HIBRIA『ME7AMORPHOSIS』

ブラジルのパワー・メタル・バンド、HIBRIAの7作目『ME7AMORPHOSIS』が2022年2月23日にリリースされました。

2017年にオリジナル・メンバーのアベル・カマルゴ<G>以外のメンバーが脱退。

新シンガーのヴィクター・エメカ<Vo>を含む新生HIBRIA第1弾となるアルバムです。

力作ですので、本記事で紹介します。

特徴としては以下が挙げられます。

  • 新ヴォーカリストのヴィクター・エメカ<Vo>は、中音域は前任シンガーのユーリ・サンソン<Vo>、高音域はアンドレ・マトス<Vo:元VIPER~ANGRA~SHAMAN>を想起
  • 重厚なサウンド
  • 演奏はテクニカル。ギター、ベース、ドラムがスリリングなフレーズを放つ
  • 9曲目の「Tribal Mark」には、元メンバーのユーリ、ディエゴ・カスペル<G>、レナート・オソリオ<G>が参加

『ME7AMORPHOSIS』の収録曲とおすすめ曲

おすすめはアルバム本編全曲(太字部分)ですので、各曲の特徴を紹介していきます。

■HIBRIA/ME7AMORPHOSIS (2022年)

  1. War Cry
  2. Shine
  3. Meaning Of Life
  4. Fearless Will
  5. I Am So Lonely
  6. Raging Machine
  7. Skyline Of The Soul
  8. The Racer
  9. Tribal Mark
  10. A Storm To Heal
  11. Meaning Of Life (Acoustic Version)

メンバー

  • ヴィクター・エメカ<Vo>
  • アベル・カマルゴ<G>
  • ブルーノ・ゴジーノ<G>
  • ティアゴ・バウムガーテン<B>
  • オタヴィオ・キロガ<Ds>

おすすめ曲のレビュー

レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。

1. War Cry

静かなイントロに重厚なメタル・サウンドが被さり、ガッツあるテンポで畳みかけるオープニング・ナンバー。

00:41で力強いかけ声→ヴィクター・エメカ<Vo>のヴォーカルが入り曲本編に突入。
ここでもう「お!イケる」とガッツポーズです。

ヴィクターの歌は初代シンガーのユーリ・サンソン<Vo>っぽい感じで中音域を軸に進行。
01:15でオタヴィオ・キロガ<Ds>のツー・バスの連打をバックに熱唱するところなんかかっこいいですね。
力強く「War Cry!」とキメるところもエキサイティングです。

これからのアルバムの展開に期待を抱かせるクオリティ。

好スタートの1曲目です。

2. Shine

ファンは歓喜間違いなしの疾走パワー・メタル。

00:16からのギター・フレーズも刺激的です。

ヴィクターのヴォーカルは高音を絡めて攻めてきます。
01:07からの伸びのあるパートから01:25のサビへの展開は堂々とした歌唱が見事。
説得力抜群です。

パワフルなヴィクターの歌のバックで弾力性のあるフレーズを放つティアゴ・バウムガーテン<B>のベースや、03:32からのギター・ソロもスリリング。

04:30から語りのSEが入り、キーボードが前面に出る構成もひねりがあっていいですね。

3. Meaning Of Life

感動的なバラードです。

アコースティック・ギター+ソフトなヴィクターのヴォーカルで始まり、01:05からドラムが入り徐々にドラマティックになります。
01:20からのサビは、伸びのあるヴィクターの歌唱が染みてきます。

03:11からは哀愁あるギター・フレーズが登場し、以降のサビではヴィクターの絶品の歌にギターの泣きメロが呼応していくというヤバい展開。

引き込まれます。

4. Fearless Will

「Fearless Will」は、ヴィクターが歌うHIBRIAの初音源として2019年にデジタル・リリースされた曲。

2019年リリース時は、ティアゴはまだバンドに加入していませんでした。

2019年の音源と聴き比べると、今回のほうがサウンドに厚みがありますし、迫力があります。

SEからオクタヴィオのスリリングなドラムが入り、ティアゴの弾力性のあるベースが絡んで進行していくHMナンバー。

ヴィクターのヴォーカルは中音域~やや高めの音域中心。
歌が入る所はドコドコしたツー・バスで心地良く進行し、それ以外のパートでは変則的な演奏で魅了します。

03:39からのベースなんかは聴いていて心地良いですし、05:34からのSEを織り交ぜながらの畳みかけも見事です

この「Fearless Will」は、ティアゴのベースとオクタヴィオのドラムが特にかっこいいです。

5. I Am So Lonely

厚みのあるエモーショナルなギターと骨太のベースを軸に展開していくグルーヴ感あふれるナンバー。

2011年3rd『BLIND RIDE』収録の「Blinded By Faith」を思わせるクールな曲調で、キャッチーで力強いサビがかっこいいです。

ガッツあるサビのところでさりげなく顔を出すメロディックなギター・フレーズもいいスパイス。

中盤以降は…

  • 03:26~ 浮遊感のある音像
  • 04:08~ 徐々に勢いを増す
  • 04:21~ オクタヴィオのスリリングなドラム
  • 04:25~ サビに戻る
  • 05:19~ エキサイティングなドラム再び

…という最高の流れです。

6. Raging Machine

通信のSEからダイナミックなドラムが入り、メロディックなギター・フレーズを軸に展開する疾走メタル。

ヴィクターのヴォーカルは、高音域中心。
伸びがあって表現力豊かです。

速い、メロディック、高音ヴォーカルといったワクワク要素が満載。

02:51からの演奏パートにも引き込まれます。
鋭いリズム・パターンのドラムとエネルギッシュなギター・ソロがスリリングです。

7. Skyline Of The Soul

ヴィクターが歌うHIBRIAの第2弾音源として、2019年デジタル・リリースの「Fearless Will」以来にリリースされた曲。

2022年1月14日に先行公開され、多くのファンから関心が集まりました。

弾力性のあるベースにメロディックなギターが乗るメロディック・メタル。

ヴィクターの伸びのある高音ヴォーカルが見事で、サビでは特にその威力が発揮されます。
そのままHELLOWEEN「Twilight Of The Gods」(1987年作『KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART I』収録)につながっていきそうなメロディ展開(01:08~)が印象的です。

8. The Racer

表題通りスピード感あふれるナンバー。

00:05からのテクニカルなギター・フレーズ、00:28からヴィクターの高音ヴォーカルというエキサイティングな構成。

01:02からのメロディアスなサビも快感で、要所要所にバスドラの連打やオカズを絡めるオクタヴィオのドラムもいいアクセントになっています。

以降は…

  • 02:49~ ヴィクターの高音の伸びからエネルギッシュなギター・ソロに移行
  • 03:23~ いったんヴィクターの歌
  • 03:45~ エモーショナルで弾きまくりのギター・ソロ
  • 04:08~ ギター・ソロにアグレッシヴなドラムも絡み、よりエキサイティングに

…といった感じで魅了し続けます。

05:11からのギターとドラムの畳みかけも圧巻。

ヴィクターの高音と演奏が刺激的な曲です。

9. Tribal Mark

元メンバーのユーリ、ディエゴ・カスペル<G>、レナート・オソリオ<G>が参加。

強力な歌唱力を誇るユーリですが、ヴィクターの歌唱も素晴らしいので、「エキサイティングな共演」となっています。

曲そのものは鋭角的に刻まれるリズム(ここでもティアゴのベースとオクタヴィオのドラムが素晴らしい!)にメロディックなギターが絡む心地良いナンバー。

以下が聴きどころです。

  • 01:08のようなブルータルなヴォーカルがいいアクセント
  • 01:36~ メロディックなサビ。ユーリとヴィクターの高音による共演
  • 01:57~、03:19~ 心に染みるなギター・フレーズ
  • 03:53~ テンションが上がるドラムの連打
  • 04:37~ エモーショナルなギター・ソロ
  • 05:20~ ユーリとヴィクターによるサビ
  • 05:54~ 再度ドラムの連打。圧巻

歌と演奏、両方においてすさまじいナンバーです。

そして本編ラストの「A Storm To Heal」につながっていきます…。

10. A Storm To Heal

アルバム本編最後は8分の大作。

以下のように多くの展開を持つナンバーです。

  • 00:00~ 弾けるベースと力強いドラム、スロー・テンポから徐々に加速
  • 00:39~ 静かなパートへ。ヴィクターの低音の歌唱が絶品
  • 01:20~ メロディックなギター・フレーズを前面に出したグルーヴィな演奏
  • 01:59~ 演奏、歌共にアグレッシヴに
  • 02:27~ メロディックなサビ

04:23からのベースがまたドキドキ・フレーズ。
ささやくようなヴォーカルをいったんはさみ、ギター・ソロに流れていく04:37からの構成も素晴らしいです。
泣きの要素が強まる05:25からの旋律にもノックアウト。

07:11からエンディングに向けてのドラムの力強いリズム・パターンもスリリングです。

総評

HIBRIA『ME7AMORPHOSIS』の聴きどころを紹介しました。

強力作です。

ヴィクター・エメカ<Vo>は低音域~高音域の幅広いトーンを見事に歌いこなします。
高音は伸びがありますし、中音域でもクールな歌を聴かせてくれます。

中音域の唱法が光るという点でも、この『ME7AMORPHOSIS』は2011年3rd『BLIND RIDE』に通じるものがあります。
『BLIND RIDE』ではユーリ・サンソン<Vo>の中音域のヴォーカルが光ってましたからね。

歌だけでなく演奏もハイ・レベル。
ギター・プレイも熱いですし、弾力性のあるフレーズを放つティアゴ・バウムガーテン<B>のベース、爆発力のあるオタヴィオ・キロガ<Ds>のドラムも見事です。

骨太ナンバー「I Am So Lonely」や感動的なバラード「Meaning Of Life」を配置してるのもうれしい。

表現力の高いヴィクターのヴォーカル、テクニカルな演奏、バラエティに富んだ楽曲群。

『ME7AMORPHOSIS』は飛躍した『BLIND RIDE』といった感じの傑作です。

歌と演奏で魅了してくれます。

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