまでのトッドのヴォーカルより高い音域でのプレイ。
いい感じに熱くさせてくれます。
ギターが音を伸ばし、曲が終わりきる前に次の「Lost In Sorrow」が始まります。
3. Lost In Sorrow
「Chapters」からつながる形でこの「Lost In Sorrow」がスタート。
ガツンとした始まりですね。
- 00:00~ ケイシーの「ドン!ドン!」なドラムが印象的。心地よいギターとエディの弾力性のあるベースも絡まりIRON MAIDENっぽい
- 00:21~ トッドの歌。00:53からの伸びが見事
- 00:57~ IRON MAIDENなギター
- 01:43~ その後の展開に期待を抱かざるをえないトッドの歌メロ
- 01:52~ サビ。透明感のあるコーラスを重ねるアレンジが絶品。美しい
- 02:28~ ギター・ソロ。哀愁を帯びたフレーズ
- 04:27~ トッドのヴォーカルは高音域へ。圧巻
そして音がピタッと止まるエンディング。
前の曲「Chapters」とは対照的なアプローチなのがまた面白いです。
4. Sicdeth
- 00:00~ メランコリックな雰囲気。徐々にヒートアップ
- 00:27~ シャープなギターが被さって本編に突入
01:10で疾走したり、01:25からのサビでミドル・テンポになったりと緩急を持たせながらも勢いを維持しながら進行していきます。
中盤の展開もすばらしい。
- 02:36~ トッドの伸びのある声に重なる形でギター・ソロへ
- 03:02~ ギターに重なる形でエディの「ボンボン」としたベース。ダークでドラマティックな演奏。トッドはムードのある歌唱
歌、ギター、ベースへの被せながらの流れが秀逸です。
再度加速し、曲は次の「Behind The Walls」へとつながります。
5. Behind The Walls
ミステリアスな雰囲気でスタートします。
- 00:47~ メロディックなギターが◎
- 01:01~ トッドの歌がいきなりスタート
- 01:40~ テンポ・アップ
- 01:55~ 唐突に高音域でのサビ。インパクトがあって力強い
- 04:58~ ケイシーの流れるようなドラムから劇的さが増した演奏。ギターの旋律が染みる
01:01から「お!いきなり歌?」となります。
歌がメロディックな演奏をかき消す感じですね。
突然トーンが上がるサビ(01:55~)でのアプローチは『EMPIRE』(1990年)収録の「One And Only」や『PROMISED LAND』(1994年)収録の「I Am I」を彷彿。
こういった変化球攻撃もQUEENSRYCHEの魅力です。
6. Nocturnal Light
始まりのギターが一瞬『OPERATION: MINDCRIME』(1988年)収録の「I Don’t Believe In Love」を思わせます。
本編はスローでヘヴィに展開。
- 00:52~ 悪魔っぽいエフェクトがクール
- 01:39~ サビ。ミステリアスかつパワフル
- 03:17~ トッドの声にエコーがかかり、以降不気味に響き渡る。メロディックなギターとケイシーの力強いドラムも◎
- 04:23~ ギター・ソロ。浸透度の高いフレーズ
- 05:02~ トッドが高音域→ブルータルなVo。表現力の幅広さに脱帽
濃密なダークサイド・ナンバーです。
7. Out Of The Black
この「Out Of The Black」の始まりは『OPERATION: MINDCRIME』収録の「Breaking The Silence」を彷彿させます。
「Breaking The Silence」がシャープになった感じですね。
そしてトッドの歌が入る00:13からは「I Don’t Believe In Love」っぽい。
ですので「Breaking The Silence」と「I Don’t Believe In Love」を足して加速させた印象です。
01:29からのサビでノスタルジックな雰囲気も出ているのもうれしい。
トッドのハイトーンが炸裂する02:23や、02:30からのギター・ソロもエキサイティングです。
8. Forest
高品質のバラード。
過去の曲でいえば『AMERICAN SOLDIER』(2009年)収録の「Home Again」に近いです。
トッドのソフトでムーディな歌唱が絶品。
透明感あふれるコーラスも鳥肌モノで、00:18~、01:43~、03:23~のように印象的なギターを響かせながら進行していきます。
優しく包容力にあふれた美しい曲です。
10. Hold On
- 00:00~ ハイエナジーなギターが鳴り響く。エディのベース・ラインも魅力的
- 00:36~ 叙情的。『EMPIRE』の「Anybody Listening?」っぽい
- 01:06~ 高揚感が増すトッドの歌メロ
- 01:19~ 「Ho~ld on」と伸びるキャッチーなサビ。ハーモニーもキマッてる
- 01:49~ トッドの歌にエモーショナルなギターが重なる
- 03:19~ どこか懐かしさを感じさせる歌メロ
- 03:48~ 情のこもったギター・フレーズ
- 04:03~ ギターはいい感じにピロピロ。ケイシーの「ドン!ドン!ドン!」のドラムを交えながらスリリングに展開
静と動の切り替えが光るナンバーです。
曲は本編最後の「Tormentum」へとつながります。
11. Tormentum
7分半の本編ラスト。
これはすごいです。
- 00:00~ シリアスな雰囲気でスタート
- 00:32~ ケイシーの流れるようなドラム→鋭いギター・リフを軸に進行。トッドのヴォーカルもエネルギッシュ
- 01:30~ フェードインしてくる引き締まるような声を絡めながら、トッドはハイトーンでのパフォーマンス
- 03:01~ ミステリアス。語りのSEがクール(結構長時間なのがまたうれしい)
- 04:01~ 再びハードに
- 04:43~ DREAM THEATERっぽいテクニカルなパート
- 05:16~ メロディックなギター・ソロ
- 05:54~ トッドの歌が入りエンディング間近。DREAM THEATERの「In The Name Of The God」(2003年作『TRAIN OF THOUGHT』収録)っぽい
- 07:01~ エレクトリックな演奏が止まり静かになる。DREAM THEATERの「This Is The Life」(2011年作『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』収録)のような終わり方
アルバムを締めくくるのにふさわしいナンバーです。
特に04:43からはうれしい驚き。
予想外の展開にガッツポーズです。
12. Rebel Yell (BILLY IDOL cover)
こちらはビリー・アイドルのカヴァーです。
オリジナルは1983年2nd『REBEL YELL』(邦題『反逆のアイドル』)の1曲目。
原曲と一緒に楽しみましょう。
総評
トッド・ラ・トゥーレ<Vo>加入以降では最高傑作です。
以下が魅力として挙げられます。
- 幅広い音域を生かしたトッドのヴォーカルが圧巻
- ギター、ベース、ドラムの全パートが演奏で魅了
- 過去の代表作を思い起こさせる場面が多い
- 「Chapters」~「Lost In Sorrow」、「Sicdeth」~「Behind The Walls」、「Hold On」~「Tormentum」のように曲のつなげ方がうまい
IRON MAIDENっぽい「Lost In Sorrow」も面白かった。
そして「Tormentum」ですね。
DREAM THEATERっぽいアプローチにはビックリ&スタンディングオベーションです。
コメント
鋼鉄EXさんこんにちは✨
相変わらずの繊細な解説です。サブスクの時代故にアルバム購入の参考になります😊(何時も悩んでます!)この作品まだ数回しか聴いてませんが引き込まれる感じです‼️引続きブログ拝読していきます。宜しくお願い致します。
ロックハードさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
そして、いつも当ブログへアクセスしていただき、誠にありがとうございます!
今回の『DIGITAL NOISE ALLIANCE』は、様々なタイプの楽曲があり、各曲の構成が練られていると感じました。
歌も演奏も高品質ですし、曲順も見事ですよね。
おすすめの作品は今後もタイムリーに詳説していきます。
これからもよろしくお願いします!