ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが全パートを務めるMAMMOTH WVHの2nd『MAMMOTH II』のレビューです。
2023年8月4日にリリースされました。
2021年1st『MAMMOTH WVH』もエキサイティングでしたが、今回もかっこいい。
骨太な演奏の中に魅力的な歌メロとフレーズをうまく散りばめています。
ウルフギャングが在籍していたTREMONTIに通じるパートを含む曲、ALTER BRIDGE系のハード・ロック、スローでヘヴィに攻めるナンバーなど、バラエティに富んだ楽曲群も大きな魅力。
後半には泣きの極上ナンバーも登場します。
以下の8曲がおすすめです。
1. Right?
- 00:00~ いきなりドコドコ
- 00:31~ グイッと上がるVoが印象的
- 01:02~ スローな曲調にVoも呼応。Voの後ろでトントンするバスドラが心地良い
- 01:29~ 金粉がまぶされるようなイメージ
- 02:32~ ヘヴィにドン!→ クールなドラム連打 → エネルギッシュなギター・ソロ
- 03:07~ バスドラの連打とヘヴィなリフが前面に
- 03:23~ 金粉にエフェクト処理+音量控えめのVo
- 04:09~ 03:07~が程良くヒートアップ
出だしがドキッとしますね。
シャープな曲調を予想させるスタートですが、その後はエンジンを温めるような曲調で進みます。
ウルフギャングの歌はじっくりと聴かせるスタイル。
一方、演奏面ではエキサイティングなギター・ソロやバスドラ連打などアグレッシヴさをしっかりと維持。
歌と演奏の対照的なアプローチが光るオープニング・ナンバーです。
2. Like A Pastime
- 00:00~ ブンブン唸る
- 00:06~ 曇り気味なドラム
- 00:13~ クリアな音になってフワフワ
- 00:26~ ソフトなVo
- 00:53~ ブンブン+バスドラ → 浮遊感のあるサビ。高音域の歌メロが心地良い
- 01:52~ ブンブン+適度に刺激的なドラム → サビ
- 02:26~ 伸びやかなVoが◎
- 02:59~ コンコンしたキュートなドラム+ジリジリとしたギター
- 03:05~ 00:00~00:13をアレンジ → サビ
- 03:25~ 歌がより情熱的に
最初のブンブンした音が印象的です。
この「ブンブン → サビ」の流れが3回あるのですが、それぞれ違うアプローチをとっているところに攻めのうまさを感じます。
あとは02:26~の歌ですね。
とっても素敵なメロディです。
3. Another Celebration At The End Of The World
- 00:00~ ノリの良いドラム+所々にギター
- 00:15~ ギターのエンジンが温まって…
- 00:24~ 出発進行
- 00:35~ ノリノリのVo+バックでは心地良いコンコン
- 01:15~ サビ。音域が上がって、魅力的な歌メロが展開
- 01:41~ ピリピリしたギター
- 02:46~ ドンとなり、シャープな音像
- 02:56~ 歌と演奏で迫ってきて…
- 03:06~ スラッシーに疾走
- 03:17~ 高音域のギター → 03:27からピロピロ弾きまくり
曲が進むにつれてアグレッシヴになっていきます。
03:06~はALTER BRIDGEのマーク・トレモンティのTREMONTIを想起(ウルフギャングは2015年2nd『CAUTERIZE』と2016年3rd『DUST』でベースとバッキング・ヴォーカルを担当)。
『CAUTERIZE』では「Radical Change」「Arm Yourself」、『DUST』では「Once Dead」の奏法に通じるものがあります。
4. Miles Above Me
- 00:00~ ドライなギター
- 00:15~ ドラムが入り軽快に
- 00:30~ ウルフギャング、ソフトに歌い始める…ALTER BRIDGE「Stay」(2022年7作目『PAWNS & KINGS』)の00:28~を想起
- 00:46~ ノーマルVoとエフェクトVoが交互に
- 01:01~ サビ。清涼感があってホッとするメロディ
- 02:04~ キラリとしてギター・ソロ。カラッとした雰囲気の中で魅力的なフレーズが舞う
- 02:31~ 空を見上げる系のすばらしい歌メロ
- 02:54~ 太陽に照らされた海面を連想
前の曲「Another Celebration At The End Of The World」ではTREMONTIを思わせるパートがありましたが、こちらはALTER BRIDGEに似た展開をみせます。
包容力のある歌メロがすばらしい。
1回のみの02:31~も貴重ですし、02:04~のギター・ソロも最高です。
5. Take A Bow
- 00:00~ 美しくキラキラ…VAN HALEN「Right Now」(1991年9作目『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』収録)の出だしのよう
- 00:25~ メロディアスな歌。ベースとバスドラが強調された演奏が胸に響く
- 01:29~ サビ。感情を少しずつ解放するかのような唱法がすばらしい。魅力的なコーラスも重なる
- 01:57~ 演奏が止まる → ブイブイ → 再開
- 03:05~ 01:57~をアレンジ。03:18からは高音域Vo
- 04:03~ エモーショナルなギター・ソロ → 04:54からエネルギッシュになる
- 05:21~ サビのバックでギターが高音域でキーン!
- 06:16~ 「De~vastat~~~ing」と伸びるVoが圧巻
約7分のナンバーです。
特に04:03~がいいですね。
約1分20秒の間、トーンが変わっていく構成にワクワクします。
最初の「Right Now」はやや強引ですが…
- ウルフギャングが生まれたのが1991年3月16日
- 『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』リリースが1991年6月17日
…という1991年つながりを考慮しながら聴いていくと類似点が見いだせて面白いです。
6. Optimist
- 00:00~ ベースがブイブイ+シャカシャカ
- 00:19~ 1語1語ゆっくりのVo
- 00:39~ メランコリックなコーラス
- 00:59~ 歌の音域が上がり、コーラスが少し明るくなる
- 01:42~ 歌がよりエネルギッシュに
- 02:24~ 切迫感が増す
- 02:35~ ミステリアスに → エキサイティングなドラム連打 → ヘヴィなリフを軸とした演奏パート
- 03:15~ キリキリして、警戒的な要素が強まる
- 03:41~ 沈みがちなVo
- 04:14~ 02:24のパート → ドラムがテンションを上げてエンディング
ダークなナンバーです。
派手なフレーズはなく、重みのあるサウンドで攻めるスタイル。
ズシンズシンと体内に響きます。
歌も曲調に呼応して進みますが、00:39~のコーラスがいいアクセント。
どんよりとしたオーラの中で段階的に適度な光をもたらしてくれます。
7. I’m Alright
- 00:00~ ハードなギター+ドラム
- 00:08~ ベースが入って骨太に
- 00:16~ エネルギッシュなVo+心地良いピアノ
- 00:33~ メロディックなギターとクールなコーラスが強調される
- 01:06~ サビ。絶品のメロディを伸びやかに歌う
- 01:40~ カウベルが快感
- 02:54~ ギター・ソロ。情のこもったフレーズにやられる
- 03:12~ ダイナミックさが増す。ここでもカウベルがいいスパイス
- 04:16~ 前向きな気持ちになれるダン、ダン、ダン、ダン
ズッシリとした演奏の中で極上メロディが舞います。
要所要所で強調されるピアノやカウベルもいいアクセントですね。
04:16~がまた素敵。
ウルフギャングの大きな手で背中をポンと4回叩かれてる感じがします。
9. Waiting
冒頭で述べた「泣きの極上ナンバー」。
最初から最後まで全てがハイライトです。
- 00:00~ 切ない
- 00:07~ ウルフギャングが渋い声で歌い始める。バックからはバスドラが優しくトントン
- 00:40~ 高音域の哀愁ギターが重なる
- 01:12~ 音域が上がってサビ。「夕日に照らされながら決意を新たに」的なすばらしいメロディ
- 02:43~ 背中を押してくれるような演奏 → 「Never say goodby~~~e」と伸ばす
歌も演奏もグッとくるパートが満載です。
すばらしい!
涙腺を刺激しながらも、ポジティヴさと優しさにあふれているのがいいですね。
聴き終えた後は「ありがとう、ウルフギャング!」となります。
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