NICKELBACKが2022年11月18日に10作目『GET ROLLIN’』をリリースしました。
これまで発表されたきた数多くの名曲のオーラーが満載ですので、おすすめ曲を挙げながら、各曲の特徴を紹介していきます。
おすすめ曲の中には、15年間眠っていた曲(2008年6作目『DARK HORSE』リリースの1年前に書かれた曲)もあります。
メンバー
- チャド・クルーガー<Vo/G>
- ライアン・ピーク<G/Vo>
- マイク・クルーガー<B>
- ダニエル・アデア<Ds/Vo>
『GET ROLLIN’』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の9曲がおすすめです。
■NICKELBACK/GET ROLLIN’ (2022年)
- San Quentin
- Skinny Little Missy
- Those Days
- High Time
- Vegas Bomb
- Tidal Wave
- Does Heaven Even Know You’re Missing?
- Steel Still Rusts
- Horizon
- Standing In The Dark
- Just One More
1. San Quentin
ダニエル・アデア<Ds/Vo>シャープなドラムと共にスタートするガッツあふれるナンバー。
00:02からのギターが非日常的な感じでクールです。
マイク・クルーガー<B>の骨太なベースを軸とした演奏の中でチャド・クルーガー<Vo/G>が熱い歌を展開していくあたりは2001年3作目『SILVER SIDE UP』収録のオープニングを飾った「Never Again」を彷彿。
00:42でのサビ(00:02のギターと共に入るアプローチが◎)で曲名をスパッと切るような唱法も「Never Again」ですね。
あるいは2011年7作目『HEAR AND NOW』収録の「Bottoms Up」にも通じます。
歌詞では、2008年6作目『DARK HORSE』収録の名曲「Burn It To The Ground」が登場。
01:27でチャドがそれまでより音域を下げて「Burn it to the ground」と歌っています。
この部分を強調しているようにも聞こえますね。
2. Skinny Little Missy
2019年9作目『FEED MACHINE』のようなオーラがあります。
スローでヘヴィなナンバーで、シリアスさを前面に出したチャドのヴォーカルを軸に進行。
加えて以下のアプローチが光ります。
- 01:08~ トリッキーなギター
- 02:05~ グルーヴィなギター+ダニエルの爆発力のあるドラム
- 02:21~ キーン!とした音と共にギター・ソロへ。曲調とは対照的な速弾きも絡める。エキサイティング
- 02:34~ エフェクトのかかったチャドのヴォーカル
トリッキーさが増した「Sad But True」といった感じです。
NICKELBACKはライヴで「Sad But True」をカヴァーしていますが、そのスタンスが生かされたナンバーともいえます。
3. Those Days
2005年5作目『ALL THE RIGHT REASONS』収録の「Photograph」と『HEAR AND NOW』収録の「When We Stand Together」をブレンドさせ、郷愁度を足した感じのナンバー。
アコースティック・ギターとチャドの歌でスタートするあたりは「Photograph」ですね。
心が温まるような歌メロが展開していき、00:45から「When We Stand Together」っぽくなります。
以下もすばらしいアクセント。
- 02:08~ いったん静かな演奏。チャドのヴォーカルにエコーがかかる
- 02:35~ サビのメロディがダニエルのドシンとしたドラム+分厚いコーラスで進行
そして、ノスタルジックなコーラスが重なる02:58~ですね。
それまでの展開だけでもグッときちゃうのに、さらにグッときます。
4. High Time
手拍子をしながら楽しみたい。
- 00:14~ 「She Keeps Me Up」(2014年8作目『NO FIXED ADDRESS』収録)の速度を落とし、土臭さを加えた感じ。微妙にジワリとくる
- 00:55~ 和やかでキャッチーなサビ。ちょっと「Song On Fire」(『FEED THE MACHINE』収録)っぽい
前半で少しコミカルな要素を漂わせておいて、サビでは王道のメロディ展開をみせます。
程良くトーンを変えるアプローチがうまい。
「She Keeps Me Up」には女性シンガーのAli Tamposiが参加していましたが、この「High Time」ではチャドのみのヴォーカルとなっています。
※Aliは『FEED MACHINE』収録の「After The Rain」でチャドと共作。
オジー・オズボーンの2020年作『ORDINARY MAN』の多くの曲でもクレジットされています。
5. Vegas Bomb
『FEED THE MACHINE』の空気が少し感じられるハードなナンバー。
テンポは遅めなのですが、歌と演奏に回転力があるので、そのコンスタントな描写が面白いです。
- 00:00~ クールなギター・リフ。ここでKO
- 00:20~ リズミカルなチャドのヴォーカル。00:34のようなエフェクトを絡めるあたりがまたうまい
- 00:45~ かけ声が畳みかける
- 00:51~ チャドが「Oh~!」と伸ばし「Hey!」の力強いかけ声
- 00:54~ メロディアスなサビ。01:18~「Bomb」「Bomb」と繰り返す。以降も「Bomb」「Bomb」が多数。心地良い
- 02:43~ ギターソロ。速弾きを絡めたエネルギッシュなフレーズ
03:29からも「Bomb」「Bomb」がたくさん。
ですが、しつこすぎるということは全くなく、聴いていて逆にほのぼのしてきちゃいます。
03:41からはチャドの声のみの「Bomb」「Bomb」となって曲は終わります。
6. Tidal Wave
美しく郷愁感のあるメロディアス・ナンバー。
- 00:00~ 波の音でスタート
- 00:16~ エコー+エフェクト処理されたチャドの声
- 00:26~ チャドが普通の声で歌い始める。切ないメロディ
- 01:04~ サビ。透き通るような声の上にエモーショナルな歌メロが乗る
02:54で波のSEをはさむところもいいアクセントになっていますね。
『DARK HORSE』収録の「Gotta Be Somebody」をソフトにシフトさせたような印象もあります。
7. Does Heaven Even Know You’re Missing?
15年間眠っていた曲(『DARK HORSE』リリースの1年前に書かれた曲)がこれ。
曲調は『ALL THE RIGHT REASONS』収録の「Photograph」に似ていて、哀愁度が増した「Photograph」といった感じです。
『ALL THE RIGHT REASONS』と『DARK HORSE』を思い浮かべながら聴くと、感動が増しますね。
「Tidal Wave」の雰囲気も継承しているので、「Tidal Wave」から自然にこの「Does Heaven Even Know You’re Missing?」に流れる構成にも拍手です。
10. Standing In The Dark
- 00:00~ ワクワクさせるようなエネルギッシュなサウンドがフェードイン
- 00:07~ ハードでノスタルジックなギターを軸とした演奏
- 00:21~ チャドの低音寄りのヴォーカル。癒し効果あり
- 00:51~ 程良くガッツある演奏と共にサビ。メロディアスな歌メロ
「Does Heaven Even Know You’re Missing?」以降、ゆったりとした曲が続いていましたが、この「Standing In The Dark」でいい感じにまた体が温まります。
11. Just One More
- 00:00~ ミステリアスな演奏+チャドの切ないヴォーカル
- 00:21~ ピタッと止まる→「Just One More」のチャドの声と共に骨太な演奏へ。キャッチーなコーラスが乗るサビ
- 01:19~ グルーヴ感が強調された演奏が◎
「Standing In The Dark」から適度にヒートアップさせて哀愁メロディを展開させる構成が見事です。
総評
前作『FEED THE MACHINE』もいいアルバムでしたが、今回も傑作です。
全体的にメロディのノスタルジック度が上がっているのが大きな特徴といえます。
数多くの名曲を生み出してきたバンドだからこそこういったアプローチが生きますね。
『FEED THE MACHINE』のようなモダンな要素をちょっと残した「Skinny Little Missy」や「Vegas Bomb」も見事。
「Does Heaven Even Know You’re Missing?」も15年の時を経て日の目を見ました。
「Does Heaven Even Know You’re Missing?」を聴くと『ALL THE RIGHT REASON』や『DARK HORSE』も聴きたくなる。
『GET ROLLIN’』にはそんな回帰作用もあります。
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