プロデューサー/エンジニアとしても活躍するピーター・テクレン<Vo/G/Key>率いるスウェーデンのデス・メタル・バンド、HYPOCRISYが13作目『WORSHIP』を2021年11月26日にリリースしました。
「アグレッシヴ」「ブルータル」「ドラマティック」「メロディック」
こんな言葉が当てはまる傑作ですので、この記事でおすすめします。
下記がポイントとして挙げられます。
- 『END OF DISCLOSURE』以来8年ぶりのオリジナル・アルバム
- ピーター・テクレン<Vo/G/Key>は、ブルータルなグロウルや哀愁に満ちたシャウトなど、異なるスタイルのヴォーカルで魅了
- ギターは、琴線に触れるメロディックなフレーズを連発
- スローな曲にキラー・チューンが多い
- ピーター本人によるプロデュース
おすすめ曲をピックアップしながら、聴きどころを紹介していきます。
『WORSHIP』の収録曲とおすすめ曲
以下の太字の7曲がおすすめです。
■HYPOCRISY/WORSHIP (2021年)
- Worship
- Chemical Whore
- Greedy Bastards
- Dead World
- We’re The Walking Dead
- Brotherhood Of The Serpent
- Children Of The Gray
- Another Day
- They Will Arrive
- Bug In The Net
- Gods Of The Underground
メンバー
- ピーター・テクレン<Vo/G/Key>
- ミカエル・ヘッドルンド<B>
- ホルグ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Worship
アコースティックのイントロからエレクトリックに移行。
ピーター・テクレン<Vo/G/Key>のヒステリックなシャウトから疾走します。
鋭いリフを刻みながら突進する大迫力のデスラッシュ・ナンバー。
ピーターのヴォーカルは、ブルータルな低音デス・ヴォイスを軸に進行し、時折ヒステリックにシャウトしたりと、アクセントのあるパフォーマンスをみせます。
所々にメロディックなギター・フレーズも導入。
このメロディがまた最高です。
2. Chemical Whore
イントロでグッときます。
スローでヘヴィ、ダークにドラマティックに進行していくなナンバー。
今回の『WORSHIP』はスローでかっこいい曲が多いのが特徴ですが、この曲はその筆頭格。
不穏なサウンドの中でシャープなリフとメロディックなフレーズを放つギターが絶品です。
芯の太いピータ―のグロウルもかっこいい。
ピーターのグロウルと、アグレッシヴかつメロディアスなギター・サウンドが見事な化学反応を起こしています。
疾走する「Worship」と、重く攻めてくるこの「Chemical Whore」。
この2曲でガツンとやられます。
5. We’re The Walking Dead
「Chemical Whore」と同系統の曲。
「Chemical Whore」よりもさらにスローです。
重いリフをゆっくりと刻みながら、ピーターの低音グロウルで攻めてきます。
そして、その間ずっと鳴り響くキーボードもいいスパイス。
ミステリアスな暗黒世界を描いています。
メロディックなギター・フレーズも顔を出し、エキサイトさせる要素が満載です。
03:40でみせる悲哀に満ちたスクリームがまた絶品。
質の異なるシャウトで魅了しつつ、演奏面ではメロディックなフレーズを放ち続けるアプローチが素晴らしいです。
7. Children Of The Gray
こちらもスローで魅力的な曲。
ミステリアスなイントロでスタートします。
ピーターのヴォーカルは、テンションが高めのスクリームと低音グロウルをバランス良く織り交ぜながら進行。
勇壮なアプローチが強めに出ています。
03:20からのギターが絶品。
ギターは終始、ヴォーカルの後ろでも印象的なフレーズを奏でていますが、ここのフレーズは特に刺さります。
8. Another Day
ここで加速します。
出だしのドラムがかっこいいです。
ここは「Another Day」の心臓部となるエキサイティングなパート。
そして、鋭いリフとピーターのグロウルを軸に展開していきます。
随所に、冒頭のかっこいいドラムのパートを挟むアレンジが素晴らしいです。
弾力性のある図太いベース・サウンドも手数の多いドラムと抜群のコンビネーションをみせています。
9. They Will Arrive
ピーターのグロウルとメロディックなギターの絡みもHYPOCRISYの魅力の1つですが、この曲ではそれが際立っています。
ブルータルなグロウルとメロディアスなギター・フレーズのマジックを体験できます。
「Another Day」の勢いを軸にしつつも、スローダウンしたりとアクセントをつけながら進行。
時折、悲痛に満ちたスクリームをみせるあたりもピーターの表現力の高さを感じさせます。
11. Gods Of The Underground
ラストは、ツーバスの連打が心地良いアグレッシヴ・ナンバー。
リフはシャープ。
ピーターは、ブルータルなグロウルと哀愁スクリームを織り交ぜた様々なスタイルで攻めてきます。
ピーターのスクリームの後にメロディックなフレーズを組み込んでいるのですが、このフレーズが最高です。
そして、この絶品フレーズと共に、さらにスクリームを畳みかけてくるのですから「参りました」状態。
アグレッシヴにメロディックに迫ってくる絶品ナンバーです。
総評
HYPOCRISYの『WORSHIP』を紹介しました。
スローな曲が多めですが、そのスローなナンバーのクオリティが高いのが大きなポイントです。
ピーター・テクレン<Vo/G/Key>のグロウルも、ブルータル度を高めたり、哀愁度を前面に出したりと、様々なスタイルを取り入れていて、表現力の高さが伺えます。
ダークでドラマティックな世界を描くキーボードも、メロディックなフレーズで魅了し続けるギター・プレイも見事です。
ブルータルでメロディアス。
両極端な要素の見事な化学反応を味わえる傑作です。
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