PRETTY MAIDSのロニー・アトキンスとECLIPSEのエリック・モーテンソンを中心としたプロジェクト、NORDIC UNIONが3rdアルバム『ANIMALISTIC』を2022年8月12日にリリースしました。
2016年1st『NORDIC UNION』と2018年2nd『SECOND COMING』もかっこよかったですが、両作を超えています。
強力です。
特徴を挙げると以下のような感じです。
- サウンドは、PRETTY MAIDS、ロニーのソロ、ECLIPSEよりやや硬質
- 過去2作はスローで劇的なナンバーでの幕開け→以降加速だが、『ANIMALISTIC』はアップ・テンポ・ナンバーでスタート
- リード・ヴォーカルは全曲ロニー
- エリックはギター、ベース、キーボードをプレイ。歌はバック・ヴォーカルでサポート
おすすめ曲をピックアップしながら『ANIMALISTIC』の聴きどころを紹介していきます。
『ANIMALISTIC』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の9曲がおすすめです。
■NORDIC UNION/ANIMALISTIC (2022年)
- On This Day I Fight
- In Every Waking Hour
- If I Could Fly
- Riot
- This Means War
- Scream
- Animalistic
- Wildfire
- Shot In The Dark
- Last Man Alive
- King For A Day
メンバー
- ロニー・アトキンス<Vo>
- エリック・モーテンソン<G/B/Key>
- トーマス・ラーソン<G>
- ヘンリック・エリクソン<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. On This Day I Fight
過去2作と違い、アップ・テンポのナンバーによる幕開け。
SKID ROWの「Slave To The Grind」(1991年2nd『SLAVE TO THE GRIND』収録)を劇的かつメロディック寄りにした感じです。
ロニー・アトキンス<Vo>のエネルギッシュなヴォーカルとエリック・モーテンソン<G/B/Key>を中心とした演奏陣のシャープなパフォーマンスが見事に呼応。
以下のギターのパフォーマンスも最高です。
- 01:44~ ザクザクしたリフをバックにメロディックなフレーズ
- 02:07~ ダイナミックさが増してギター・ソロへ
こういう曲がオープニングとは予想外。
アグレッシヴでいいじゃないですか。
熱い!
2. In Every Waking Hour
シャープでダイナミックなナンバー。
ヘンリック・エリクソン<Ds>が随所で力強いドラムを聴かせてくれます。
00:29で突進力のあるヘンリックのドラムと共にいったんブレイクを入れて、パワフルなロニーの歌が入るところなど、構成が練られています。
ロニーが伸びのある歌を披露し(01:27~)、そこからエネルギッシュなギター・ソロに移る流れもいいですね。
01:58でピロピロしてサビに戻るところもドキドキです。
02:14からは伸びのあるメロディアスなフレーズが放出。
その後02:32からヘンリックがドラムで加速する流れもエキサイティングです。
3. If I Could Fly
徐々にフェードインしてくるコーラス。
ここでもうヤバい…。
そして重厚なリフと共に爆発力のある演奏がスタート。
ロニーのメロディアスなヴォーカルに分厚いコーラスが重ねるアレンジ(00:59~)が光ります。
ロニーのヴォーカルにさらに歌が重なり(02:22~)、そしてその歌が終わり切る前にギター・ソロへ流れるところ(02:35~)もいいですね。
歌とギターによる見事な畳みかけ。
ソロそのものもエモーショナルでかっこいいです。
03:26からのフレーズも印象的ですし、ロニーの声のエネルギーにも圧倒されます。
5. This Means War
シリアスな雰囲気を醸し出す以下の出だしから虜になります。
- 00:05~ シャープなギター・リフ
- 00:15~ 重みのあるヘンリックのドラム
そして徐々にテンションを上げていくロニーの歌唱が秀逸。
00:57で「This Means」とブレイクを挟み「War」と分厚いコーラスと共に突入していく流れはたまらない。
パワフルでエキサイティングです。
02:11からのギター・ソロもかっこいい。
メロディックかつエモーショナルなフレーズに引き込まれます。
以降は曲のタイトルをコールする歌メロに加え、ギターも乱舞。
歌とギターでメロディアスに迫ってきます。
03:39からゴージャスなコーラスが響かせて、最後はロニーの歌1本で終える構成もすばらしいです。
6. Scream
リズミカルで少し明るい雰囲気の曲。
00:07からのコーラスが軽快で心地良いですね。
特に前半のロニーのヴォーカルは、他の曲と比べるとややドライな感じで新鮮。
00:30から重なるコーラスもきれいです。
曲が進行していくにつれ、ロニーの歌の熱量が増していく感じ。
02:23のように太い声によるパフォーマンスを入れるところもさすがです。
いいアクセントになっていますね。
シリアスさを前面に出した「This Means War」の後にノリの良い「Scream」。
インパクトのある曲順配置です。
7. Animalistic
DOKKENを思わせるエッジが効いたナンバー。
ジョージ・リンチが弾きそうなシャープなリフを主軸にダイナミックに展開していきます。
00:14での吐き捨てや01:36の「Ha ha, ha」など、ロニーは余裕と貫録を感じさせるパフォーマンスで魅了。
歌メロに関しては、音域が下がるメロディ展開(00:33~)が特にすばらしいです。
そして00:38からギター・フレーズが重なる…。
グッときます。
02:22からのギター・ソロもエネルギッシュ。
テンションが高いですね。
あとはエンディング。
それまでの演奏とは一転して不穏な感じになります。
これがまたミステリアスでクール。
9. Shot In The Dark
神秘的な感じに始まり、ロニーの熱いかけ声(00:15~)とともにスタート。
躍動感のあるナンバーです。
00:29からはロニーはやや低音域での歌唱。
こういう音域でのメロディも染みますね。
そして徐々にヒートアップしていきます。
サビ(01:06~)や02:13からのメロディックなギターも見事。
「Shot in the dark!」と曲のタイトルをコールした後からギター・ソロに入る構成もいいですね。
「さあ、どんなソロが来るか!」とワクワク。
そして、ぐんぐんと迫ってくるようなフレーズに圧倒されます。
10. Last Man Alive
ダークで静かな感じに始まり、ドラマティックに躍進していきます。
特にすばらしいのが00:41からスネアが入った後の歌メロ。
ここは高揚感が増します。
そしてバックでは哀愁のギター・フレーズ。
歌とギターがダブルで涙腺を刺激してきます。
01:56からのギター・ソロも絶品。
情のこもったフレーズに耳が釘付けになります。
こういった曲はアルバム終盤にぴったり。
感動の度合いが高まります。
11. King For A Day
ラストはパンチ力のあるナンバー。
感動的な「Last Man Alive」がエンディングではなく、もう1曲あります。
目が覚めるような感じ。
「おい、まだ1曲あるぞ!」とロニーとエリックの声が聞こえてきそうです。
ダイナミックな演奏とロニーの熱唱を軸に進行。
00:41からのサビは力強くてかっこいいですね。
アルバム収録曲の中でも3分未満と一番短く、非常にスリムなのがまたいいのです。
勢いのある「On This Day I Fight」で幕を開け、パワフルかつコンパクトな「King For A Day」で終わる『ANIMALISTIC』。
引き締まります。
総評
ロニー・アトキンスとエリック・モーテンソンによるNORDIC UNIONの『ANIMALISTIC』。
聴きどころを紹介しました。
スピーディな「On This Day I Fight」で幕を開け、ノリの良い曲や感動的なナンバーを挟み、力強い「King For A Day」で締めくくる。
攻めの作風に拍手ですね。
アルバムから伝わってくるロニーとエリックの熱意もすごいです。
2018年2nd『SECOND COMING』以降の2人のリリース作品を見てみると、ロニーは、PRETTY MAIDSで『UNDRESS YOUR MADNESS』(2019年)、ソロで『ONE SHOT』(2021年)と『MAKE IT COUNT』(2022年)をリリース。
エリックは、ECLIPSEで『PARADIGM』(2019年)と『WIRED』(2021年)を出しています。
強力作品ばかり。
この作品群からもロニーとエリックの創作活動の充実ぶりが感じとれます。
「そんな2人が再合流してアルバムを作れば、こういった質の高い作品になるのも納得」
『ANIMALISTIC』はそう思わせてくれる傑作です。
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