元SONATA ARCTICA~現THE DARK ELEMENT/CAIN’S OFFERINGのヤニ・リマタイネン<G/Key>が1stソロ・アルバム『MY FATHER’S SON』を2022年5月6日にリリースしました。
ヤニの才能が発揮された力作ですので、本記事でおすすめします。
参加しているシンガーたちも豪華。
9曲目の「Haunted House」ではヤニ本人がリード・ヴォーカルを務めています。
『MY FATHER’S SON』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の8曲がおすすめですので、各曲の特徴を紹介していきます。
■JANI LIIMATAINEN/MY FATHER’S SON (2022年)
- Breathing Divinity(Vo:ビヨーン“スピード”ストリッド/SOILWORK, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA)
- All Dreams Are Born To Die(Vo:トニー・カッコ/SONATA ARCTICA)
- What Do You Want(Vo:レナン・ゾンタ/ELECTRIC MOB)
- Who Are We(Vo:ティモ・コティペルト/STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING)
- Side By Side(Vo:ペッカ・ヘイノ/BROTHER FIRETRIBE)
- The Music Box(Vo:レナン・ゾンタ/ELECTRIC MOB)
- Into The Fray(Vo:ティモ・コティペルト/STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING)
- I Could Stop Now(Vo:アネット・オルゾン/THE DARK ELEMENT)
- Haunted House(Vo:ヤニ・リマタイネン)
- My Father’s Son(Vo:アンティ・ライリオ/元CELESTY)
メンバー
- ヤニ・リマタイネン<G/Vo/Key/Programming>
- トニー・カッコ<Vo:SONATA ARCTICA>
- ビヨーン“スピード”ストリッド<Vo:SOILWORK, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA>
- ティモ・コティペルト<Vo:STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING>
- アネット・オルゾン<Vo:THE DARK ELEMENT>
- レナン・ゾンタ<Vo:ELECTRIC MOB>
- ペッカ・ヘイノ<Vo:BROTHER FIRETRIBE>
- アンティ・ライリオ<Vo:元CELESTY>
- ヨナス・クールベリ<B:ONE DESIRE>
- ロルフ・ピルヴ<Ds:STRATOVARIUS>
- イェンス・ヨハンソン<Key:STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING etc.>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Breathing Divinity
Vo:ビヨーン“スピード”ストリッド<SOILWORK, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA>
爆発力のある劇的かつメロディックなスタートを切るメロディック・ナンバー。
ビヨーン“スピード”ストリッド<Vo>は全編クリーン・ヴォイス。
グロウルはありません。
00:30でビヨーンの低めのクリーン・ヴォイスが入ってきますが、ここですでにKO。
これからのメロディ展開が楽しみで仕方なくなります。
本当にきれいな声です。
01:30からの伸びのある声、徐々に高揚感が増していく歌メロの展開は特に秀逸。
ビョーンの美声による魅力的なメロディが重厚でドラマティックなサウンドの中に見事に浸透しています。
03:45からのややミステリアスな展開とエフェクト処理されたビョーンのヴォーカルも面白い。
ヤニ・リマタイネン<G/Vo/Key/Programming>のアレンジ・センスが光ります。
最高のオープニングです。
2. All Dreams Are Born To Die
Vo:トニー・カッコ<SONATA ARCTICA>
トニー・カッコ<Vo>との共演です。
うれしいですね。
曲調は躍動感のある重厚なメロディック・メタル。
程良く疾走、途中でスロー・ダウンしたりと緩急のある展開をみせます。
ドラマティックで奥行きのある音像の中でトニーが哀愁ある声で絶品の歌唱を披露。
本当にいい声してますね。
歌が入った瞬間グッときます。
そして、徐々に感動の度合いが高まっていくメロディ展開。
見事です。
03:01からトニーの声にエコーがかかって、演奏パートに入るところもかっこいい。
そして03:20からはさらに劇的度が増して、03:38からトニーの美麗な歌メロ再び。
ここも染みます。
3. What Do You Want
Vo:レナン・ゾンタ<ELECTRIC MOB>
グルーヴィでリズミカルなナンバー。
- 00:00~ ヤニのメロディックなギター・フレーズ
- 00:25~ グルーヴ感を増す
- 00:30~ はじけるような音を出すヨナス・クールベリ<B:ONE DESIRE>のベース
この流れが最高です。
曲の本編に入ると、ややしゃがれ気味の声を持つレナン・ゾンタ<Vo>が高音を絡めながらエモーショナルな歌唱を披露。
00:59からのヤニの泣きのフレーズもいいスパイスになっています。
そして01:29からは透明感のあるコーラスが被さってきます。
ヨナスの個性的な声、ヤニの泣きのギター、清涼感のあるコーラスが見事に融合したメロディアス・ナンバーです。
ちょっとした土臭さも感じられる03:17からの演奏パートもひねりがあっていいですね。
4. Who Are We
Vo:ティモ・コティペルト<STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING>
ヤニが弾く切ないピアノとティモ・コティペルト<Vo>のムードのある歌唱で進行し、以降ドラマティックになっていく曲調ですが、歌メロ、演奏共にちょっとインパクトが弱い気がしました。
ティモが歌うナンバーでは7曲目の「Into The Fray」のほうがおすすめです。
5. Side By Side
Vo:ペッカ・ヘイノ<BROTHER FIRETRIBE>
最高のメロディアス・ハード・ロック。
80年代直系、ノスタルジックな雰囲気が最高です。
リード・ヴォーカルはBROTHER FIRETRIBEのペッカ・ヘイノ。
ペッカの哀愁ある声質による歌メロの展開が素晴らしいです。
01:05からのエフェクト処理をかけて、01:18からサビに突入していく構成にも引き込まれます。
サビは希望に満ちたような歌メロで、ガッツポーズをしながら聴きたくなります。
あとは02:49からですね。
なんとサックスが入ってきます。
渋い!
サックスの後(03:15~)も躍動感のあるスリリングな演奏が展開されます。
04:07からの歌メロの畳みかけもすごい。
そして再びサックスが入ってきて、郷愁感を刺激します。
「重厚感が増したFIREHOUSE、DANGER DANGER。そこにまさかのサックス」といった感じです。
6. The Music Box
Vo:レナン・ゾンタ<ELECTRIC MOB>
メルヘンチックに始まり、その後美しいピアノが入ってきます。
そしてレナンが切ない歌唱を披露。
かすれた声がまがいい雰囲気を醸し出します。
以降はレナンの独特の歌唱を軸に進んでいき、02:25からサビに。
このサビが絶品です。
演奏も劇的になり哀愁度が増します。
以降も絶品。
予想外の感動が待ち受けています。
- 03:07~ ヤニの泣きのギター
- 03:25~ 個性的なレナンの歌。バックでは躍動感のあるキーボード
- 04:07~ レナンの伸びのある歌
- 04:47~ さらに高音に。バックでは耽美的なヤニのキーボード
劇的です。
7. Into The Fray
Vo:ティモ・コティペルト<STRATOVARIUS, CAIN’S OFFERING>
STRATOVARIUSとCAIN’S OFFERINGが好きでれば大満足間違いなし。
やや透明感のある劇的サウンドで、そこにティモの伸びのある歌が響き渡ります。
清涼感のある声による美しいメロディ。
特に01:43からの展開は絶品です。
03:26からは重厚なギターとスリリングなキーボードのフレーズが登場。
聴いていてドキドキです。
04:00から爆発力のあるサウンドを絡めて、04:11から静かになる構成(ピアノが美しい)も見事です。
押しと引きが素晴らしい。
8. I Could Stop Now
Vo:アネット・オルゾン<THE DARK ELEMENT>
ブルージーで静かな演奏をバックにアネット・オルゾン<Vo:THE DARK ELEMENT>がエモーショナルな歌を披露。
要所要所で顔を出すヤニのピアノがきらりと光っていますが、ほとんどこの展開で進んでいきます。
エレクトリックな演奏になるのは02:44からで、ここはアネットの歌はなく、演奏のみ。
再び静かになってアネットの歌で終えます。
ですので、アネットの歌は静かなパートのみ。
彼女のソフトな歌唱が中心です。
9. Haunted House
Vo:ヤニ・リマタイネン
ヤニがリード・ヴォーカルをとる曲。
いい声です!
切ないピアノがドラマティックな音像の中で鳴り響く中、低めの渋い声で素晴らしい歌を披露します。
02:53からドラムが入って、盛り上がるのかと思ったら、いったんまた静かになり、03:45から劇的な演奏へ。
ここでは今までよりトーンを上げて、歌い上げます。
伸びののある歌唱が絶品です。
これだけでも見事ですが、04:19からはさらに高い音域に。
圧巻です。
10. My Father’s Son
Vo:アンティ・ライリオ<元CELESTY>
ラストは11分の大作。
劇的なドラマティック・メタルです。
スリリングなキーボードからスタートし、躍動感のある演奏が展開されます。
アンティ・ライリオ<Vo:元CELESTY>の哀愁ある声質から醸成される透明感のある歌メロが絶品です。
03:15からややアグレッシヴになるところもかっこいいですね。
エネルギッシュなヴォーカルと厚みのあるドラマティックなサウンドが見事に呼応しています。
以降の展開も濃いです。
- 04:21~ ピアノと哀愁ギター
- 05:13~ アコースティック・ギターを絡める
- 05:38~ エモーショナルなギター・ソロ
- 06:04~ エネルギッシュな演奏とアンティの熱唱
- 06:53~ スリリングなキーボード
- 07:06~ スローでドマティックに
- 07:57~ アンディのソフトな歌唱
- 09:36~ アンディの歌は高音域も絡める(絶品)
10:35から壮大になり、再び静かになって曲は終わります。
美しいです。
総評
参加シンガーが豪華。
そしてそのシンガーたちの魅力を生かしたヤニのソング・ライティング/アレンジが見事です。
特にBROTHER FIRETRIBEのペッカ・ヘイノ<Vo>が歌った「Side By Side」でのサックスにはやられます。
あとはELECTRIC MOBのレナン・ゾンタ<Vo>ですね。
2曲参加していますが、両方で個性的かつ素晴らしい歌唱を繰り広げていて、予想外の活躍。
「Haunted House」ではヤニの歌のうまさに驚かされます。
『MY FATHER’S SON』は想定外の感動とうれしさがたくさん詰まった力作です。
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