トビアス・フォージ(パパ・エメリトゥス4世)<Vo>率いるスウェーデンの覆面ハード・ロック・バンド、GHOSTが5thフル『IMPERA』を2022年3月11日にリリースしました。
もうビックリの内容です。
2018年4th『PREQUELLE』は大傑作でしたが、今回の『IMPERA』もすごい。
「これがGHOST?」と「これぞGHOST!」が満載で、驚きとうれしさがいっぱいです。
全曲必聴ですので、各曲の特徴を紹介していきます。
『IMPERA』の収録曲
■GHOST/IMPERA (2022年)
- Imperium
- Kaisarion
- Spillways
- Call Me Little Sunshine
- Hunter’s Moon
- Watcher In The Sky
- Dominion
- Twenties
- Darkness At The Heart Of My Love
- Griftwood
- Bite Of Passage
- Respite On The Spitalfields
※GHOSTは、トビアス・フォージ(パパ・エメリトゥス4世)<Vo>とNameless Ghoulsという名の演奏隊で構成されます。
収録曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Imperium
泣きのメロディを軸としたイントロ。
高揚感が増していく曲調で「GHOSTがこういったオープニングを仕掛けてくるのは意外」と思っていたら01:24から不穏な感じに…。
さあ、どんな世界が繰り広げられるか。
2. Kaisarion
出だしで「え?これがGHOST?」となります。
メロディックなギター(これが絶品!JUDAS PRIESTっぽい)が鳴りハイトーン・ヴォーカル被ってスタートするアップ・テンポのナンバー。
「Imperium」の終盤が不気味な感じだったので、その雰囲気をそのまま引き継ぐのかと思いきや、一転してポジティヴさ全開。
ビックリです。
別のバンドみたい。
でも、かっこいい。
トビアス・フォージ<Vo>のヴォーカルもノリの良い曲調と見事にマッチしています。
03:01からテンポを変える演奏パートもひねりが効いていてナイス。
GHOSTがこんな曲を演るなんて誰も予想できなかったはず。
しかもクールにキメています。
お見事!
3. Spillways
これも「え?これがGHOST?」です。
ABBAの「Money, Money, Money」(1976年4th『ARRIVAL』収録)やBON JOVIの「Runaway」(1984年1st『BON JOVI』収録)を思わせるイントロに、またまたビックリ。
ノスタルジックな雰囲気を漂わせながら伸びのある歌を披露するトビアスのパフォーマンスが最高で、清涼感のあるキャッチーな歌メロが心地良いです。
01:05でのやや怪奇的な唱法がまたいいスパイスになっていて、単なる懐かしのサウンドになっていないのはさすが。
メロディックなギターもトビアスの歌と化学反応を起こしていてナイス。
02:14からのソロや02:55からのプレイが特に光っています。
4. Call Me Little Sunshine
ミステリアスなイントロから爆発力のある演奏に突入する流れ(00:13~)が最高にかっこいい。
以降はスローでヘヴィに展開していきます。
邪悪でありながらも厳かな雰囲気も漂わせるトビアスのヴォーカルが見事にマッチした音像。
パワフルに叩きつけるドラムがまたインパクト抜群です。
02:36から徐々に前面に出てくる神聖なキーボードも独特。
こういったアプローチはGHOSTならではですね。
ハマり度の高い構成を持つナンバーです。
5. Hunter’s Moon
「Call Me Little Sunshine」同様にドラムがインパクトあります。
00:31~なんかはリズミカル&ズッシリで心地良いですね。
01:02の「It’s a hunter’s moon」の歌、バックでドラム、印象的なフレーズが流れてくる構成がツボです。
02:02からの演奏パートもミステリアスで独特。
ここでもドラムの音がズシンズシンと心地良く響いてきます。
ひねりのあるリズム・パターンがまた刺激的。
6. Watcher In The Sky
厚みのあるヘヴィなリフを軸にリズミカルに展開していくナンバー。
2018年4th『PREQUELLE』収録の「Dance Macabre」を想起させます。
ポップ感覚に満ちたトビアスのヴォーカルとバックで刻まれる鋭いリフが見事なマジックを起こしています。
03:15から聴かれるコーラスも力強いですし、03:32からのギター・ソロもエネルギッシュでいいですね。
曲はフェードアウト。
ここまでが前半パートとしてとらえることができます。
7. Dominion
不気味な雰囲気を漂わせるシンフォニックなインスト。
長さ1分20秒。
1980年公開の映画『シャイニング』(監督:スタンリー・キューブリック、主演:ジャック・ニコルソン)のオープニング・テーマみたいです。
序盤の「Kaisarion」「Spillways」の変化球攻撃が効いているせいか、不穏な曲なのになぜかホッとできちゃうのが不思議。
そして次の「Twenties」へ…。
8. Twenties
変な曲です(もちろんいい意味で)。
シンフォニックかつヘヴィなナンバーなのですが、意表をついたリズムで進行していきます。
「ん?ん?何?何?」みたいな感じで展開する音像がなんか心地いいです。
ミステリアスでちょっとメルヘンチックなトビアスの歌メロにも魔力があります。
02:42からのエネルギッシュなギター・ソロにも引き込まれます。
これは面白い。
クセになります。
9. Darkness At The Heart Of My Love
美しい演奏とトビアスの切ない歌で始まります。
トビアスの哀愁ヴォーカル主体の静かなパートとバンド演奏のパートが交互に展開されるのですが、その静と動の細かい切り替えが秀逸なドラマティック・ナンバーです。
ギターにも注目です。
01:07から重なる泣きメロ、02:33からのフレーズなんかは本当に染みます。
特に02:33~は鳥肌モノ。
03:48からは劇的なコーラスが加わって、より厳かになっていきます。
圧巻。
10. Griftwood
DEF LEPPARDの「Promises」(1999年7th『EUPHORIA』収録)っぽいギター・フレーズでスタート。
「Spillways」と似たような系統で、清涼感に満ちた歌メロが心地良いミドル・テンポの曲。
「Spillways」は怪奇的アプローチを程良く加えていましたが、この「Griftwood」はポジティヴで神聖な雰囲気がより前面に出ています。
以下の流れも最高です。
- 02:45~ テンポが変わる
- 03:26~ 厳かなコーラスが加わる
- 03:42~ エモーショナルなギター・ソロ
11. Bite Of Passage ~ 12. Respite On The Spitalfields
ミステリアスな「Bite Of Passage」からつながる形でスローな「Respite On The Spitalfields」が始まります。
悲壮感のあるドラマティック・ナンバーで、01:21からの徐々に邪悪な感じになっていくトビアスの唱法に引き込まれます。
ブレイクを入れて01:44からのサビに入る構成にもフックがありますね。
以下も聴きどころです。
- 02:06~ 泣きのギター・ソロ
- 04:26~ 耽美的なキーボード
- 04:49~ 躍動感のあるキーボードとスリリングなドラム
- 05:13~ 神聖なコーラスと泣きのギター、絶品
深遠です。
曲は「Imperium」のメロディ展開がくり返されながらエンディングに向かいます。
前半ラストの「Watcher In The Sky」同様、フェードアウトで終わります。
総評
GHOSTの『IMPERA』を紹介しました。
全曲必聴です。
以下が特徴として挙げられます。
- 「Watcher In The Sky」までが前半、「Dominion」からが後半として分けることができる
- 「Kaisarion」「Spillways」にまずビックリ
- 「Call Me Little Sunshine」「Hunter’s Moon」「Watcher In The Sky」など、これまでの世界観を継承しているナンバーも上手く配置
- 変な「Twenties」もクセになる
これまでのGHOSTでは考えられなかった曲を序盤に配置する構成が効いてます。
様々なタイプの曲を独特の唱法で歌いこなすトビアス・フォージ<Vo>のパフォーマンスは絶品ですし、「Darkness At The Heart Of My Love」や「Respite On The Spitalfields」などで聴かれるように演奏パートも充実。
『IMPERA』は、GHOSTのサウンドの基盤をさらに広げた傑作です。
前半ラストの「Watcher In The Sky」と後半ラストの「Respite On The Spitalfields」がフェードアウトで終わるのも、バランスが考慮されていて興味深いです。
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