SERENITYのゲオルグ・ノイハウザー<Vo>とTEMPERANCEのマルコ・パストリーノ<G/Vo>を中心としたメロディック・メタル・バンド、FALLEN SANCTUARYのデビュー・アルバム『TERRANOVA』が2022年6月24日にリリースされました。
SERENITYの2008年2ndアルバムのタイトルが『FALLEN SANCTUARY』。
『TERRANOVA』も『FALLEN SANCTUARY』系統かと予想しがちですが、意外とそうではないです。
音楽的には…
- SERENITY+初期SONATA ARCTICA
- 曲によっては、TEMPERANCEのようなモダンな要素もあり
- SERENITYの2017年6作目『LIONHEART』や2020年7作目『THE LAST KNIGHT』のような勇ましいメロディも登場
…といった感じ。
『FALLEN SANCTUARY』とは異なる魅力が詰まった作品です。
『TERRANOVA』のおすすめ曲を挙げながら、各曲の魅力を紹介していきます。
『TERRANOVA』の収録曲とおすすめ曲
「Bound To Our Legacy」までが本編で「Wait For Me」以降はボーナス・トラックとなっています。
以下の太字の8曲がおすすめです。
■FALLEN SANCTUARY/TERRANOVA (2022年)
- Terranova
- Now And Forever
- Broken Dreams
- Rise Against The World
- To The Top
- Destiny
- I Can’t Stay
- Trail Of Destruction
- No Rebirth
- Bound To Our Legacy
- Wait For Me
- Now And Forever (Instrumental Version)
- Rise Against The World (Instrumental Version)
- To The Top (Instrumental Version)
メンバー
- ゲオルグ・ノイハウザー<Vo>
- マルコ・パストリーノ<G/Vo>
- ガブリエリ・ゴッズィ<B>
- アルフォンソ・モセリーノ<Ds>
おすすめ曲のレビュー
レビュー内に記載されている時間は、曲をフル再生した場合の表記です。
1. Terranova
勢いよく疾走するメロディック・パワー・メタル。
SONATA ARCTICAの「Weballergy」(2001年2nd『SILENCE』収録)ような曲調です。
エネルギッシュかつ堂々と歌うゲオルグ・ノイハウザー<Vo>の歌唱がいいですね。
00:51からのサビは安心感を与えるような歌メロが素敵です。
02:04からはマルコ・パストリーノ<G/Vo>のギター・ソロ。
進行していくにつれてつれてグッとくるメロディ展開です。
特に02:14からは見事。
そして02:24からキャッチーな歌メロが被さり、02:35からは速弾きのギター・ソロが移っていきます。
非常にスリリング。
03:36から伸びるゲオルグの歌唱も圧巻。
その後流れてくる切ないピアノとギターもすばらしいです。
2. Now And Forever
モダンな感じの曲。
TEMPERANCEっぽいです。
出だしのパワフルなドラムとヘヴィなギター・リフがかっこいいですね。
強烈なパンチをボディにもらったような感覚です。
ゲオルグのヴォーカルは中音域を中心に展開していきます。
これがまた素敵。
哀愁度が増していく01:10からのサビの歌メロも魅力的です。
美しいハーモニーも入ってきて、感動の度合いが強まっていきます。
マルコのギター・ソロは03:17から。
エネルギッシュに進んでいき、03:49から哀愁フレーズが前面に出るというこれまた泣ける構成。
メロディを強調させるアプローチが秀逸です。
4. Rise Against The World
勢いに満ちたメタリック・ナンバー。
そして00:21からのメロディックなギターが染みてきます。
パワフルでありながらも泣ける要素あり。
最高です。
ゲオルグのパフォーマンスも見事で、魅力的な歌メロを堂々と歌い上げます。
02:44からの演奏パートがまたかっこいい。
それまでとはムードが変わり、ミステリアスな雰囲気に移行。
ドラマティックなサウンドを背にマルコが魅力的なフレーズを奏で、03:07からは躍動感が増した展開になります。
この演奏パートは特にすばらしいですね。
キャッチーなコーラスが重なる04:24からの箇所もいいアレンジです。
5. To The Top
ややメロディアス・ハード寄りの曲。
最初の静かなイントロ→泣きのギター・フレーズが入ってくる00:27までの流れにKO。
そして00:27からのゲオルグの歌唱が素晴らしい。
胸に染みてきます。
01:07からのサビはキャッチーでいいメロディ。
01:22からコーラスが被さるアレンジも素敵です。
02:37でちょっと雰囲気が変わる演奏パートも短いですがインパクトがありますね。
03:40からの音程を変えたサビにもアレンジのうまさが伺えます。
6. Destiny
煌びやかな演奏でスタートを切ります。
メロディックでキラキラで快感。
そして00:31からゲオルグの歌が入るとややモダンなギター・リフが刻まれます。
ここはTEMPERANCEっぽいですね。
ゲオルグのヴォーカルはさすがの表現力。
00:47からの歌メロはグッときますし、01:22から「Destiny」と曲のタイトルをコールするところもパワフルでかっこいい。
さらにバックではキラキラ演奏。
メロディック・メタル・ファンにはうれしい要素が満載です。
02:47からはマルコのギター・ソロ。
特に03:19からのメロディが最高です。
03:36でいったん静かになり歌が入るところも素晴らしい。
そしてここからの歌メロがまた絶品なのです。
8. Trail Of Destruction
劇的で耽美的な演奏がすばらしいナンバー。
曲が始まると同時に引き込まれます。
曲はゲオルグの伸びのある歌声と共に進行。
美しく威厳も感じられる見事なパフォーマンスです。
そして00:50からのサビ。
徐々に胸が高まるメロディ展開が絶品です。
聴いていてゾクゾクしますね。
03:03からのマルコのギター・ソロも体内への浸透度が高く、魅力的なフレーズが満載。
そして絶品のサビに再び流れていきます。
9. No Rebirth
『TERRANOVA』収録曲の中で一番アグレッシヴなナンバー。
ゲオルグのパワフルな歌とマルコの鋭いリフが見事に呼応しながら進んでいきます。
00:59からのゲオルグの歌メロがいいですね。
「この後の展開がヤバそう」と期待感を持たせてくれます。
で、01:18からのサビ。
ガッツポーズ級です。
勇壮です。
SERENITYの2017年6作目『LIONHEART』や2020年7作目『THE LAST KNIGHT』で聴かれるようなメロディ展開ですね。
最高にクールです。
以降の展開もすばらしい。
- 02:38~ マルコのギター・ソロ。エネルギッシュ
- 02:57~ 演奏を止めて勇ましいサビのメロディのコーラスが前面に。美しくパワフル
- 03:17~ 演奏を再開し再びサビへ。胸アツ
エンディングに向かって突進力を上げる演奏(03:37~)も切れ味抜群です。
10. Bound To Our Legacy
本編最後。
最初の泣きのギター・フレーズにやられます。
即効性がありますね。
これが曲中何度か繰り返されます。
その後00:21から疾走。
オープニングの「Terranova」のようにスピード感があります。
ラストということもあり、哀愁度が強め。
勢いを維持しながらも「ああ、最後だ」と思わせるメロディ展開がさすがです。
03:10からのマルコのギター・フレーズも魅力的です。
総評
FALLEN SANCTUARYの『TERRANOVA』を紹介しました。
パワフルな演奏の中で哀愁度の高いメロディが展開される高品質サウンドです。
疾走曲が多く、作品全体に勢いが感じられるのもうれしいポイント。
TEMPERANCEで聴かれるモダンな要素が加わった「Now And Forever」や「Destiny」のアレンジも面白いです。
特に「Now And Forever」を2曲目に置いたのは大正解。
ガツンとやられます。
あとは「No Rebirth」での勇壮なメロディですね。
SERENITYの『LIONHEART』や『THE LAST KNIGHT』のようなアプローチを聴けるのは予想外でした。
『TERRANOVA』は、SERENITYとTERRANOVAの魅力をうまくブレンドさせ、スピード感を増幅させた傑作です。
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