デンマークのH.E.R.O.が3rdアルバム『ALTERNATE REALITIES』を2022年3月16日にリリースしました。
傑作ですので、本記事でおすすめします。
H.E.R.O.の音楽性は以下のような特徴があります。
- クリストファー・スティアネ<Vo/G>は哀愁を帯びた美声
- モダンで重厚なサウンド
- キャッチーな歌メロ
- 曲は3分~4分台とコンパクトでありながら、静と動の対照描写が秀逸
2019年1st『HUMANIC』、2020年2nd『BAD BLOOD』とリリースを重ねるたびにハードさが増していますが、『ALTERNATE REALITIES』はさらにヘヴィ。
ダイナミックなメロディアス・サウンドにメタリックな要素が加味された力作です。
DEGREEDをメタル寄りにした感じでもあります。
全曲おすすめですので、各曲の特徴を紹介していきます。
『ALTERNATE REALITIES』の収録曲
■H.E.R.O./ALTERNATE REALITIES (2022年)
- Gravity
- Lead The Blind
- Never Be The Same
- Oxygen
- Made To Be Broken
- Personal
- Cynical
- Monster
- Bring Me Back To Life
- Heavy Heart
メンバー
- クリストファー・スティアネ<Vo/G>
- ソレン・イテノフ<G>
- ヨハン・ウォーラート<B>
- アナス・“アンディ”・キルケゴール<Ds>
収録曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Gravity
劇的なイントロ→00:14から重厚でメタリックな演奏に突入する始まり方がかっこいい。
00:39からはクリストファー・スティアネ<Vo/G>の美声を軸としたメロディック・ロックが展開されます。
メロディアス・ハード・ロックを基調としながらも所々にアグレッシヴなリフを組み込ませたダイナミックな曲調がクール。
02:53からのクリストファーのハイトーン+鋭角的なリフもいいアクセントになっています。
要所要所で刻まれる鋭いリフにパンチがあるオープニング・ナンバーです。
2. Lead The Blind
クリストファーのメロディアスなヴォーカルが光るナンバー。
静と動の展開を持つダイナミックかつグルーヴ感満点のサウンドで極上の歌メロが展開されます。
以下の流れが特に素晴らしいです。
- 01:39~ 静かな演奏、クリストファーのソフトな歌唱
- 02:08~ 徐々にエモーショナルになっていくクリストファーのヴォーカルとバックのメロディアスな演奏が見事にマッチ
- 02:30~ エフェクト処理がかかったヴォーカル
- 02:40~ ドラマティックで近未来風の演奏
3. Never Be The Same
「Lead The Blind」同様、静と動の対照描写が見事なナンバー。
緩急をつけながら浮遊感を漂わせるクリストファーの歌唱が光ります。
02:19からの高揚感が増す演奏にも胸アツ。
アナス“アンディ”キルケゴール<Ds>のドラムもスリリングでいいですね。
モダンで骨太な演奏に神秘的な要素が加味された極上メロディアス・ナンバーです。
4. Oxygen
ドラマティックで厚みのあるナンバーです。
「Never Be The Same」でのクリストファーのミステリアスな歌唱がここでも展開。
所々で放つハイトーンも強烈でキマッてます。
そしてリズム隊。
アンディの力強いドラムとヨハン・ウォーラート<B>の弾力性のあるベースがこの「Oxygen」にダイナミックさを持たせています。
02:22からの演奏パートもスリリング。
骨太なリズム隊にメロディックなギターが被さっていく展開が最高です。
5. Made To Be Broken
クリストファーの表現力豊かなヴォーカルが心地良く響き渡るキャッチーなハード・ロック。
近未来風のアプローチが加味されたグルーヴィーな曲調とゴージャスなコーラスが最高です。
02:19でいったん静かになって徐々にハードさを取り戻すあたりにもアレンジのセンスが感じられます。
6. Personal
この曲もリズム隊がかっこいいですね。
アンディのパワフルなドラムとヨハンのガキガキのベース音がクール。
ガッツあるサウンドにクリストファーの表現力豊かなヴォーカルが乗ります。
グルーヴ感のある曲展開の中にも静のパートを組み込んでいて、アクセントのつけ方がとてもうまいです。
以下の構成も練られていて最高です。
- 02:11~ アンディのインパクトのあるドラム
- 02:21~ エフェクト処理がされたクリストファーのヴォーカル
- 02:31~ ドラマティックな演奏パートに突入
7. Cynical
厚みのあるハードなギターを軸に進行するメロディアス・ナンバー。
クリストファーは「Never Be The Same」「Oxygen」でのフワフワした感じの唱法を展開しています。
ダイナミックな演奏とポップ感覚にあふれた歌メロが見事に融合していて心地良い。
02:29でヘヴィさを増す所や、02:59からクリストファーのヴォーカルでアクセントをつけて劇的演奏パートに流れていく構成にもドキドキです。
子供の声が響き渡るようなミステリアスな終わり方もいいですね。
8. Monster
AD INFINITUMのメリッサ・ボニー<Vo>が参加。
静と動の展開を持つドラマティックなナンバー。
メリッサの美しく力強い歌唱も楽曲に見事にフィットしていて、クリストファーの哀愁ある声質とも相性抜群です。
クリストファーとメリッサが交互に歌う展開で、メリッサの出番が多いのもうれしい。
切なく美しい2人の歌唱がダイナミックな劇的音像の中に響き渡ります。
9. Bring Me Back To Life
リズミカルな曲調をベースにしながらもポップ感覚を前面に出したナンバー。
クリストファーのソフトな歌唱を軸に展開していく歌メロが心地良いです。
01:50からは演奏に少し神秘的な要素が加わります。
大きな展開の変化ではないのですが、いいスパイスです。
02:32からのアンディのドラムを節目にハードさが前面に出ていく演奏(ヨハンのベースも存在感があって◎)もスリリングです。
10. Heavy Heart
本編ラストは静かで切ない雰囲気の曲。
ソフトな曲の中でも程良くアクセントをつけて歌うクリストファーが素晴らしい。
美しいメロディが展開されます。
「Gravity」から「Bring Me Back To Life」までダイナミズムに満ちた構成で、この「Heavy Heart」は優しい感じ…なのですが、音がピタッと止まるエンディングにまたハッとさせられます。
総評
H.E.R.O.の『ALTERNATE REALITIES』を紹介しました。
各曲がコンパクトな長さでありながら静と動のコントラストを持たせる濃密な構成に脱帽です。
クリストファー・スティアネ<Vo/G>のアクセントをつけた歌唱も見事ですし、演奏パートも充実しています。
ヨハン・ウォーラート<B>の骨太なベースとアナス“アンディ”キルケゴール<Ds>のパワフルなドラムもダイナミックなサウンドの土台を築き上げていて存在感抜群。
スリリングなメロディアス・チューンが「Gravity」から「Bring Me Back To Life」まで続き、切ない「Heavy Heart」で締めくくる構成も見事です。
そして「Heavy Heart」は、優しい気持ちになれると同時に目が覚めるようなエンディング。
意表をついた終わり方にセンスを感じます。
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