EXTREMEの6作目『SIX』のレビューです。
2023年6月7日リリース。
2008年の『SAUDADES DE ROCK』以来15年ぶりとなるオリジナル・アルバムです。
ハードさとメロディのインパクトは1990年2nd『PORNOGRAFFITTI』以降で一番。
中盤は想定外のナンバーで畳みかけてきます。
特にゲイリー・シェローン<Vo>がすばらしい。
円熟味がありながらも跳ねる時には跳ねるパフォーマンスがキマッてます。
【メンバー】
ゲイリー・シェローン<Vo>
ヌーノ・ベッテンコート<G>
パット・バジャー<B>
ケヴィン・フィグェリド<Ds>
以下の10曲がおすすめです。
1. Rise
- 00:00~ ザクッとしたヌーノのギター
- 00:05~ ケヴィンが叩くスネアが生々しくて快感
- 00:11~ ゲイリーが同じフレーズを繰り返しながら歌う。中音域、いいメロディ
- 00:33~ ゲイリー、少し緩くなる
- 00:41~ 声を伸ばして…「Oh, oh, oh-oh」が印象的なサビ。キャッチーでかっこいい
- 02:17~ ヌーノの速弾き → エモーショナルかつエネルギッシュなギター・ソロへ
- 02:50~ ヌーノ、少しドライな音でグリグリ攻める
- 03:01~ キーボードが響いてドラマティックさが加味
ダンディな感じで突き進むオープニングです。
「Oh, oh, oh-oh」のようなクセになる歌メロはEXTREMEならでは。
03:01からキーボードが加わって、程良く劇的になる構成もすばらしいです。
2. #Rebel
- 00:00~ 昭和のシューティングゲームのような音が迫る
- 00:04~ NICKELBACKの「Burn It To The Ground」(2008年6作目『DARK HORSE』収録)を想起。ELEGANT WEAPONSの「Blind Leading The Blind」(2023年1st『HORNS FOR A HALO』収録)にも似てる。ということはALICE COOPERの「School’s Out」(1972年5作目『SCHOOL’S OUT』収録)みたいでもあるので「#Rebel」≒「Burn It To The Ground」≒「Blind Leading The Blind」≒「School’s Out」
- 00:18~ ゲイリーがかっこよく「フッ!」
- 00:49~ ゲイリーの歌の音域が跳ね上がる
- 01:42~ 一緒に歌える「La-la-la-la-la, la-la」
- 02:24~ どんどん上がって伸びる「Yeah~~~!」+ヌーノの高音域ギター。02:47からは速弾きも絡めてエキサイティングに
- 03:22~ ゲイリーのVoとケヴィンのドラムのかっこいいコンビネーション
- 03:49~ 潤いのあるギター → グルーヴ感が増す
- 03:58~ パットのベースが前面に出る
- 04:08~ 伸びる「Rebe~~~l」→ エコー
引き合いの多い00:04~が印象的です。
しかも、ほぼ同時期リリースのELEGANT WEAPONSに似たフレーズが聴けるというのが興味深い。
あとは00:49~ですね。
ピーン!と跳ねるゲイリーが最高。
曲中パタパタ鳴り響くケヴィンのバスドラもいい感じに刺激的です。
3. Banshee
- 00:00~ 分厚いギター+ドラムがドンドン
- 00:13~ 骨太な演奏
- 00:27~ リズミカル。ゲイリー、程良くノリノリ
- 00:54~ 歌が伸び始める
- 01:01~ 「She~~」「Banshe~~」…中音域で伸ばすメロディが心地良い
- 02:17~ ギター・ソロ。ヌーノ、ドライなサウンドでノリの良さを維持
- 02:51~ ゲイリー、不思議な雰囲気で声を伸ばす
「#Rebel」は跳躍する歌メロが印象的でしたが、この「Banshee」では同じ音域でそのまま伸ばす唱法がクール。
中音域でも魅せます。
4. Other Side Of The Rainbow
- 00:00~ 美しいギター
- 00:10~ ケヴィンがスネアを叩き、パットのベースが強調される演奏へ。ゲイリーは清涼感のある歌
- 00:39~ 音域が上がってサビ。魅力的なメロディが伸びる
- 02:08~ ゲイリー、青空系の高音域
- 02:46~ ヌーノのギター・ソロ。ポジティヴなオーラを放っていて素敵
『PORNOGRAFFITTI』の「Hole Hearted」に雰囲気が少し似てます。
テンポが上がった「Hole Hearted」ですね。
5. Small Town Beautiful
アコースティックを基調としたバラードです。
- 00:08~ ゲイリーが高音域で歌い始める。00:17~はヌーノ?
- 00:46~ 音域が下がり、きれいなハーモニーが加わる
- 00:58~ ケヴィンが優しくバスドラをトントン
- 01:07~ 「Small Town Beautifu~~l」と和やかなメロディが伸びる。ここからバンド演奏
- 01:44~ ここの声はおそらくヌーノ
- 03:01~ エレクトリックなギター・ソロ。ウェットな音質で適度に速弾きを絡める奏法が◎
緩急をつけたゲイリーの唱法が見事。
ソフトな曲調にエネルギッシュなフレーズをうまく溶け込ませるヌーノもさすがです。
6. The Mask
ここから想定外ワールドです。
- 00:00~ パットのベースとケヴィンのドラムが心地良い
- 00:14~ 怪しげなVo
- 00:43~ 控えめなベース。歌(おそらくヌーノ)も控えめ
- 00:57~ ハードなギターが重なりサビ。暗いけどノリはいい
- 01:15~ 要所要所にヘヴィなギター。01:27~のちょっとヒステリックなアプローチもかっこいい
- 02:15~ ゲイリーが中音域で伸びる歌唱で魅せて「ウ~~~」「ア~~~」
- 02:42~ グルーヴィに迫る → スネアの連打
- 02:57~ ヌーノ、少し闇を抱えた感じのソロ
- 04:10~ 不穏で程良くダイナミックにドン!ドン!
「Other Side Of The Rainbow」「Small Town Beautiful」と透明感のあるナンバーが2曲続いた『SIX』ですが、ここで暗雲が垂れ込めます。
7. Thicker Than Blood
- 00:00~ スネアがストン。「The Mask」の雰囲気を受け継いでスタート
- 00:09~ ゲイリー、ゆがみのあるVo
- 00:29~ 怪しい空気がさらに怪しくなる
- 00:42~ 早口気味のサビ。バックではヘヴィでジリジリした演奏
- 02:07~ ヌーノ、高音域でピリピリしたフレーズ
- 02:54~ エフェクト声+歓声
不穏なナンバーを続けてきました。
「The Mask」同様、ノリの良さもちゃんと兼ね備えていて、暗い曲調でありながらも飽きさせない構成が見事です。
8. Save Me
- 00:00~ 神秘的。少し光が差し込んでくるのかと思いきや…
- 00:24~ ジリジリとダークなギター → エフェクトのかかったゲイリーの声 → 骨太演奏
- 00:49~ ゲイリー、普通の声でアクセントをつけながらかっこよく歌い始める
- 01:05~ ミステリアスな「ア~ア」
- 01:34~ サビ。グルーヴ感が増し、メロディがキラリと光る
- 03:23~ ヌーノのソロ。「The Mask」から抱えてた闇をここで解放している感じ。かすかに聞こえるゲイリーの声がまたナイス
「The Mask」からはダークな曲3連発。
EXTREMEがこういった曲で魅了し続けるのはうれしい驚きです。
ダークサイドなEXTREMEといった感じでかなりかっこいい!
10. X Out
- 00:00~ ポコポコ系の奇妙な音
- 00:09~ デジタルでミステリアス。ダークサイド再び
- 00:52~ フワフワする
- 01:12~ 幻想的な声で「X Out」を繰り返し
- 02:58~ ゲイリーの声が伸びて、さらに「X Out」が強調される
- 03:19~ ゲイリーの声がず~っと伸びる
- 03:26~ ヌーノ、怪しくエネルギッシュに魅せる
- 04:03~ キーボードが前面に出て耽美的に
- 04:24~ ドキッとする低音Vo。ヌーノでしょうか
アコースティックな「Hurricane」の後に再びシリアスなナンバーを持ってきました。
デジタル要素が強まったダークサイドEXTREMEですね。
12. Here’s To The Losers
- 00:00~ ちょっと切ないアコースティック・ギター+ゲイリーの優しいVo
- 00:57~ バンド演奏になり、歌メロに安堵感が増す
- 01:10~ キャッチーなコーラスが加わるサビ。軽くガッツポーズしたくなる
- 01:26~ 曲名を透明感のある歌声で繰り返す
- 01:39~ パットの素敵なベース・ライン
- 03:37~ ゲイリーが曲名をゆっくり
- 03:50~ キャッチーなコーラスに高揚感が増し、再度ゲイリーが曲名を伸ばしてエンディング…かと思ったら時間がまだ余ってる…
- 04:18~ みんな一緒の歌声がフェードイン
- 04:47~ 拍手
ラストはポジティヴなナンバーで締めくくります。
アルバムを聴き終えた後は04:47~のように本当に拍手したくなります。
すばらしい!
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