ドイツのハード・ロック・バンド、KISSIN’ DYNAMITEが7作目『NOT THE END OF THE ROAD』を2022年1月19日にリリースしました。
力作ですので、本記事で紹介します。
ポイントとして下記が挙げられます。
- ハネス・ブラウン<Vo>の低音域~中音域での歌唱が絶品
- ノリの良いロックン・ロール、王道メロディアス・ハード・ロック、バラードがあり、それぞれクオリティが高い
- 元DELAINのシャルロット・ヴェッセルズ<Vo>がゲスト参加
- ハネス自身によるプロデュース
- マスタリングはヤコブ・ハンセン
必聴曲をピックアップしながら、聴きどころを紹介していきます。
『NOT THE END OF THE ROAD』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の10曲がおすすめです。
■KISSIN’ DYNAMITE/NOT THE END OF THE ROAD (2022年)
- Not The End Of The Road
- What Goes Up
- Only The Dead
- Good Life
- Yoko Ono
- Coming Home
- All For Halleluja
- No One Dies A Virgin
- Gone For Good
- Defeat It
- Voodoo Spell
- Scars
メンバー
- ハネス・ブラウン<Vo>
- ジム・ミューラー<G>
- アンデ・ブラウン<G>
- ステファン・ハイル<B>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Not The End Of The Road
王道のオープニングです。
ダイナミックでグルーヴ感あふれる曲調にハネス・ブラウン<Vo>の中音域を中心としたヴォーカルが乗ります。
ゴージャスなコーラスがまた興奮度を高めてくれて、このコーラスとハネスのヴォーカルの絡みが絶妙です。
2. What Goes Up
スローでありながらもガッツのあるナンバー。
低音域~中音域の間で表現力豊かな歌を披露するハネスが素晴らしいです。
サビのメロディには強烈なフックがあり、そしてそのサビに行くまで徐々に興奮度を高めてくれる歌メロの展開がまた秀逸です。
02:37からのエモーショナルなギター・ソロも胸に響きます。
3. Only The Dead
ゴージャスなサビのメロディからスタートする勢いのある曲。
後ろで鳴り響くメロディックなギターのフレーズも心地良いです。
そしてSKID ROWの1stのような男臭さが加味されたダイナミックなコーラスがクール。
やや哀愁が感じられる歌メロとこの男臭いコーラスのブレンドが絶妙です。
4. Good Life
00:07から字幕で出ますが、癌で闘病中の子供たちを支援する団体へのチャリティ・ソング。
下記ミュージシャンがゲスト参加。
ポジティヴなエネルギーに満ちあふれたメロディが展開されます。
- 元DELAINのシャルロット・ヴェッセルズ<Vo>
- ドイツのフォーク・メタル・バンド、SALTATIO MORTIS
- スウェーデンの女性シンガーソングライター、ゲルニカ・マンシーニ<Vo:THUNDERMOTHER>
曲のタイトルもいいですよね。
「さあ、がんばろう」「きっとやれる」
聴き終えた後はそんな前向きな気持ちに包まれます。
5. Yoko Ono
出だしの「Yoko Ono」のフレーズがインパクト抜群。
そして力強いドラムと共に曲がスタート。
ノリの良いダイナミズムに満ちた曲調で、キャッチーなサビがクール。
「She is Yoko Ono」と繰り返す箇所の歌メロは本当に魅力的で一度聴いたら頭から離れません。
そしてこの後にコーラスを絡めてくるアレンジも秀逸です。
6. Coming Home
「Good Life」での感動をそのまま受け継いだかのようなメロディアス・ハード・ロック。
哀愁を前面に出した歌メロを軸に展開しつつ、サビではゴージャスなコーラスを絶妙に絡めてきます。
ハネスは低音域から中音域での表現がうまいですが、この「Coming Home」では特にそれが光っています。
徐々に気分を高めるようなメロディの構成が秀逸です。
8. No One Dies A Virgin
エネルギッシュかつメロディアスなギターを軸に進むアップ・テンポのナンバー。
サビに向けて徐々にテンションを上げていくハネスのヴォーカルが最高です。
そしてそのサビでは絶品のコーラス・ワークが展開。
しかもこれが長時間続くのだからたまらない。
02:37からのエモーショナルなギター・ソロもスリリングで見事にハマっています。
9. Gone For Good
ハネスの歌唱が光るバラード。
渋さを前面に出した低音域での歌メロを軸に進行し、サビではやや壮大に展開していきます。
透明感を演出するキーボードと円熟味のあるハネスのヴォーカルが絶品。
勢いのある「No One Dies A Virgin」の後にこういった感動的な曲を配置する流れもいいですね。
10. Defeat It
エッジの効いたハード・ロック。
サビに行くまでのハネスのやや野太い声がいつもと違った感じでいいアクセントになっています。
そしてサビでは王道のダイナミックなメロディが展開されます。
ゴージャスなコーラスの被せ方も秀逸。
サビ前とサビ以降でのハネスの歌唱のちょっとしたギャップが面白い。
02:51からのギター・ソロもドキドキものです。
11. Voodoo Spell
やや混沌とした感じのSEを駆使したサウンドから始まり、メロディアスなギター主導でスタート。
ハネスの唱法は「Defeat It」と似ていて、やや野太い声での歌で進み、サビでは魅力的なメロディを伸びのある声で堂々と披露します。
歌とギターで交互に魅力的なメロディを放つアプローチが面白い。
02:44に冒頭のSEを再び導入するアプローチにもフックがあります。
12. Scars
ラストを飾るバラードですが、おすすめ曲の太字にはしていません。
03:05から劇的になり「お!」と思うのですが、盛り上がりかけたところで終わってしまいます。
ここはちょっと残念。
バラードに関しては、「Gone For Good」に軍配が上がります。
総評
KISSIN’ DYNAMITEの『NOT THE END OF THE ROAD』を紹介しました。
楽曲、サウンド共に高品質のアルバムです。
ハネス・ブラウン<Vo>は低音域~中音域の間で表現力豊かな歌唱を披露し、サビのメロディもキャッチーでインパクト抜群。
「Not The End Of The Road」や「Yoko Ono」などのダイナミックなハード・ロックはもちろん、「Good Life」や「Coming Home」のような和やかなメロディアス・ナンバー、「Gone For Good」のようなバラードなど、曲調に応じてムードを変えて魅力的な歌メロで魅了するアプローチに脱帽です。
心に響くようなフレーズを放つギターも見事。
リード・ヴォーカル、コーラス、演奏面それぞれにおいて強烈なフックがある作品です。
アルバム・タイトルもいいですね。
常に前を見るバンドのポジティヴな姿勢が『NOT THE END OF THE ROAD』の楽曲から感じられます。
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