MICHAEL ROMEO『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』

SYMPHONY Xのギタリスト、マイケル・ロメオ<G>が2022年3月23日に3rdソロ『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』をリリースしました。

最高級のプログレッシヴ・メタルですので、本記事でおすすめします。

ヴォーカルは今作から元ANIMAL DRIVEディノ・ジェルシック<Vo:現WHITESNAKEのKey>になっていて、以下が特徴として挙げられます。

  • SYMPHONY Xの直近の2作、2011年8th『ICONOCLAST』、2015年9th『UNDERWORLD』に近いサウンド
  • ディノの歌唱はANIMAL DRIVEの時に比べ、攻撃性が少し増している→ラッセル・アレン<Vo:SYMPHONY X>に似てる

ですので、SYMPHONY Xの『ICONOCLAST』『UNDERWORLD』が好きであれば、この『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』もイケます。

おすすめ曲をピックアップしながら、聴きどころを紹介していきます。

『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』の収録曲とおすすめ曲

以下の太字の9曲がおすすめです。

■MICHAEL ROMEO/WAR OF THE WORLDS//PT. 2 (2022年)

  1. Introduction, Pt. 2
  2. Divide & Conquer
  3. Destroyer
  4. Metamorphosis
  5. Mothership
  6. Just Before The Dawn
  7. Hybrids
  8. Hunted
  9. Maschinenmensch
  10. Parasite
  11. Brave New World (Outro)
  12. The Perfect Weapon
  13. Alien Death-Ray

メンバー

  • マイケル・ロメオ<G/B/Key>
  • ディノ・ジェルシック<Vo:元ANIMAL DRIVE, 現WHITESNAKEのKey>
  • ジョン・デザービオ<B:BLACK LABEL SOCIETY
  • ジョン・マカルーソ<Ds:ARK, TNT, YNGWIE MALMSTEEN etc.>

おすすめ曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. Introduction, Pt. 2 ~ 2. Divide & Conquer

ダークでスリリング、そして壮大なイントロ「Introduction, Pt. 2」から攻撃力のある「Divide & Conquer」に突入する形でスタートします。

SYMPHONY Xの2015年9th『UNDERWORLD』の1曲目「Overture」から2曲目「Nevermore」への流れに似てますね。

ですので、この「Divide & Conquer」は「Nevermore」系統。
重厚でテクニカルなマイケル・ロメロ<G>のギターが光るナンバーです。

ディノ・ジェルシック<Vo>のヴォーカルもラッセル・アレン<Vo:SYMPHONY X>に通じるものがあり、芯の太い声によるパワフルな歌唱を展開。
アグレッシヴかつメロディアスです。

サビ(00:54~)でのキャッチーなコーラス・ワークも見事ですね。
聴いていてドキドキします。

02:31からのマイケルのギター・ソロも必聴。
曲調にマッチしたエネルギッシュなプレイを聴かせてくれます。

04:16からSYMPHONY X「Iconoclast」(2011年8th『ICONOCLAST』収録)を思わせるシンフォニックな音像になるのもうれしい。

前作『MICHAEL ROMEO/WAR OF THE WORLDS//PT. 1』(2018年2nd)でも要所要所に壮大なアプローチを組み込んでいましたが、早くも2曲目から同様の攻めを仕掛けてきます。

3. Destroyer

グルーヴ感があふれるナンバー。

時折テクニカルなフレーズを組み込んだ重厚でドラマティックなサウンドが展開していき、ディノのヴォーカルもパワフルです。

01:06で聴かれるキャッチーなコーラス・ワークも素晴らしい。
これが何度か曲中で繰り返されます。

そして中盤からワクワク度が増していきます。

  • 02:16~ 爆発力のあるサウンドを交えながらのシンフォニックな演奏パート
  • 02:53~ マイケルのエキサイティングなソロ
  • 03:31~ 不穏な雰囲気の演奏+ディノのヴォーカル。最初はソフトな歌唱→徐々に力が込められていくスタイルがクール
  • 04:42~ キャッチーなコーラスへ
  • 05:12~ シンフォニックさを前面に出してエンディングへ

予測不可の要素が満載でドキドキの連続です。

4. Metamorphosis

スリリングなマイケルのギター・フレーズで始まります。

その後00:07からパワフルなドラムと弾力性のあるベースも入り、厚みのある演奏が展開していきます。

ディノの歌唱はガッツにあふれていながらもメロディアス。

要所要所に分厚いコーラスを絡めていくアプローチも秀逸です。

04:10からのマイケルのギター・ソロはインパクトのあるフレーズが満載。
04:42からちょっとミステリアスなサウンドが絡まってくる展開もいいですね。

歌も演奏も、攻撃性を前面に出しつつメロディックなアプローチも上手く組み込んでいます。

SYMPHONY X「Dehumanized」『ICONOCLAST』収録)を思わせる曲調です。

6. Just Before The Dawn

マイケルの哀愁フレーズが光るドラマティックなナンバー。

SYMPHONY X「Swan Song」『UNDERWORLD』収録)を思わせます。

「Swan Song」はバラードでしたが、この「Just Before the Dawn」はバラード調でありながらもメタル色をキープ。
パワー・バラードとテクニカル・メタルの中間に位置付けられる曲調です。

02:47からのマイケルのソロも泣けますね。

切なさを漂わせながらも力強さを維持したディノの歌唱も見事ですし、曲の間鳴り続けるピアノも美しいです。

7. Hybrids

ミドル・テンポで進行するヘヴィでドラマティックなナンバー。

「Destroyer」のように所々に爆発力のあるサウンドを組み込むアプローチが光っています。

アルバム収録曲の中では不穏な雰囲気が強め。
ディノのヴォーカルも低音域~中音域を中心に展開されていて、ひと味違ったパフォーマンスが楽しめます。

04:30でいったん静かになって、04:38から厚みのある演奏を再開する構成もうまい。

壮大さを増していく05:17からの展開がまた鳥肌必至。
劇的な演奏をバックにディノが高音域を含め素晴らしい歌唱を披露します。

最後の最後まで気が抜けません。

どんどん引き込まれていきます。

9. Maschinenmensch

9分の大作ナンバー。

鋭いリフが刻まれてテクニカルに展開していきます。

ディノのヴォーカルはアグレッシヴさが前面に出ていて、鋭角的な曲調とマッチしています。
パワフルに張り上げる箇所もあり、まさに熱唱です。

04:11からは演奏パート。
シンフォニックさが強調され、04:44からマイケルがエネルギッシュなソロを絡めてきます。
胸に響くアグレッシヴなフレーズです。

05:19でいったんスロー・ダウン。
06:10からの情のこもったマイケルのギター・フレーズが染みてきます。

そして07:27からテクニカルさを増していき、ディノの力強いヴォーカル再びといった流れ。

圧倒されます。

ディノのアグレッシヴな歌唱とマイケルの緩急をつけたギター・プレイが光る長尺曲です。

10. Parasite

躍動感のあるスリリングなイントロがまず素晴らしい。

ディノは「Maschinenmensch」でのアグレッシヴなスタイルを継承していて、声の太さが際立ちます。
01:25からのサビでは、雄々しい伸びのある歌唱が見事。

勇ましい歌メロと呼応した02:55からのマイケルのギター・プレイもすごいオーラです。

03:49から歌が再び入り、シンフォニックな音像を持ってきて締めくくる構成も最高。

大作曲「Maschinenmensch」の後に、さらにパンチ力のあるナンバーを畳みかける作風に拍手です。

11. Brave New World (Outro)

本編最後はインストゥルメンタル。

絶品の流れです。

  • シンフォニックに進んでいき01:38でいったん切ない感じに
  • 02:01~ ドラムが入る。徐々に胸が高鳴る
  • 02:20~ マイケルのギター。音が入ってきた瞬間KO

特にマイケルのギターは、エンディングに向けてテンションを上げていく奏法が圧巻。
エネルギーを全放出といった感じです。

そして余韻を残す感じで終える。

素晴らしいエンディングです。

総評

マイケル・ロメオ『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』を紹介しました。

傑作です。

2018年の2ndソロ『WAR OF THE WORLDS//PT. 1』同様、SYMPHONY Xの2011年8th『ICONOCLAST』、2015年9th『UNDERWORLD』の世界観を継承した近未来風プログレッシヴ・メタルです。

全編にわたってテクニカルかつスリリングなプレイを披露するマイケルのパフォーマンスは圧巻。
アグレッシヴさを維持しながらもインパクトのあるフレーズを放っていて、あなたの予想をいい意味で裏切り続けます。

ディノ・ジェルシック<Vo>のヴォーカルも、ラッセル・アレン<Vo:SYMPHONY X>を思わせ、パワフルな歌唱とメロディアスなスタイルをバランス良く展開。
見事です。

SYMPHONY Xの『ICONOCLAST』『UNDERWORLD』は強力でした。

2作のサウンドを継承した『WAR OF THE WORLDS//PT. 1』も傑作でした。

そして『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』も素晴らしい作品に仕上がりました。

SYMPHONY Xと同系統のサウンドですが、十分価値があります。

SYMPHONY Xのアルバムが『UNDERWORLD』以降リリースされていないことを考慮すれば、『WAR OF THE WORLDS//PT. 2』は『ICONOCLAST』『UNDERWORLD』の興奮も味わえるという点でも大きな意味を持つ作品です。

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